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カラオケで声量が足りない、とお悩みの方がいる一方で、声量がでかい、ありすぎる、と言われる方もいらっしゃいます。
声量があることはいいことのはずが、うるさいと言われたり、迷惑がられたり、マイク音量を勝手に調節されたり、ということもあるのです。
そこで、声量があることで聴く人に不快感を与えてしまう原因や、逆に小さい声で歌ったらどうなるのか、声量の大きさを活かす方法までお話ししていきたいと思います。
カラオケでうるさいと言われた
声量がありすぎるのは損なこと?
歌う上で声量があることは本来とても良いことです。
小さい声の人よりもアドバンテージがあることは確かですし、長所ともいえます。
それに声が大きい人は精神的に解放されている、心を開いた状態であることが多く、表現も豊かにしやすいでしょう。
大きい声を小さくすることは比較的しやすいのですが、小さい声を大きい声にすることはすぐには難しいことが多いです。
恥ずかしさなどの精神的な面だけでなく、発声は筋肉の運動なので、腹式呼吸にもとづく息の支えや歌いきる体力はすぐには身につかないからです。
声量がありすぎてうるさい、などと言われた場合は、声を全体に小さくするよりも、声の質を改善したり、声量が大きいことをどう活かすかを考えた方がいいでしょう。
声を張り上げるとうるさいのはなぜ?
カラオケでうるさい、と言われる場合、声を張り上げている歌い方をしていることが多いと思われます。
張り上げた声、というのは、首に青筋を立てて、力いっぱい叫ぶような出し方の声、といえます。
張り上げた声がなぜうるさい、と感じてしまうのでしょうか。
張り上げた声の出し方は、本来リラックスするべきノド、首、肩、アゴなどに力が入った状態で声を出していて、力みや緊張感が歌っている人にも伝わります。
音量の大きさに加え、歌っている人の力みや緊張感が聴く人のストレスを増加させてしまうのです。
また、張り上げた声は体の共鳴が使えていない声であり平面的な音のため、音楽的に響きのあるきれいな音として感じられません。
また、張り上げた声で歌う人は周りが見えていないことが多く、BGM、ミュージックとバランスを取るような感覚もあまり持てていないと思います。
曲全体でもメリハリがなく、ずっと大きい声で一本調子で歌っていることが多い傾向にあります。
張り上げた声は響きのない平面的な音で、歌う人の力みや緊張感が聴く人にストレスを与え、また声を張り上げて歌う人は音量のバランス感覚にかける傾向がある、といえるのです。
しかし、声量があることは長所でもありますので、声をただ小さくするだけではその長所も小さくなるだけです。
また、張り上げた声の出し方はノドの負担が大きく、声帯を痛める原因にもなります。
声量を良い形で活かし、またノドのためにも力みのない、響きのある声を作っていく必要があります。
力みのない、響きのある声を作るためにはブレストレーニングや共鳴を意識した練習が必要です。
腹式呼吸に基づくブレストレーニングはビブラートやロングトーンの関連記事で、共鳴を意識した練習は声量を上げるためのコツを書いた関連記事に詳しく書いていますので、ご参照ください。
ちなみに、普段からやたら声が大きい人で心配なことが、聴力に問題はないか、ということです。
耳の遠いご年配の方が大きい声で聞き直す、というのを見たり聞いたりしたことがあると思います。
加齢によって聴力が衰えれば誰でもこうしたことが起こりえますが、環境などによっても年齢に関係なく聴力の衰えるリスクはあります。
例えば、以下のようなことが思い当たることはあるでしょうか。
・テレビの音が大きすぎると指摘された。
・ヘッドホン、イヤホンで音楽、動画などを習慣的に聴いている。
・バス、電車などの移動中でもイヤホンで音楽、動画などを聴いている。
上記のようなことが当てはまる場合は注意が必要です。
ヘッドホン、イヤホンは音がダイレクトに耳に入るので、聴覚器官の負担が大きくなります。
特に車や電車内、人の多い市街地などは周囲の音が大きいので、イヤホンで聴いている音量を通常よりも大きくしがちで、耳の負担がさらに大きくなります。
四六時中イヤホンで音楽を聴いているような人は、移動中はなるべく聴かないとか、時間を決めるようにする、静かな時間を作るなど、耳のケアにも少し気を配りましょう。
しばらくケアしても聞こえが悪いなどの自覚があったら、医療機関での診察をお勧めします。
小さい声なら歌えるのか?
小さい声で歌うと上手い人とは?
小さな声でなら上手く歌える、という人がいます。
他人が客観的に聴いて、本当に上手い、と言っていたら、それはすごいことだと思います。
小さな声で上手く歌うということは、実はとても大変なことなのです。
音量が小さくなるように息の支えを保ちながら、響きがきれいで音程が正確で、さらに感情も豊かに表現する、これらを小さい声で成立させることはとてもエネルギーがいることです。
歌う人のなかには、大きく歌うのと同等、あるいはそれ以上に大変だ、という人もいるほどです。
自分で鼻歌程度に歌って、歌えているな、と思っても、いざカラオケで歌ってみたら全然歌えなかった、ということがあります。
家で周りに気を遣いながら歌っている声は、実際にしっかり歌うときの体の使い方ができていない場合がほとんど、といっていいでしょう。
周りに気を遣いながら小さい声で歌う息や体の使い方が癖になってしまうと、大きな声で歌った時にバランスが取れなくなってしまいます。
試しに小さい声で歌って上手く歌えている、という声を録音してみてください。
大抵は期待外れの声に聞こえてしまうと思います。
体の使い方をセーブした声は音程も不安定になりがちで、声に芯がなく、表現もメリハリも乏しいものになってしまいます。
ちなみに、自分の録音した声に違和感を感じる方は多いと思います。
それは、自分の声は、外からの音を聞くのとは違う音の伝わり方が存在するからです。
実は、自分の声を聞き取るルートはふたつあります。
ひとつは、口から出た音が空中を伝搬して耳に到達するもので、この空気が伝わった音を「気導音」といいます。
もうひとつは、声帯の振動が頭蓋骨を通じて直接的に伝えられるもので、これを「骨導音」といいます。
自分以外の他の人は「気導音」だけを聞いていますし、録音した自分の声も「気導音」です。
しかしあなた自身は「気導音」と「骨導音」の両方を聞いています。
小さな声だと「骨導音」の比重がさらに高まり、実際の声とのギャップがさらに大きくなります。
実際にあなたが人に伝えなければいけないのは外に発せられた「気導音」の方なのです。
曲のイメージをつかむ時や覚える段階では、小さい声で歌うことはもちろんありますし、小さい声で歌うことが無意味とは言いません。
自分の声は自分自身が感じるのと、他の人が聞くとでは違いがあることを理解し、歌う際には時には録音したり、信頼できる人に確かめてもらったりして、客観的な視点を持つようにしましょう。
カラオケで声量はいらない?
カラオケのマイクはいらない?
マイクなしでBGM、ミュージック音量が通常レベルのまま、上手に歌えていたとしたら、その人は普段からマイクなしで舞台で歌っているような方、もしくはそれと同等の力量があるといえます。
声量があってうるさい、と言ってマイクなしで歌わされると、今度は思ったより聞こえない、というケースもあります。
その場合、その人の声自体が、共鳴の少ない響きのない声、ビブラートのない声である可能性があります。
そしてカラオケのマイクは音量だけでなく、エコーもついています。
マイクを使わないということは音量だけでなく、反響する音までも減ってしまい、ますます歌いづらく感じるでしょう。
人前で生の声で歌う機会でもない限り、マイクを使った方が自分の声に余裕をもって楽しめると思います。
ちなみに、カラオケの採点機能はマイクがオンの状態で、マイクが音を拾わないと採点されませんのでご注意ください。
カラオケで声量は抑えるべき?
先にも話した通り、声量があること自体は良いことです。
しかし、ただ全体的に声を弱めるような歌い方では、せっかくの長所を消してしまいますし、声を絞って小さくするようなやり方だとかえって力んだりして悪循環になりかねません。
腹式呼吸にもとづくブレスコントロールと共鳴を意識した発声を身に付ければ、元々ある声量をさらに活かすことにつながりますので、発声についてもぜひ興味を持っていただければと思います。
しかし発声をきちんと身に付けるのは時間がかかることです。
発声を身に付けることと並行して、比較的すぐに取り組める方法を以下に書いていきたいと思います。
声量の大きさをより活かす方法
ひとつは抑揚、メリハリ、曲全体のペース配分を考えて歌うことです。
ロック調の曲であっても、のべつ幕なし100%の声で歌っている曲ばかりではありません。
よりサビを活かすために抑えて歌っているところもあるはずです。
料理に例えるなら、フルコースの料理が脂っこい料理ばっかりだったら、いかに高級食材といえどもメインにたどり着く前にうんざりしてしまうでしょう。
抑えるところは抑え、サビや聴かせどころで持ち味の声量を存分に発揮すれば、ハードな曲も歌いきりやすくなり、普段聴いている人も違う見方や評価をするかもしれません。
ふたつめは、BGM、ミュージックを意識して聴くことです。
自分の周りに鳴っている音楽を聴いて、バランスを取るように歌いましょう。
うるさい、と言われた場合、具体的にどのようにうるさいと感じたかを聞いてもいいと思います。
原因によって対応の仕方も変わってくるからです。
声だけでなくBGM、ミュージック音量も含め全体の音量が大きい場合は、BGM、ミュージック音量を落とし、落とした音量に合わせて声量を調整するようにしましょう。
自分の声が目立ちすぎる場合、他の人のバランスが悪くなければ自分の声量を落とす方がいいかもしれませんが、他の人の歌を聞いていてBGM、ミュージック音量が明らかに物足りないと感じたら、BGM、ミュージック音量を上げてもいいか聞いてもいいと思います。
みっつめは、マイクの位置(距離)を変えることです。
あなたは普段、口とマイクの距離をどの位取って歌っているでしょうか。
もし自分のこぶし一個分よりも短い距離の場合は、こぶし一個分の距離を取ってみましょう。
人によってはマイクの距離をあえて変えることで抑揚をつける人もいますが、まずはマイクの距離を一定にしておき、抑揚もあくまで自分の声でコントロールするようにしましょう。
最後に、マイクの音量、エコーの設定を変えることです。
音量やエコーはその人の声量や好み、部屋の環境などで変わってくるため、具体的な数値は言えませんので、気になる場合は調節しましょう。
マイクに限らず、音量の数値設定をころころ変えると、順番が来た時に歌っていた数値が都度変わってしまい、人によっては毎回歌う感覚が微妙に違って嫌だ、ということもあるので、まずは自分ができることで対応しましょう。
もし数値を変える場合は、変える前の数値を覚えておき、自分が歌い終わったら元の数値に直してあげるといいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
声量がなくて悩む人にとっては、声量がありすぎて困る、というのはぜいたくな悩みかもしれません。
しかし、声の悩みは人それぞれであり、声量がある人にはそれなりの悩みがあり、上手い人には上手い人なりの悩みもあります。
少し寄り道するような部分もあったかもしれませんが、声について、そしてそれにかかわる体のことなどについて知ってもらうことで、自分の声がさらに良くなるヒントにつながると思います。
声量があることは強みであり長所ですから、良い方向に活かせるようにしましょう。
そして、声量があることだけで満足せず、ぜひ発声のことにも興味を持っていただいて、自分の声を磨いていきたい、さらに良くしていきたい、と思ってもらえたら嬉しいです。
ありがとうございました。