アコースティック・ギターを弾く場合、ピックで弾くか、指で直接弾くかの2パターンがあります。
もちろん、どちらの方法で弾いても構いません。自分の弾きやすい方で問題ないです。
ただし、ピックで弾いた場合と指で弾いた場合の音色は違いがあります。
楽曲のジャンルや、自分が出したいと思う音に合わせて使い分けるのが良いでしょう。
また、ピック弾きとそれぞれ有利・不利な奏法があります。
例えばジャカジャカ弾いていくようなリズム・ストロークは、ピック弾きの方が向いていますが、繊細な音色・音量のコントロールには指弾きが合うと思います。
今回は、アコースティック・ギターとピックの関係について考えていきます。
形状
・トライアングル型
オニギリ型とも呼ばれ、その名の通り三角形でオニギリのような形をしています。
指で掴む面が他のピックの形と比べて大きいため、ストロークに向いている、とされています。
アルペジオや単音弾きでも十分使えますが、硬いと少々厳しいかもしれません。
一般的にお金に余裕のあるギタリストは少ないと思いますので、3つの角を有効活用している人が多いです。
1つの角が削れて丸くなったら別の角、といった形で使っていくと、かなり長持ちさせられるでしょう。
・ティアドロップ型
二等辺三角形のようで、涙の水滴の形に見えることから、この名が付いています。
ギターの弦に対するアタックの感覚が、他のピックよりも直接的です。
そのため、アルペジオやリードなどの単音プレイに向いています。
ストロークもこなせませすが、慣れていないと落としがちになったり、角が深いので引っかかるかもしれません。
初心者の方は、トライアングル型でピッキングに慣れてから、ティアドロップ型を試してみると良いでしょう。
また、トライアングル型のように、他の角も使ってしまう、というのはあまりおすすめ出来ません。
他の2つの角は角度が大きいため、弦を弾くのにあまり向いていないでしょう。
ピックが弦にヒットせず、空振りしてしまう可能性もあります。
余談ですが、コインでのピッキングも近い感覚だと思います。
QueenのBrian Mayは英国のペンス・コインで弾きこなしていましたが、かなり特殊な弾き方、と言えます。
・サム・ピック
これは、握るのではなく、指にはめ込んで使うピックです。
各指用にありますが、最も一般的なのは、親指(thumb=サム)用のものになります。
フィンガー・ピッキングでよく使われるもので、スリー・フィンガー奏法ではこのピックを用いるケースが多いです。
スリー・フィンガー奏法では、ベース音(6弦・5弦)は親指で弾くことになります。
そこで親指にピックをはめて弦を弾くことで、ベース音にアタックをつけることが出来ます。
サム・ピックを使うと、今まで指弾き出来ていた方でも、初めは違和感があって弾きづらいと思いますが、スリー・フィンガー奏法と合わせて慣れていきましょう。
・ジャズ型
このピックは単音弾き用で、ジャズ・ギタリストがリード・プレイをする際に使います。
ティアドロップ型に似ていますが、アタマが丸みを帯びており、扇型に近いです。
ストロークにはあまり向いていません。
ジャズのギター音というと甘めのサウンドがイメージされますが、粒立ちのあるアタックが得られます。
厚さ
・Thin/Soft(厚さ0.5mmほど)
ピックが非常に薄くしなるので、腕・指の動きをそのまま伝えられるのですが、アタックがあまり得られません。
スピードとキレのあるカッティングなどには向かないかもしれません。
また、ストロークやアルペジオなどにはちょうど良いですが、単音弾きでダイナミクスを出そうとすると難しいでしょう。
硬い音は出ませんが、しなりがあるので、アコースティック・ギターの弾き語りにはぴったりだと思います。
アタック感は確かに弱いですが、その分、自分の詳細なニュアンスで表現が可能だと思います。
・Medium(厚さ0.7mmほど)
ThinとHeavyの中間です。
適度なしなやかさで、アタックもそこそこ出すことが出来ます。
ストローク、アルペジオ、単音弾きなど、幅広いギター・プレイに対応可能です。
初心者の方は、まずこの厚さのものから慣れてみるのが良いでしょう。
特定のジャンルに拘らない、多彩なプレイをするギタリストに向いているピックです。
・Heavy(厚さ1mmほど)
非常にハードで、しなやかさはありません。厚いものになると2mmくらいのものもあり、この厚さのピックを使いこなすには、かなりの練習が必要です。
弦とのぶつかりもあるので、硬質な音です。
アタックの粒がはっきりした単音弾きには優れていますが、細かいリズムを刻むのは難しいと思います。弦にピックが引っかかる感じになってしまいます。
また、アタック音の強さもコントロールしづらいので、やはり複数の弦を同時に弾くのが困難かもしれません。
・まとめ
アコースティック・ギターは、ストロークやアルペジオを中心としたプレイが多いギターですので、ThinかMediumの厚さが合っています。
形状では、トライアングル型が適していると言えます。
もちろんティアドロップ型でも構いませんが、ストローク中心のプレイになると、少々弾きづらさを感じるかもしれません。
特にティアドロップ型のThinは、しっかりと指先で掴んでコントロールする必要があります。
ギターのピックの種類とおすすめの選び方
ギターを弾く場合、指で直接弾く人もいますし、ピックを使う人もいます。
もちろん、どちらのプレイも出来る上で、出したいギター・サウンドに合わせて使い分ける人もいます。
硬質なアタックを求める場合は、ピックによるプレイが適しています。
ここでは、ピックの種類や選び方について、簡単にご紹介していきます。
ピックの3つの要素
ピックの種類は、3つの要素で分類することが出来ます。
1つめは「硬さ・厚み」、2つめは「形状」、そして3つめは「材質」です。
硬さ・厚み
ピックの硬さの種類は、一般的にExtra Heavy、Heavy、Medium、Thinと分類されており、Extra Heavyが最も硬く、Thinが最も柔らかいです。
また、ピックの厚みも、この順序になります。
ピックの硬さは、そのままギターの音色にも当てはまり、硬いピックであれば硬いアタック、薄くて柔らかいピックであれば落ち着いたアタックになります。
硬いピックはしなりにくく、ピッキングの際の力加減がダイレクトに弦に伝導するため、レスポンスが早くエッジの立った音が出力されます。
逆に言えば、ピッキングの際の力加減のコントロールが難しく、アタックが一律になりがちです。
Mediumは、それらの中間ですので、オールマイティなプレイに対応可能です。
単音弾きでも、自分のニュアンスを出しやすく、ギター・リードに表情を付けやすくなるでしょう。
また、厚めのMediumというものもあり、こちらは音が太めに出やすく、通常のMediumよりしならないためHeavyとMediumの中間のようなニュアンスがあります。
こちらの方がリード、リズムともに使うギタリストに向いているかもしれません。
Thinは、非常にしなりがあるため、エレクトリック・ギターで使っている人はほとんどいません。弦の張力にアタックが負けてしまうからです。
このピックは、主にアコースティック・ギターでのストロークで使われることが多いです。
音が柔らかく、ローの抑えられた音になり、アコースティック・ギター本来の響きに非常にマッチします。
その反面、ピッキングのニュアンスを出すには、多少時間がかかるかもしれません。
形状
形状は大きく2種類に分類されます。
・トライアングル型
いわゆる「オニギリ型」で、最もポピュラーな形状です。
面積が大きいのでピックを持ちやすく、3箇所の角でピッキングが出来るので、経済的でフレキシブルです。
リード、リズムと幅広いギター・プレイで対応可能と言えます。
また、ベーシストが使うピックはこの形がほとんどです(ベース用の場合は、ギター用より角が鋭くなっています。)。
・ティアドロップ型
先端が尖っており、涙のような形の二等辺三角形をしています。
この形状は、主にリード・プレイを行う場合にスムーズなピッキングが可能になります。
ストローク・プレイでは、ピックを浅めに握ってしまうと、弦に引っかかってしまい、細かいリズムを刻んでいくのは難しいかもしれません。
トライアングル型に比べて面積が小さいので、握りづらいかもしれませんが、反面、素早く持ち替えてタッピングやコントロール・ノブ、アーミングなどがやりやすいと思います。
他にもホームベース型やジャズピックなど、様々な形のピックがありますが、基本的にはこの2つが主流で、他の形はその派生系と考えて良いでしょう。
材質
ピックの材質は、複数の種類があります。
主な材質として使われているのは、プラスティック系のセルロイド、もしくはナイロンがほとんどです。
最近では、木製のものや石製、金属等の材質も使われているようです。
また、少数ですが、硬貨でギターを弾く人もいます。
材質によってもギターの音は微妙に異なってきますので、求めているギターの音に合う材質を探す必要があります。
昔は「鼈甲」も使われていましたが、現在では鼈甲「柄」のデザインで、そのものを材質として使っているピックは見なくなりました。
鼈甲は、ワシントン条約の関係で減少傾向にあることと、加工が難しいため、大変高価ですが、独特の硬さと軽さがあります。
ピックの選び方
どのようなプレイ・スタイルで、どのようなピックが向いているのか、形と硬さを大雑把に分類してみました。
ここでは、以下セルロイド製のピックでの分類になります。
他の材質では当てはまらない事もありますので、あくまで参考程度で考えてください。
・アコースティック・ギターによるコードストロークがメイン
硬:ThinもしくはMedium 形:トライアングル
・アコースティックギターによる単音弾きがメイン
硬:ThinもしくはMedium 形:ティアドロップ
・エレクトリック・ギターで激しい部分が少ないプレイ
硬:Medium 形:トライアングルもしくはティアドロップ
・エレクトリック・ギターによるリフやソロメインのプレイ
硬:MediumもしくはHeavy 形:ティアドロップ
硬:HeavyもしくはExtra Heavy 形:トライアングル
上記は一般的に言われているものです。
かなり個人差があるので、もし最初にピックを購入する場合は、
- Mediumのティアドロップ
- Mediumのトライアングル
- Heavyのティアドロップ
- Heavyのトライアングル
上記の4種類を購入して、どれが自分に合うのか吟味するといいと思います。
多くのギタリストは、この4種類のいずれかを使っているケースが多いです。
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