今回はBoss DD-500をご紹介いていきます。
このエフェクターは、ギター用のディレイ・エフェクトです。
一昔前までは、ディレイというと、プロでなければ価格的にも構造的にもなかなか手の出せないエフェクターでした。
ディレイはデジタルでも非常に多くのデータを扱うため、コンピューターの処理能力がないととても扱えません。
現代の技術では低コストで高品質のディレイがたくさんあります。
Boss DD-500はどのようなエフェクターでしょうか。
Boss DD-500の評価レビュー。音痩せはする?
Bossが発表したディレイは、非常に評価が高い機種が多くありました。
その中でも、2001年に発売されたBoss DD-20 Giga Delayは、プロのミュージシャンにも愛用者が多く、高品質なエフェクターでした。
通常のストンプ・タイプのエフェクターと比べて2倍くらいの大きさがあり、デジタル処理された様々なディレイ・モードが搭載されており、使い方次第でギターとは思えないようなサウンドを作り出すことも可能でした。
時代的にもポストロックのギター・サウンドを演出してきたと言えるかもしれません。
Boss DD-500は、その後継機種として2015年に発売されました。
筐体のサイズは前機種とほぼ同じなのですが、フットスイッチが2つから3つに変更されています。
これはディレイのコントロールにフット・スイッチは3つ欲しい、というお客様要望にお応えしました、とのことらしいです。
ボディ筐体はスラントされており、とても踏み込みやすいです。
これだけの機種ですのでサウンドメイクでも多く使われそうですが、このような加工は、やはりライブでの演奏性もちゃんと考慮されているのだと思います。
中央のLCD画面は大きく、暗い場所の演奏でもしっかりパラメータが確認できます。
そしてデジタル・ディレイで気になる音質ですが、32bit/96kHz仕様となっています(DD-20は24bitでした。)。
非常に質の高い音の再現が可能になっています。
DD-500の各モード
DD-500には12種類のディレイ・モードが用意されており、パッチのメモリー数は最大297、Midi In/Out端子、USB端子、Exp端子装備と、単にギターと接続するだけではなく、様々な機器との接続が可能になっています。
DD-500の最大の特徴であるディレイ・モードは以下の通りになります。
- Standard クリアなサウンドが特徴なデジタル・ディレイ、その名の通り一般的なディレイです。
- Analog Analog BossのDMシリーズのアナログ・ディレイ・サウンドです。高音域が自然に減衰していくディレイです。
- Tape Roland/RE-201など往年のテープ・エコーのサウンドを再現しています。
- Vintage Digital Roland SDE-2000/SDE-3000、Boss DD-2などの80年代の初期デジタル・ディレイをモデリングしたディレイです。
- Dual 2つのディレイを直列/並列に接続したサウンドで、ダブリング・ディレイとしての使い方が期待できます。
- Pattern 16種類のディレイを独立して設定できます。リズミカルなディレイ・サウンドを作り出せます。
- Reverse サイケデリックな逆再生ディレイです。
- SFX ビットクラッシャーなどの特殊効果を含んだディレイです。
- Shimmer 原音に対してオクターヴ高いディレイを乗せる事で、幻想的なサウンドを生み出すことができます。
- Filter 揺らぎ効果を得るために、モジュレーション・フィルターをパスさせたディレイです。
- Slow Attack アタック音を抑えたボリューム奏法のようなディレイです。
- Tera Echo Boss TE-2のような動きと広がりのある空間を演出できます。
各モードは、Editボタンを押す事でエディットが可能になります。
ディレイをオフにした際、そのエフェクト音を残すか残さないかを設定できるCarry Over機能も当然装備されています。
また、Bossのエフェクターと言えば、エフェクターをオフにした際のバイパス音がバッファ回路を通過することが前提となる作りになっているケースが多いのですが、この機種はバッファかトゥルー・バイパスか選択することができます。
もちろんルーパー機能も付いていますので、ループ・フレーズを流しっぱなしにして、別途ギターを弾き続けることも可能です。
アナログ・ディレイだとどうしてもノイズや音痩せが気になりますし、デジタル・ディレイでは音の解像度が問題になりますが、DD-500はそのような問題もクリアしている印象を受けました。
楽器店で見つけた場合、ちょっと気軽に試奏してみて様々なモードを試してみる、というのは無理があるくらい、様々な機能があり、音の種類も豊富です。
かなり自由に音の設定が可能なので、時間をかければ様々なディレイ・サウンドを試して自分なりに細かな編集を加える、ということが可能なので、サウンドマニアにはたまらないかもしれません。
多くのプロ・ミュージシャンがペダル・ボードに組み込んでおり、様々なサウンドを追求しているということからも、今後のBossの定番ディレイとして販売され続けるのではないでしょうか。
音質
32bit処理ですので、当然最低ラインは楽々とクリアしている、と言えます。
ライバル機種はStrymon TimelineやEventide Timefactorあたりでしょうか。
スタジオ・クオリティのディレイと言えるレベルですが、これらのディレイは5万円以上、Boss DD-500は3万円代と、なかなか差があります。
お金のないギタリストにとって、同程度のエフェクターであれば、金額の安いものは非常に助かります。上記の差だと、他にもう一つペダルが買えてしまいます。
Eventideは、往年の名機と言えるH3000がある通り、その技術力を結集させたサウンドには定評があります。
しかし、ギタリストの視点での操作性や、PCとの連携を考えると、Bossに軍配が上がるのではないでしょうか。
足元に置けるタイプのディレイでは、ここまで幅広いサウンドメイクが可能なものはないと思います。
しかし、音の太さやクリアさでは、海外メーカーも引けを取らないかもしれません。
海外製品だと、英語が分からないと説明書などが読めない、機種によっては個体差が激しい、などの問題点もあります。
安心・安定で高い技術力による製品を発売し続けている、国内トップクラスのエフェクター・メーカーのBoss。
そのBossの高品質ディレイをぜひ体験してみてください。
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