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カラオケで歌う人の中には、しゃくりがたくさん入ってしまうという人がいます。
しゃくりがたくさん入ると採点時にその分だけ加点されるのでしょうか。
減点の対象になることはあるのでしょうか。
今回はしゃくりが多い原因やしゃくりのメリットとデメリット、無意識に出てしまう場合の治し方や効果的な例などを紹介します。
カラオケでしゃくりが多いのはなぜ?
しゃくりが多い原因
しゃくりとは音を目的の音に向かって下から上へ滑らかにつないで運ぶテクニックです。
しゃくりを使うと歌に抑揚が生まれ、感情を込めて歌っているように聞こえます。
多くの歌手がしゃくりを当たり前のように使い、より楽曲や自分の声を魅力的に伝えるために使っています。
カラオケを楽しむ人でもしゃくりを多く使う人がいます。
しかし、中にはしゃくりを無意識に使ってしまっている人もいるのです。
無意識あるいは無自覚に使っているという原因は主にふたつのことが考えられます。
ひとつは歌手のクセをまねてしまっていることです。
曲をしっかり聴いて覚えることは良いことですが、声質や歌うクセまでまねてしまうと、歌う時に変なクセがついてしまったり、自分に合わない発声でノドを痛める危険もあります。
もうひとつは音程の取り方が下から探るように取ってしまっていることです。
音程に自信がなかったり、高音域が出なくて下からずり上げるように音を取ってしまうクセのある人は、しゃくりが増えるだけでなく音程の精度が悪くなりクセの強い歌に聞こえてしまいます。
しゃくりはなくす方がいい?
しゃくりの全くない歌はどのように聴こえるでしょうか。
例えばクラシックの声楽や合唱などではしゃくりまたはフォールをポルタメントと言いますが、不必要に入れることはありません。
特に古典派以前の楽曲ではしゃくりを入れることは時代の様式にそぐわないとされています。
ではカラオケの楽曲ではどうでしょうか。
音程はよりクリアに聞こえるかもしれませんが、少し味気ない印象の歌になってしまうでしょう。
テレビ番組のカラオケバトルでは音程の精度が際立っていますが、しゃくりも相当な回数がカウントされている場合もあります。
これはしゃくりを抑えて歌う所と抑揚をしっかりつけてしゃくりもいれて歌う所とを決めて、本番でもそれがしっかり出せるように練習しているからだといえます。
カラオケ採点は機械が行うので、息の勢いなどで自然に生まれた抑揚などもしゃくりとして拾う場合があります。
音程や安定性の精度が高い状態、例えば90%以上ならば神経質になりすぎなくて良いでしょう。
安定性や表現力の加点を見たり、録音した声を聞くなどトータルに考えて治すべきかどうか判断しましょう。
しゃくりがたくさん出るのは良いこと?
しゃくりのメリットとデメリット
しゃくりは曲全体の表現のなかでふさわしい形で使われれば演奏効果として力を発揮します。
では、しゃくりのメリットとデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。
しゃくりのメリットとしては次のようなものが挙げられます。
1.歌に抑揚が生まれる
音を下から上に速いスピードでつなげるということはそこにエネルギーが生まれ、強弱とは違う抑揚として感じられます。
カラオケ採点でなかなか表現力の項目が上がらないという方は、しゃくりを加点要素として入れると同時に表現の勉強としても取り入れると良いでしょう。
2.個性的な歌い方になる
しゃくりを入れるということは一瞬音がまっすぐでない状態が生まれ、それが個性や感情を込めた表現につながることがあります。
しかしやりすぎると間違いとしてとらえられたり、くどく聞こえたりすることもあるので注意が必要です。
しゃくりのデメリットとしては次のようなものが挙げられます。
1.必要以上に多いとくどく聴こえる
しゃくりはむやみに使うと歌がくどく聴こえ、演奏効果が減ってしまいます。
AメロBメロでも使い続けサビで音量が大きくなったところでさらに使ったら、1番が終わった時点で聴く側はもう飽きた、聴き疲れた、という気持ちになりかねません。
2.音程が取れていないと思われてしまう
しゃくりを使い続けていると音を探りながら歌っている、と聴く人に思われる可能性があります。
3.歌い方に変なクセがついてしまう
しゃくりをやたらに使っていると、音程を下から取ることが習慣になってしまいます。
音程を下から取るクセがある人は音程の精度が上がらずに下手に聴こえたり点数が伸びないだけでなく、発声にも悪い影響が出ます。
なお、カラオケ採点でしゃくりは数を多く入れた分だけ加点されるわけではなく、一定以上の回数を入れても点数は伸びないとされています。
機種にもよりますが、15回程度が上限といわれています。
多すぎると即減点とも言い切れないですが、音程の点数が良くない、または録音してみてクセが強く感じられたり、人から指摘されたら治すようにしましょう。
しゃくりの治し方
無意識あるいは無自覚にしゃくりが出て歌の精度に影響が出てしまう場合は治した方がいいです。
ここでは不必要なしゃくりを治す方法を紹介します。
まずは正しい音程とリズムを覚えましょう。
拍を手で叩きながら歌います。
この時、抑揚や感情を込めようと思わず、音がどこで変わるか、言葉がどのタイミングで入るかに意識を集中しましょう。
また言葉ではなく、「ター」や「ナー」で歌うのも効果的です。
「タータター」「ナーナナナー」と音が変わるごとに言い直して歌うとリズムがはっきりし、音をまっすぐ取りやすくなります。
音程はまっすぐ、あるいは上から取るくらいの意識の方がきれいに取れるようになります。
しゃくりをする人は歌が上手い?
しゃくりのやり方と効果的な例
しゃくりとは音を目的の音に向かって下から上へ滑らかにつないで運ぶテクニックです。
使う条件としてはとしては音が上行するとき、あるいはフレーズの始めになります。
しかし音が細かく動くところや静かに歌うところでは意識的に使うのは難しいです。
使いやすいのはサビの音が上がる所で、息の勢いがつきやすく印象にも残りやすいので演奏効果も高くなります。
フレーズの始めや語頭で入れるのはインパクトがありますが、くどい印象を与えることがあるのでよく考えて使いましょう。
どこで入れるかは曲ごとに違いますが、母音で歌ってみると入れやすい場所が見つかりやすくなります。
同じ母音で音が上行するところはしゃくりが入れやすいです。
また、言葉でいうとヤ行が最初にある言葉はしゃくりを入れやすい傾向があります。
例えば「よろこび」という言葉を発音してみると、最初の「よ」は「い」の母音が一瞬発音されてすぐに「お」の母音に移るのですが、母音どうしが滑らかに変わる発音と上行する音を合わせるとしゃくりが無理なく生まれます。
しゃくりの効果的な例として、『桜坂』(福山雅治)で見てみましょう。
1番の歌詞「揺れる木漏れ日」の「ゆれ⤴る」と「こも⤴れ」、「薫る桜坂」の「さく⤴ら」で使われています。
サビではありませんが、「揺れる」「木漏れ日」など歌詞に描かれた風景をよく表現しています。
他の効果的な例として、『三日月』(絢香)も見てみましょう。
1番サビの歌詞で印象的に使われているところがあります。
頑張っているからねって 強くなるからねって
繋がっているからね⤴って 愛してるからね⤴って
同じメロディーが当てられていますが、2回目の歌詞の方にしゃくりが使われているのがポイントです。
「繋がっている」「愛してる」の歌詞の方にしゃくりを使うことで、相手への思いや逢えない切なさをより伝えるものになっています。
しゃくりの多い歌手
しゃくりが多い歌手、しゃくりを上手く使っているといわれている歌手を以下に挙げてみます。
・福山雅治
・絢香
・aiko
・稲葉浩志(B'z)
・河村隆一(LUNA SEA)
彼らの代表曲を聴いてみると参考になることや、しゃくりの入れ方にも個性が現れています。
しゃくりをポイントに聴いてみると新鮮な発見や新たな魅力が見つかるでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
しゃくりは表現力のテクニックの中でも比較的取り入れやすいので、加点のために入れがちです。
しかし音程を取るのに下からしゃくって取ってしまうクセになっている場合は治さなければいけません。
歌手の歌を聴いて覚える際にも慣れてきたらしゃくりをどういうところで使っているか、またどこで使うとより良く伝わるか考えると曲への理解も深まります。
テクニックありきではなく、どう伝えるか、どう表現するかで、どのようなテクニックを使うべきか選べるようになったり歌えるようになると、よりカラオケで歌うことが面白くなるでしょう。
ありがとうございました。