今回はケンタウルスとソウルフードをご紹介します。
1994年に発売されたケンタウロスはプロミュージシャンの使用により人気が高かったのですが、価格も高かったため現在は生産が終了しています。伝説的というかレアな存在でもあるため中古市場での値段は高騰しております。ノブ、パネルなどケンタウルスのために作られたパーツを使用し、すべて手作業で作られているため非常にコストがかかったペダルといえます。
ケンタウロスとソウルフード(エフェクター)の比較と評価レビュー。
キング・オブ・オーバードライブと誰が言い始めたのか知りませんが
現在では給料1ヶ月分と言われているなかなかの高値で取引されておりますケンタウルス、簡単に振り返ってみましょう。
開発者はビル・フィネガン氏、ボストンのギタリストでした。
テレキャスターとフェンダー・ツインリバーブを愛用していたのですが、
会場によってアンプのボリュームを上げられるところと上げられないところがあり、そのトーンの差に悩んでいました。
たまたま売りに出ていたTS-9やTS-808を試してみましたが、チューブスクリーマーの回路はトーンが変わってしまうのに納得がいかず、自分の理想とするエフェクターの開発を始めます。
電気回路の知識のなかったフィネガン氏は、MIT電気工学科を卒業した友人と共に、自分の理想とするものを具体的に形にして行きます。
一年目にプロトタイプが出来あがりましたが、まだ納得できるものではなかったので、
更に開発をすすめことにしました。
その友人が途中引っ越してしてしまったので、同じくMIT出身のフレッド・フェニング氏に手伝ってもらうことになります。
そして、4年半の開発期間を経て、1994年末に完成します。
1994年末から2009年生産終了まで、約8000台が作られました。
回路的には、昇圧回路を使ってオペアンプを18V駆動させ、クリーン音とエフェクト音をミックスさせたいわゆるクリーンミックス回路を使ったエフェクターとなります。
クリッピングダイオードは、ゲルマニウム・ダイオードを採用しています。
昇圧回路という内部の電圧を上げる回路があり、これがサウンドに大きな影響を与えていると言われてます。電圧が強くなることにより出せるサウンドの幅が広がります。
「通すだけで太くなる」「ケンタウルスのバッファが優秀」といわれますが、ヴォルテージフォロワーとなっています。
2009年に生産終了となり、プレミアが付きいろいろなメーカー、個人ビルター達によって、みんなの稼ぎのネタとして、ケンタウルスが使われていると、エレクトロ・ハーモニクス社のビル・マシューズの耳に入ります。
それなら、「うちの社で再現してみせよう」とエレクトロ・ハーモニクス社によって「ソウル・フード」が発売されます。
ケンタウロスクローンと呼ばれ、その名前の通りケンタウルスのサウンドを目指したりモチーフとしたオーバードライブペダルの総称です。ケンタウルスのクローンモデルが数多く販売されていることから、歪み系ペダルのジャンルとして確立されていると言っていいでしょう。
現在の価格、9000円位というお手頃価格となっています。
オリジナルの筐体は大きかったのですが、ソウルフードではMXRサイズにおさまっています。
パーツには表面実装部品が使われ、クリッピングダイオードはシリコンダイオードが使われているのが大きな違いです。
また、バイバス音がトゥルーバイパスかバッファかを選べるスイッチがついています。
オリジナルとはいくつかパーツの定数の違い、省略されているパーツがあります。
サウンド
ケンタウルスは使用するアンプで印象が変わってきます。また単体として評価するのではなく、他のアイテムとの組み合わせにより本来の持ち味が発揮されます。ローファイな感じだったのがセッティングしだいで艶のある最高なサウンドに変わるポイントがあります。アンプでは表現できなかったような部分を補う、というよりそれ以上のパフォーマンスを発揮するでしょう。
ケンタウルスは時代によってサウンドに特徴がありますが、ソウルフードはオリジナルに非常に近いサウンドを再現しており、高い評価を得ています。
ソウルフードはシリコンダイオードを使っていますので、サウンドは当然違います。
でも、使えない歪みかというとそんなことはないです。
ソウルフードのほうはイコライザーの効きが良く、強く歪ませたサウンドならこちらのほうが最近のロックに合う、というか使いやすいと思います。ハイが上がったトレブリーなサウンドも得意です。それでいてコードの分離間、和音の響きも良く出ています。アナログ的な粘り感と歪みの暖かさはケンタウルスより以上にあります。
ケンタウルスと比べると音の立体感が少し足りないような気がしますが、歪みを強めに出したいのならソウルフウードのほうがロックに向いていると思います。イコライザーの効きも影響しているためかバンドサウンドの中に埋もれることもなく、抜けの良い音が楽しめます。変なクセが無くピッキングの反応も心地良いです。
クリーンミックスの音が心地よいです。(ここはオリジナル同様です)
それでは、ゲルマニウムダイオードに変更すればいいのだろうと思ってる方、
それはちょっと危険です。
エレハモ製品は、壊れやすいです。
ケンタウルスと比べると高音域が固く引き締まり、気持の良いドライブサウンドが楽しめます。9V電池も使えず、専用アダプターでしか駆動できないなど欠点というか制約もありますが、クリーンなアンプセッティングでも美しく歪み、コストパフォーマンス的には最高だと思います。
ケンタウロス系エフェクターの中では一番安く手に入るのではないでしょうか。ケンタウロスのようにアンプのゲインブーストとして使ったり、クランチサウンドやバッファーとして使用するなど、安くても何ら問題はありません。
でも、音にこだわる方は納得しませんよねー。
あと、一万円ほど出せばもっと評判のよい「アーチャー」という選択肢があるのをお知らせして、ここに終わりたいと思います。
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