カラオケで声の震えを直すには?声の出し方、変え方、作り方を解説

ご覧いただきありがとうございます。

 

カラオケで人前で歌うと声が震えてしまう、という方がいます。

また、そうした経験をしたことのある方も多いでしょう。

 

歌っていて声が震えてしまう原因には実はいくつかの原因があるのです。

今回はその原因を見ていくとともに、声の震えを解消するためのトレーニングや方法について話していきます。

また発声に関してよく見かけたり聞いたりすることのあるミックスボイスやエッジボイス、ベルティングボイスについても触れていきます。

 

カラオケで声が震えるのはなぜ?

人前で歌うと声が震える理由

カラオケで声の震えを直すには?声の出し方、変え方、作り方を解説

歌っていて声が震えてしまう原因は大きく3つに分けられます。

ひとつめは発声の技術的な問題、ふたつめは精神的な問題、みっつめは経験値の問題です。

 

技術的な問題としては、腹式呼吸がうまくできずブレスコントロールがうまくできていなかったり、上半身やノドなどに不必要に力が入った状態が考えられます。

ふたつめの精神的な問題は、練習不足だったり上手く歌えないことからくる不安な気持ち、また他の人の目や評価が気になってしまったり、過去に自分の歌にマイナスな言葉をかけられてしまったことなどからくる自信のなさなどがあります。

 

みっつめは、普段家で歌ったり、一人カラオケでは何ともないのに、人前で歌うとなると急に緊張してしまう、というケースです。

 

まずは発声の技術的な問題からくる震えについて見ていきます。

 

ロングトーンで声が震える理由

 

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ロングトーンとは同じ音の高さで一定時間音を出し続けることです。

人の声は息を吐くことで音になるので、息を一定のスピードや量で吐き続けなければ安定したロングトーンを出すことはできません。

 

人の呼吸には胸式呼吸と腹式呼吸があります。

胸式呼吸は肋骨で囲まれた胸郭を主に使って呼吸するもので、走った後や緊張したときに顕著にみられ、肩が上がったり胸が中心に動きます。

一方、腹式呼吸は胸郭や肩はあまり動かず、横隔膜が下がることで腹腔が押され、息を吸うと腹部や脇腹が膨らみ、吐くと腹部や脇腹がへこんでいくことからこの名称がきているのです。

 

歌う時は腹式呼吸が良いことはよく言われますがそれはなぜでしょうか。

腹式呼吸のメリットは吐く息のコントロールがしやすいことです。

フレーズの終わりまで息を保ち、息の強弱や歌唱上のテクニックも行いやすくなり、またノドや上半身もリラックスした状態を保ちやすくします。

胸式呼吸は吐く息のコントロールがあまりできず、上半身にも力が入りやすいので、歌う時には適さないといえます。

 

大きい声を出すと声が震える理由

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大きい声を出そうとして、声が震えてしまったり、力を込めている割に声が出ていなかったりした経験はないでしょうか?

それは腹式呼吸が十分にできていないことの他に、体の力みが原因の場合が多くあります。

特にノド、あご、肩など上半身が力んでしまうと、声帯がうまく機能しなかったり喉頭内の空間が狭くなって体の共鳴が使えなくなったり、呼吸との連動も上手くいかなくなってしまうのです。

 

具体的にはのどぼとけである喉頭を下げるのですが、これはあくびをした時のポジションで、この状態で息を吸うと、ノドの奥がスーッと息が通るのを感じられると思います。

歌う時も喉頭の位置がこの場所であることが望ましいです。

下あごを軽く引き、あごの下の筋肉が固くなっていない状態で声を出します。

この時、口の中の空間も保たれていることが分かるはずです。

 

あごやノドがリラックスした状態を歌っているときに保つためには、胸式呼吸ではすぐに限界を迎えてしまう、というよりやること自体が難しいでしょう。

あごやノドや肩などの上半身がリラックスした状態と、腹式呼吸によるブレスコントロールは歌う上での両輪です。

どちらが欠けてもよい歌唱にはつながりません。

 

歌の上手い人やプロ歌手でも、長時間歌ったり声量の必要な曲を歌えば疲れます。

ノドやあごなどがリラックスした状態で、腹式呼吸を使ってしっかり歌うと、体の奥や芯の方が疲れる感覚があります。

声枯れやノドの痛みなど声帯に必要以上の負担をかけないためにも、ノドやあごのリラックスした状態と腹式呼吸の両立を目指しましょう。

 

カラオケで震えない声の出し方はある?

カラオケで声が安定しない理由

 

カラオケで声の震えを直すには?声の出し方、変え方、作り方を解説

 

カラオケで歌っていると毎回声の調子が変わってしまったり、声のムラが大きいと悩む人もいます。

声が安定しない理由についても、いくつかの面からみていきます。

 

まずは音程が安定しない場合です。

曲をしっかり覚える必要がありますが、一度覚えても時間が経つとミスが多くなったり忘れてしまうことは誰でも起こりえます。

頭の中の音の記憶が薄れてしまう場合と、声でその音程を再現できない場合がありますが、一度覚えて歌えるようになった曲も、折に触れて曲を聴き直し、客観的に丁寧に歌う機会を作りましょう。

 

声の響きのポジションや音色が歌うたびにコロコロと変わってしまうという人もいます。

どうすべきか話す前に、人の声の響きや音色についてまず説明します。

 

人の声は一般的に胸声、中声、頭声と3つの異なる音色の系統を持っています。

胸声はチェストボイスとも言い、胸に響く声が特徴で一般的に地声がこれにあたることが多いです。

頭声はヘッドボイスとも言い、頭部の共鳴腔に響く声で、高音域で使われることが多いです。

ちなみにファルセットは裏声とも言い、声帯を伸展しつつも実声よりも声帯の隙間が少し大きい状態で発声され、高音の細い響きになります。

 

中声は胸声と頭声の中間の音色ですが、人によって音色の違いが大きく出るといえます。

声が低めの人や胸声が優位の人は深い響きや重い声の印象になることが多く、声が高めの人や頭声が優位の人は軽く明るめの声の音色になることが多いです。

声の響きや音色が大きく変わってしまう人は、音域によって自分が自然に出せる音色から離れてしまうことが考えられます。

高音域で喉が締まったり、低い音で力んでしまったりするなど、人によって傾向は様々あります。

 

もうひとつ挙げなければならないのは、地声からファルセットに切り替わるポイントが人の声にはあることです。

低い音から急に高い音を出すときやある決まった音域で声がひっくり返ってしまった経験をお持ちの方は多いと思います。

地声からファルセットに切り替わるポイントを換声点とかパッサッジョ(passaggio:イタリア語で通過、推移、変換などの意)といいますが、何も気をつけずに歌うと、音域によって急に声が細く軽くなったり太く重くなったりします。

 

実は音域に関係なく音色の差を目立たないようにすること、出来るだけ統一された音色で歌うことは、歌い手にとってとても重要なことなのです。

 

後で説明するミックスボイスやベルティングボイスも音色を変えずに、特に高音域を歌うことを意識されています。

その違いなどは後ほど説明しますので、まずは腹式呼吸とノドやあごに余計な力が入らない状態で歌うことを意識しましょう。

 

歌うと声が変わる人

 

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他の人が歌っているのを聴いていて、普段話している声と歌っている声が違うと感じる時があると思います。

そしてそれが良く聞こえる時と、違和感として感じてしまう時があるのはどうしてでしょうか。

 

違和感を感じるということは、不自然さがあるということです。

一般的に日本語の響きは他の外国語に比べて口腔内の空間が広くない状態で話していることが多く、

話している言葉でそのまま歌っても歌唱に必要な響きが得られないことがあります。

 

歌うということは音程や音の高さ、速さ、リズム、音の長さなど、普段の話す言葉や声にはない要素を声にしなければならないので、歌を表現するための発声や発音が必要になります。

普段の声から歌う声が良い意味で変わる人は、音程やリズムなどが合うように、そしてきれいに響くように体を使っています。

 

声が震える時の理由と同じく、精神的な問題や経験値の問題で声が変わってしまうこともあります。

不安や緊張は声に出やすいので、自分が意図しない声の震えだけでなく、声の太さや音色にも表れます。

 

次に声が震えたり、変わってしまうのを直す方法やトレーニング方法を見ていきます。

 

声の震えを直すトレーニングと準備について

 

カラオケで声の震えを直すには?声の出し方、変え方、作り方を解説

 

声が震えてしまう原因は技術的な問題、精神的な問題、経験値の問題、主に3つあることは最初に説明しました。

これからそれぞれの問題にどうアプローチするかを見ていきます。

 

まず技術的な問題についてです。

歌は腹式呼吸によるブレスコントロールが土台になりますので、ブレストレーニングを習慣的に行います。

具体的な方法はビブラートやロングトーンの関連記事に詳しく書いていますので、そちらを参考にしていただきたいと思います。

 

歌は筋肉の運動なので、たとえできるようになったとしてもトレーニングをやめてしまったり歌う機会が空いてしまうと衰えてしまいます。

歌う時間がないとしてもブレストレーニングだけでもやっておくと歌唱力が落ちにくくなり、また腹式呼吸は精神的にも良い影響を与えるので、習慣にするとよいでしょう。

 

ノドやあごがリラックスした状態で歌うこと、その声の響きに慣れることも必要です。

特に高い音を歌おうとする時や、「い」や「う」などの狭い母音になると普段話す母音の響きとのギャップが大きく感じられます。

「い」の母音は「え」の母音に近くなるくらいの感覚を持っても差し支えありません。

ノドやアゴのリラックスしたポジションはそのままに、くちびると頬の筋肉で母音の口形を変えていくようにしていきましょう。

 

歌いやすいキーで歌うことも大事なことです。

不安のある音域が多いとそれだけで不安や緊張が高まってしまいます。

キーの設定の仕方については関連記事を参考にしてください。

 

カラオケに行くと、すぐに曲を入れてマイクを使って歌うのが通常ですが、試しに一人で歌う時には、マイクなしで歌ってみましょう。

空間にどう響いているかを聴くことや感じることも、音楽を演奏するうえでは重要なことです。

曲を流してだけでなく、アカペラでも歌ってみると自分の生の声の響きを感じられます。

カラオケルームは意外と響くところが多く、思った以上に自分の声って響くんだと感じられます。

 

歌声が空間に響くのを感じられるようになると、余計な力を入れなくてもいいんだと分かるようになり、力みからくる震えを解消することにつながります。

 

次に精神的な問題についてです。

不安を解消するには、何よりも練習して歌えるようにする必要があります。

歌詞を見なくても演奏が始まれば口をついて歌が体から自動的に出てくるくらいにすればかなりの程度不安は解消されるはずです。

そのためには反復してあまり期間を空けずに練習することが望ましいです。

 

他に成功体験を重ねることも大事なことです。

成功体験といっても大げさなものではなく、昨日よりもロングブレスが1秒長くできた、カラオケ採点で1点上がった、歌詞を全部間違えないで歌えた、といった小さなことでいいのです

できたことが増えていくと自信になるとともに、自分ができることとできないことが客観的に分かるようになり、そのことが安心感につながります。

 

他人の言動を気にしないようにしましょう。

複数人でカラオケに行って自分が歌っている時、他の人は何をしているか思い出してみてください。

次に何を歌うか考えている人、おしゃべりしている人達、スマホを見ている人など、歌っている自分に集中している人ばかりとは限らないはずです。

 

もし他の人から心無い言葉、例えば「音程が良くない」とか、「高音がきれいじゃないね」とか言われたら、「どうしたら上手くいくか、どこが良くないか教えてほしい」と聞いてみましょう。

大抵の人はきちんと答えられないはずです。

答えられない人は歌や音楽に対する専門的な知識もなければ、あなたが歌っているときに集中して聴いてもいないからです。

もし具体的に建設的な内容で答えてくれたら参考にしましょう。

 

カラオケで声の震えを直すには?声の出し方、変え方、作り方を解説

 

最後に経験値の問題について見ていきます。

どんなに練習しても人前で歌う時には緊張するもので、プロの歌手ですら手や足が震える時があるといいます。

 

人前で歌うことに緊張しないようにするには、ひとつは場数を踏むことです。

複数人の前で歌う頻度が多くなれば、人前で歌うことそのものへの抵抗が少なくなっていきます。

少し慣れてきたら、普段とは違うことにもチャレンジしてみましょう。

新しいレパートリーを歌ってみる、しょっぱなで盛り上がる曲を歌ってみる、合いの手を打って盛り上げ役になってみる、といったことをやってみます。

ちょっと恥ずかしいと思うようなことも思い切ってやってみると新しい自分を発見したり、他の人達の見る目が変わることもあります。

 

実は緊張には瞬間的緊張と慢性的緊張の2種類あります。

瞬間的緊張は手や足や声の震えといった体に表れるようなもので、強いが浅いものなので比較的早く取ることができます。

一方、慢性的緊張は緊張の度合いは弱いが根深いもので、緊張していないと思っていても気づかずになっていることがあります。

 

瞬間的緊張を取るには肉体的アプローチが有効です。

そのひとつとして、全力で大声を出し、体を動かすことです。

「ワーッ」でも「ウォーッ」でも何でもよく、10秒ほどでいいので大声を出して暴れてみましょう。

日常と気分を入れ替え、日常生活で真面目になり身構えている心身をほぐし、あるレベルまでテンションを上げるのが目的で、役者が稽古する時や演技指導の教室などでも行われています。

 

声を出せない環境の方が多いかもしれませんが、一人でカラオケに行ったときなど歌う前にやっておくと自分を解放することにつながります。

 

慢性的緊張は何かやろうとすると真面目になり知らないうちに力んだり、頭が回転しなくなったりした状態になります。

慢性的緊張はその人の考え方や性格、プライドやポリシーに関わるので解消することは実はなかなか難しいものです。

ここでは多くを書くことはできないですが、苦手なことやできていないこと、自分は完璧ではないことを素直に受け入れることで緊張や焦りや不安から解放されることにつながります。

 

声の出し方の種類と変え方、作り方について

ミックスボイスについて

 

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ミックスボイスは「地声とファルセットの中間の声質で発声する方法」です。

ミドルボイスともいいます。

ミックスボイスのアプローチとしてはまず腹式呼吸、ノドを開いた状態での発声、地声とファルセットの切り替わる音域(換声点)の判定、換声点から上の音域をできるだけ地声に近くムラのない音色で歌うこと、高音域を鼻腔共鳴を活用して発声することです。

 

ミックスボイスの特徴としては、換声点から上の音域を地声とファルセットを融け合わせるような感覚で音色を作り、鼻腔共鳴を活用して音の高さや響きの豊かさを保とうとすることです。

こうしたアプローチで作られた声は明るめで柔らかい響きになりやすくなります。

地声の要素を強めれば力強さを保つことも可能です。

 

ミックスボイスを習得すれば何でも歌えるという謳い文句が掲げられることもありますが、誤解しないでいただきたいのはムラのない音色を作るためのアプローチであり、急に音域が広がったり声量が格段に上がるわけではないということは理解しておいてください。

 

エッジボイスについて

 

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エッジボイスの紹介でよく使われるのが、ホラー映画「呪怨」で登場人物の伽耶子が登場するときの「あ゛あ゛あ゛あ゛」という声です。

 

この声の出し方としてはノドを開いてリラックスした状態で自分が出せる最低音よりさらに低く出そうとしたとき、きしむような声になったものをエッジボイスとしています。

 

この声を歌で使うことはまれですが、この声は声帯が程よい力加減で閉じた状態なので、声帯を閉じる力を養うことにつながります。

 

自分の声の調子をはかったり、換声点での声のひっくり返りを軽減したり、高音域で声門が閉じるようにするためのトレーニングとしてとらえておきましょう。

 

ベルティングボイスについて

 

カラオケで声の震えを直すには?声の出し方、変え方、作り方を解説

 

ベルティングボイスは地声のまま高音域を発声する歌い方のことです。

地声からファルセットに切り替わるポイント(換声点)から上の音域を、地声の響きのまま歌うことで高音域でもより力強い響きを得られます。

 

ミックスボイスは地声とファルセットを融け合わせるようにして音色を作り、鼻腔共鳴を意識して高音域や響きの豊かさを保とうとします。

一方、ベルティングボイスは地声とくに胸声の響きのポジションを保ったまま高音域を出そうとするものです。

 

ベルティングボイスで換声点から上の高音域を歌う上でも、腹式呼吸とリラックスしたノドの状態は不可欠な要素です。

ファルセットに逃げずに、なおかつノドやあごをリラックスした状態を保ち、息の支えで地声の響きのまま高音域を歌うのは簡単ではありません。

気持ちの部分も重要で、少しでもできない、苦しいと思ってしまったらその時点でできなくなってしまいます。

 

ベルティングボイスの練習の際はマイクを使わず、少しでも力みや緊張を感じたら体を動かしてほぐすようにし、自分の可能性を信じて思い切りよく取り組んでみてください。

 

まとめ

いかがでしたか。

声の震えということについて見てきましたが、技術的な問題だけでなく様々な面から考えてきました。

 

かなり長くなってしまいましたので、最後に今回話したことを改めてまとめていきます。

・声の震えの原因には技術的、精神的、経験値の問題がある

・腹式呼吸によるブレスコントロールとノドやあごのリラックスした状態は歌う上でどちらも不可欠

・不安を解消するものは練習、成功体験、他人を気にしないこと

・場数を踏んで経験値をあげよう

・緊張には瞬間的緊張と慢性的緊張があり、解消するためのアプローチが違う

・どの音域もムラのない音色で歌うことは歌い手にとってとても重要なこと

・ミックスボイスもベルティングボイスも本来の目的はどの音域もムラのない音色で歌うこと

 

ミックスボイスもベルティングボイスもその境目というのはとても曖昧なものなので、ムラのない音色を作るにあたり、どちらが自分に合っているか、自分が歌う曲はどちらのやり方がふさわしいか、といった視点で取り組んでみてください。

 

歌は自分の体が楽器なので、技術の問題だけでなく、心身の状態も大きく影響します。

自分を解き放った状態で歌うことが理想であり、今回話したことが少しでもお役に立てば幸いです。

 

ありがとうございました。