テレビでアコースティック・ギターを抱えて歌う、女性シンガーを見かけることがあります。
女性は男性に比べて体格が小さいのですが、miwaやyuiのように、ドレッドノート・サイズのギターを使っている場合があります。
一方で、森山良子氏は、小さいサイズのギターを抱えて歌っています。
彼女のギターは、Martin OO-45CTMという機種です。
小さめのボディを持ったアコースティック・ギターですが、伸びのある低音と大きめの音量が特徴的でした。
今回はアコースティック・ギターのサイズについての記事をお届けします。
ボディ・サイズ
・Martinのアコースティック・ギター
Martinは、アコースティック・ギターの世界的有名ブランド、老舗です。
ボディ・サイズの表記については一定のルールを持っており、
- D
- OM
- OOO
- OO
- O
以上のようにサイズの違いで名称が異なります。
これらのアルファベットの後ろに、「-00」のように数字がつきます。
Dは、大きなボディと25.4インチのスケールで、深くて重い張りのある低音域が特徴です。
それでもギターでは重要な中音域が弱いということはなく、低音域の迫力をしっかり保ったバランスの良い音です。
OMはDと同じスケールを持っていますが、ボディはDよりも小ぶりなOOOになっています。
ボディが小ぶりで低音域が出にくい分、中高音域が安定していて豊かな音色を持っています。
フィンガー・ピッキングを中心にプレイする方にとっては、ギター・メロディを押し出したい関係上、中音域が充実したOMを好む傾向があります。
OOOはDやMよりも半インチ短いスケールを持ちます。
扱いやすい中高音域を持っており、Eric Clapton「アンプラグド」で披露したような、ソロ・プレイにも適しています。ちなみにMartinはアーティスト・モデルを作らないことで有名ですが、Claptonモデルは制作しています)。
低音域が弱いニュアンスは以外に希薄で、弦のテンション感は弱めですが、はっきりとした輪郭のある低音域を持った機種もあるようです。
OOは、OOOの傾向をさらに進めていったようなサウンドが特徴です。
スケールとボディ・サイズがしっかりとフィットしているような、全音域にわたってバランスの取れたサウンドで、色々なジャンルや奏法で使える、汎用性に優れています。
Oは、低音域に重みはありませんが、はっかりとした音の輪郭があり、アタックの反応も比較的良いため、低音域を弱く感じることはあまりないと思います。
中高音域にスポットを当てたような、繊細さを感じるサウンドがあります。
・アコースティック・ギターのサイズ
多くのギター・ブランドは、サイズ表記の一つの基準として、MartinのOOOやOO、OMを用いているようです。
Martinは先述の通りアコースティック・ギター・ブランドの老舗であり、パイオニアでもありますので、そのギターを参考に様々なブランドが開発を進めてきたという歴史的な経緯があります。
その関係もあって、アコースティック・ギターのサイズは、共通の表記方法としてMartinのルールが使われています。
DはDreadnaught「ドレッドノート」の略で、フルサイズだと弾きづらいと感じる方は、OOOやOO、OM辺りのサイズを使うとしっくりと来るかもしれません。
アコースティック・ギターを選ぶポイントは、まずは抱えやすさと弾きやすさです。
女性に限らず小柄な人であれば、ドレッドノート・タイプよりもフォーク・タイプの方が抱えた時にフィット感があると思います。
特に初心者の場合は、ボディが大きいと持ちづらかったり、演奏するのに違和感を感じたままになって変なクセがついてしまうかもしれません。
もちろん、ドレッドノート・タイプを弾いてみて違和感がなければ、それでも構いません。
小柄な女性が大きなギターを上手に弾きこなしている姿は、とてもかわいく見えると思います。
ネックの太さ
抱えた時のフィット感が合ったら、次はネックの太さがポイントになります。
実際に何本かのギターを引き比べてみて、握った時の運指がスムーズに行えるか確認しましょう。
ネックの太さの一つに、ナット幅というものがあります。
通常のギターは、おおよそ43mm程度なのですが、ブランドや機種によっては、41mmくらいのものもあります。
当然細ければ弾きやすいのですが、その分サウンドにも影響が出てきますので、ナットが細い機種については、しっかりと音のチェックをしておきましょう。
手が小さい方は、細めのネックの機種を選ぶと思いますが、それは当然だと思います。
しかし、それだけ自分が弾けるギターの種類を限定してしまうことになります。
ギターを弾くのに、実は手の大きさはさほど関係ありません。
確かに大きい方が運指的に有利ではありますが、小さいからと言ってマイナスではなく、工夫次第で自在に動かせるものです。
ギタリストによっても様々で、布袋寅泰氏は基本的に小指を使わない、Django Reinhardtは火傷で薬指と小指に障害を負ったにもかかわらず、独自の奏法を確立しています。
エレクトリック・ギターの場合はスケール・サイズ、ボディ・サイズともに、アコースティック・ギターに比べて幅広い選択肢があります。
また、重量も大事で、例えばGibson Les PaulよりもFender Stratocasterの方が軽量です。
まとめ
ギターを弾きたいのに手が小さい、指が短い、体格が小さいという方でも、慣れと工夫次第で意外と克服できるものです。
むしろそのような慣れと工夫は、その人の個性になり、オリジナリティのあるギタリストになれるかもしれません。
miwaは身長が低い女性ですが、しっかりとドレッドノートのギターを弾きこなしています。
また、クラシックなどは指板の幅が広いのですが、練習をこなせば解決出来ます。
赤ちゃんくらいの手の大きさでなければ(基本的にギターは、5歳の手の大きさでも弾けると言われています)、あまり気にせずに、自由にギターを選びましょう。
最も大事なことは、自分の好きな音を出せるギターを見つけることです。
そのことを最優先に考えましょう。
■関連記事もご覧下さい!■