RAT2はアメリカのPROKO SOUND社より1988年に発表されました。ロックはもちろんブルースなど幅広いジャンルに対応し、歪み系では定番的なポジションを獲得しました。
RAT2エフェクターのブースターとしてのセッティングや使い方についての記事です。
rat2エフェクターのブースターとしてのセッティングや使い方
近年は定番ブランド以外の第三勢力的なエフェクターのブランドが増えていますね。
それらの多くは低価格かつ高品質で真空管アンプの歪みを狙ったペダルが多いように思います。
今回は超定番ディストーションペダルの一つであるProCoのRAT2をご紹介します。
クセになる?独特のディストーションサウンド
ジェフ・ベックが使用したことで一躍有名になった本機。
単体で深く歪むということで、それまで主流だったBOSSやMXRのオーバードライブとは一線を画す存在だったようです。
エッジが効いた荒々しいサウンドですが、まとまりがあり音が潰れにくいため使いやすいほうだと思います。
マイナーチェンジを繰り返しながら今日まで多くのギタリストを魅了してきました。
特徴は何と言っても、ファズとも受け取れるその独特の深いディストーションサウンドです。
歪ませるほどに太くなるサウンドはバンドの中でも埋もれてしまうことはなく、特にライブでは活躍できるでしょう。
RAT2のセッティング
コントロールはDISTORTION、FILTER、VOLUMEの3つ。
全体的にツマミの効きが良いのでちょっとずつ上げていきましょう。
基本的にはディストーションペダルなのですが、歪みの幅はかなり広くなってます。
DISTORTIONツマミが7時から9時くらいの位置でクランチ、10時から1時の位置からディストーションの音になってきます。
真空管アンプのナチュラルな歪みとは趣が異なりますが、どちらも歯切れの良いキメ細かな音が特徴です。
14時を過ぎたあたりから歪みはどんどん過激になってゆき、低音が潰れた感じのファズのような音になります。
この音もクセになる良い音です。
ブーミーなサウンドは図太いリードに最適です。歪みが強くなるとサウンドは細くなりがちですが、RAT2は他の楽器に埋もれることはなくバンドの中でもギタリストの存在感を主張します。
VOLUMEのツマミも12時の位置を過ぎてからの効きが良いので、ブースターとしての使用もオススメです。
歪みと音量に関しては一般的な歪みエフェクターと同じなのですが、RAT2トーンコントロールにあたるFILTERツマミがポイントです。
一般的な歪みエフェクターのトーンコントロールは右に回すと高音域が強調された音になりますが、FILTERツマミは右に回すほど高音域がカットされます。
ゲインを上げすぎると荒々しさが強調されますが音が潰れにくいため、バッキングでの使用にも適しています。ゲインの幅が広いためクランチからメタルサウンドまで使用用途も幅広いです。これが人気の最大の理由だと思います。
好みの歪みにセッティングした時にハイが暴れるようであれば12時より右に回してカットしてあげれば聴きやすい音になります。
逆にフィルターを全カットでDISTORTIONとVOLUMEを高めにしてファズ風のサウンドにしてギターを掻き毟るように弾くのもオススメです。
また、歪みエフェクター定番のブースターとしての使用方法ですが、VOLUMEは3時からMAX、FILTERは12時より左で調整、最後にDISTORTIONを9時までの位置で調整します。
最後が重要で、DISTORTIONが0だと全くブーストされないのと、9時を過ぎると急激に歪み出して大変なことになります。
気持ちいいところを見つける楽しみがあります。
RAT2の歴史
RAT2という名前からわかる通り「RAT」と呼ばれるエフェクターも存在します。
しかし、音のキャラクターはほぼ同じと言っていいと思います。
サウンドは粒が粗くザラついた感じで、どのような音楽にも対応できるようなものではありませんでした。レンジも広くはなく音作りも限定されたものでしたが、迫力のある低音で歴史に残るバンドのレコーディングにも使用され、いまだに使い続けられているエフェクターです。
そのRATの原型は1978年に製作されていますが、RATとして生産を始めたのは1979年です。
この頃のRATの特徴としてFILTER(この時はTONEと表記)の効き方が現在のRAT2と逆で、右に回すほど高音域が強調されるようになっていました。
その後1981年のモデルからTONEはFILTERと表記を変え現在と同じに右に回すと高音域がカットされるようになります。
1984年には筐体が一回り小さくなり、現在のRAT2にかなり近いルックスのものになります。
これにより、1984年以降のRATを「Small Box RAT」、それ以前の大きい筐体のものを「Large Box RAT」と称されるようになります(「Large Box RAT」は「Vintage RAT」として復刻し1991年から2005年まで清算されます)。
そして1988年にはエフェクターのオンオフがわかるLEDインジケーターが追加されたものが「RAT2」となります。
RAT2は当初フラットな筐体でしたが、2003年からは傾斜のついた筐体となります。
最終的にペダルボードに残るのはRAT2のようなエフェクターなのかもしれない
私が初めてRAT2を手にしたのは確か17歳の頃で、当時憧れていたギタリストが使っていたからという理由で使い始めたのが最初でした。
それからずっと使っているというわけではなく、色々な歪みエフェクターを使ってきましたが、何年かの周期でRATに戻ってくるということがあります。
今回もレビュー作製にあたり久々に取り出しましたが、その奥深いサウンドに心踊るものがありました。
また、マイナーチェンジを日常的に繰り返しているペダルなので、A店に売ってるものとB店に売ってるものの音が違うということもよくあります。
個体の違いを楽しむのもいいですね。
ギタリストであればその音を一度は体験して欲しいです。
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