日本が世界に誇るエフェクター・ブランド、Boss。
これまで数々の名機を世に送り出し、国内だけでなく、海外のアーティストにも長く支持されてきました。
過去の評価を受けた作品を維持するだけでなく、現在でも精力的に新しい技術で新作を発表しています。
今回は、新世代の歪みを表現する、Boss ML-2 Metal Coreをご紹介したいと思います。
Boss ML-2 Metal Coreのレビューや音作り。
・Boss ML-2 Metal Coreの概要
Bossのハイ・ゲイン・エフェクターと言えば、MT-2 Metal ZoneやMD-2 Mega Distortionの2つのペダル・コンパクトタイプがお馴染みの機種です。
今回紹介させていただくML-2は、2000年以降に急速に台頭してきた7弦ギターや、ダウン・チューニングを多用した、ニュー・メタルのサウンドメイクに特化したモデルになっています。
つまり、ベースに近いような低音域の周波数に対応してたエフェクターです。
前述のMT-2 Metal Zoneは、アナログ仕様であるため暖かみのある歪みのサウンドですが、ML-2 Metal Coreはトレブルが強く効いて、金属的でハードな音が特徴です。
比較的新しい機種なので、使用しているギタリスト、というとなかなか難しいのですが、9mm Parabellum Bulletの滝善充氏が愛用していることで、機種名を聞いたことがある方もいるかもしれません。
このエフェクターの音の特性は、ハイ・ファイでモダン・ゲイン、Mesa Boogie系の攻撃的で高音域と低音域がしっかり確保されています。
また、オーバードライブ系ではなくディストーション系の歪み、独特のキメの細かさを持っています。ザクザクというよりも質の高さを感じます。
・ギターとの関係
重低音を特徴とする音楽、特にヘヴィ・メタルなどのジャンルでは、Low Bなどのダウン・チューニングがよく使われますが、音域が低過ぎるため、音が潰れてしまうという現象が起きる事があります。
「歪み」とは異なり、音が潰れてしまうと、音程感が全くないノイズにしか聴こえなくなってしまいます。
一方で、近年では7弦ギターや8弦ギターといった、低音域を発音させるギターが増えてきています。
そのようなユーザーの需要に応えるために製作されたのがMT-2 Metal Coreです。
高速でリフを弾いても、1音1音が明瞭で各音のアタックも聴き取れます。チープなディストーションでおこりうる、音の潰れや音痩せもほとんどないと言って良いでしょう。
5弦や6弦の低域も強調されていますが、輪郭がぼやける事なく、しっかりしたアタックでベースやバスドラのように、体にズンズン響きます。
これらからも、低音で重いリフを刻むのに適した音を作る事ができ、ドロップ・チューニングで威力を発揮するでしょう。そのままハイポジションへ移動して、ギター・ソロへ移って行っても、音の厚みは保ったままです。
また、パワーの低いシングルコイルのピックアップでも、十分に抜けが良く強烈なディストーション・サウンドを作り出せます。ハムバッカーとのサウンドの違いで使い分けてもいいと思います。
ここで、このML-2 Metalic Coreの機能的な最大のポイントは、デジタル・エフェクターであるという事です。
ディストーション系の音は、ハイ・ゲインになるほどノイズが発生するという問題を常に抱えています。歪み音自体、音量を上げることにより発生するノイズを活用したのが起源です。
Bossの最新技術を導入する事で、ノイズを最小限に留めています。
MT-2 Metal ZoneやMD-2 Mega Distortionに匹敵する強力な歪みを生み出しながら、極めてロー・ノイズなサウンドを実現することに成功しています。
ディストーション系エフェクターでは、デジタル処理と言われると毛嫌いするユーザーがいます。真空管由来のアナログなドライヴ感を重視する考えだと思います。
ロー・ノイズで強力かつきめ細かい歪みを作り出せるのは、デジタル技術ならではだと思います。
デジタルっぽさは確かにあるのですが、ノイズやイコライジング、ゲインなど、これだけの情報を詳細に処理していく技術はさすがです。
ML-2のセッティング
ML-2 Metal Coreはハイゲイン・エフェクターという特性を持っているため、単体で使うのがオススメです。
コントロール部について説明します。
- Level 音量を調節します。
- Low 低音域をブースト/カットします。
- High 高音域をブースト/カットします。
- Dist 歪みの量を調節します。
コントロール部はとてもシンプルで、操作を迷うことはないでしょう。LevelとDistは自分の求めるサウンドをイメージして調節していきます。
Distは12時方向でもかなり歪んでくれますので、上げ過ぎに注意して微調整しましょう。
音色を決定付ける重要なポイントは、LowとHighの調整です。
この2つのツマミを上手く操作することで、重厚で金属的なサウンドをコントロール出来ます。逆に温かみのあるアナログっぽいドライヴ・サウンドは苦手です。
アンプでのサウンドメイクと同じように、足りない帯域を強めるというよりは、一度全てをフルテンにして、出力の強い場合に徐々に削っていく、という使い方が適していると思われます。
エフェクトOn/Offの時の音量の落差がかなり大きいので、クリーン・トーンも使うのであれば、音量差を考慮したセッティングにしておきましょう。
ディストーションのかかり方が非常に大きく、音量設定にも影響しますので、何度も調節して使い方を覚えましょう。
ML-2はこんな人にオススメ!
デス・メタルやドゥーム・メタルなどの重々しく攻撃的なサウンドを求める人、ダウン・チューニングでヘヴィなリフを刻みたい人などには、ぜひ試してほしい機種です。
逆にドライヴ感のある、「クランチ」のようなサウンドを求めている人には向かないです。
個人的には、これほどのヘヴィさを持ったエフェクターは、デジタル技術によるクオリティが合う気がします。
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