ギターの音を作り出すのは、もちろんそのギター本体の個性、アンプの性能、そしてギタリストの技術ですが、それに加えてエフェクターも重要な要素です。
エフェクターを使うことで、上記の要素だけでは出せないサウンド効果を出すことが出来ます。
特に、現代ロックにおいては、エフェクターを一切使っていない音楽を探す方が難しいかもしれません。
今回は、日本が世界に誇るエフェクター・ブランド、Boss Super Chorus CH-1を紹介していきます。
コーラスとはどんなエフェクター?
エフェクターには、大きく分けて原音系、変調(モジュレーション)系、空間系と分類されます。
その中で、コーラスというエフェクターは、変調系のエフェクターと言えます。
原音に対して、それを変調した音を加えて、機種によってはステレオ効果を加えることも可能です。
エフェクターを通過したギターの入力信号に対して、ほんのわずかに遅らせたエフェクト音を出力させることで、音に揺らぎを出しています。
原理的には、空間系のエフェクターであるディレイに近いかもしれません。
コーラス・エフェクターは、クリーン・トーンのアルペジオやカッティングやストロークで透明感のある音を出す目的でよく使われます。
もちろんギター以外の音、特にヴォーカルにも使われることが多いエフェクターでもあります。
CH-1はどんなコーラス?
Boss Super Chorus CH-1は、1989年に発売されました。
高音域まで抜けの良いシャープかつクリアなサウンドが特徴で、後の時代のコーラス・エフェクターの定番モデルと言えます。
トランジスタ・アンプの名機とされるRoland JC-120も、このCH-1に似たサウンドの特徴を持っていますが、こちらの方が先に発売されていて、世界的な評価を得ていました。
JC-120で得た高い技術力がこのエフェクターにも活かされていると思います。
もちろん、JC-120以外のアンプでも合います。
ギターではシングルコイルのギターの方が、その繊細なサウンドに向いている気がします。
ハムバッカーでも厚みのあるクリーンな音や、カッティングに深みを加えるなど、幅広い用途で使えるでしょう。
ギター・ソロの際にドライヴ系のエフェクトと合わせて使う、という方法も一時期流行しましたが、現在では古い使い方かもしれません…。
現行の製品はデジタル回路が搭載されているので、ロー・ノイズかつエフェクトのレスポンスが非常に良いです。
気付かれない程度に薄くかけてクリーン・トーンに存在感を持たせたり、深く効果を持たせて特殊なサウンドを作っても面白いと思います。
CH-1のセッティング方法
・エフェクターの接続順序
まず、エフェクターの接続順序について解説します。
前述の通り、エフェクターは大きく分けて歪み系、変調系、空間系に分類されると書きました。
ギターからアンプの間にエフェクトを接続するわけですが、エフェクター同士の接続順序も上記の順が一般的とされています。
理由は、歪み系を後ろにしてしまうと、空間系のウェット音(エフェクト音)にまで歪みが加えられてしまい、音が濁ってしまうからです。
変調系も含めて、敢えてそのようなサウンドを狙うのであれば構いません。
さらに詳細に書いてしまうと、それだけで1つの記事になりますので、またの機会にしたいと思います。
・CH-1の設定
それではコーラスのセッティングについて説明していきましょう。
以下CH-1に装備されているコントロール・ノブです。
- E. Level ウェット音の音量を調節します。
- EQ ウェット音の音域を設定します。
- Rate ウェット音の揺らぎの「周期」(速さ)を調節します。
- Depth ウェット音の揺らぎの「深さ」を調節します。
まずはE. Levelで原音とウェット音のバランスを設定し、それぞれの音量を調整します。
バランスが決まったら、ウェット音の音域をイコライジングします。
注意する点は、高音域を強調し過ぎると、不自然なサウンドになってしまうので、何度も調整して試してみてください。
次に、コーラス・サウンドの要である「揺らぎ」を、RateとDepthでコントロールしていきます。
このRateとDepthの調節は、どのようなサウンドを作りたいかによりますので、「これが正解」という操作の仕方はありません。
ここで標準的な例を挙げてみたいと思います。
バラードなどのゆったりした楽曲であれば、Rateは遅く設定し、Depthを深めにしてみます。
ポイントは、Depthの設定と、音色にあったフレージングです。
幻想的な空間を演出するギター・サウンドを目指してみましょう。
CH-1によるサウンドメイキング
コーラスのエフェクターは、主にクリーン・サウンドに対して「厚み」「深み」を付加するエフェクターです。
クリーン・サウンドが要求される場面でコーラスをオンにすることで、立体的で空間の広がりを感じられるギター・サウンドを出すことが出来ます。
もちろん、単にコーラスをオンにしただけでは、美しいウェット音は出力されません。
何度もコントロール・ノブを操作してみたり、エフェクトにマッチするようなフレーズやアルペジオなどと組み合わせるとより効果的です。
Boss Super Chorus CH-1は、スタンダードなコーラス・エフェクトです。トリッキーで飛び道具的なサウンドというよりも、完成度の高い安定したコーラスを作ることが可能なエフェクターと言えます。
Bossの高い技術力による高品質なエフェクターですので、手元にあると非常に重宝するでしょう。
関連記事