今回紹介するエフェクターは、Boss TE-2 Tera Echoです。
Rolandの独自技術MDP(Multi-Dimensional Processing)を駆使して製作された、最新エフェクターです。
昔から空間系エフェクトには定評のあるRoland。どのような機種なのかまとめてみました。
ディレイ?リバーブ?新感覚エフェクトのTE-2 Tera Echo
その名前だけ聞くと、アナログ・テープ・エコーのデジタル版?というイメージが湧きます。最新技術でアナログ・ディレイを再現したものでしょうか?
Bossだからこそできるハイ・テクノロジーMDP搭載のTE-2、どんなエフェクターなのでしょうか。
似ているようで違う!リバーブとディレイの違い
「ディレイでもリヴァーブでもない」と公式サイトにはあります。TE-2の解説をする前に、ディレイとリヴァーブの違いをおさらいしましょう。
まず、ディレイとは原音に対して跳ね返って来た音です。日本語で言うと「やまびこ」ですね。
跳ね返って来る音を人工的に作り出すのがディレイというエフェクターです。
そしてリヴァーブとは、そのディレイが無数に反射を繰り返したもので、音が響く「残響空間」をシミュレートしたものです。
学校の廊下に響く足音と、体育館に響く足音は、聞こえ方が全然違いますよね。
廊下にいながら体育館の響きを作り出すのが、リヴァーブというエフェクターです。
ディレイとリヴァーブに共通しているのは、「音の遅れ」「残響」という点です。
ディレイは個別的な残響で、リヴァーブはより抽象的な残響、というとイメージしやすいかもしれませんね。
本題。TE-2はどんなエフェクターなのか?
ペダルのスイッチをオンにして、出力された音の第一印象は、「ディレイとリヴァーブとコーラスを同時に出した音」。
デジタル・エフェクターですが、ディレイ音がテープ・エコーに近い感じで、高域がゆっくり減衰していくような、どこか懐かしい響きです。
そこにリヴァーブが同時に加わることで、幻想的な雰囲気を演出してくれます。
複数のエフェクターを組み合わせないと、こういったニュアンスは今まで出せなかったと思います。
さらにピッキングの強弱に合わせて、エフェクト音の表情が変わるというのも面白いです。
弱くピッキングするとディレイ+リヴァーブ、そして強くピッキングした時はモジュレーションが強く効き、オート・ワウやアナログ・シンセサイザーのようなニュアンスの音に変化していきます。
これはリフやリードプレイだけでなく、作曲・編曲でもすごくイメージを掻き立ててくれます。
まさにMDPのなせる技ですね。
基本はディレイでありながらプラスアルファの要素に富み、かなり実験的でプログレッシヴなペダルであると言えます。
TE-2のセッティングと使いどころ
TE-2のコントロール・ツマミはE.Level、Tone、Feedback、S-Timeの4つから成っています。
それぞれの用途は以下の通りです。
- E.Level エフェクト音の音量を調節
- Tone エフェクト音の明るさ(音質)を調節
- Feedback エフェクト音の減衰具合を調節
- S-Time エフェクト音の長さを調節
S-Time(スプレッド・タイム)が、これまでの空間系エフェクターと一線を画すパラメーターです。
短めに設定するとロカビリー的なショートディレイ、長く設定するとポストロックのような幻想的なサウンドになっていきます。それでも残響サウンドの中でもギターのドライ音はしっかり埋もません。
前述の通り、ピッキングの強弱によく反応してくれるので、ノーマル・ディレイとしても十分使えます。
また、ロングトーンを鳴らしてる最中にS-Timeを操作することで飛び道具的な使い方も可能です。演奏中のオペレーションには慣れが必要ですが…。
日本のギタリストで言うと布袋寅泰さんやSUGIZOさんの楽曲で使われているような感じと言えば分かりやすいでしょうか?
ペダルを踏み続けている間にエフェクト音を出し続けるHold機能を使えば可能性は更に広がりますね。ポストロック・サウンドを作り出すのにも最適です。
TE-2は感性とギターを直結してくれる魔法のペダル
記念すべきBossの100台目のコンパクト・エフェクターとして発表されたTE-2。
100台目という節目に恥じない、Rolandのテクノロジーを結集させた機種であることが分かりました。
エフェクター側の設定だけでなく、プレイヤーの演奏で表情をリアルタイムに変えていくサウンドは、エフェクターの新時代を感じさせます。
最新鋭のテクノロジーとクオリティの高いエフェクトを持ちつつ、ヒューマンなニュアンスがギター・サウンドを変化させてい来ます。
TE-2は、プレイヤーの感性と演奏を橋渡ししてくれる未来派のペダルです。
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