ベース用エフェクターとして最も利用されているのは、コンプレッサー、イコライザー、そしてオーバードライブだと思います。
ベースにオーバードライブをかます事で、キックやギターとの差異を付けたり、よりロックっぽさが出せます。
今回は、1994年10がつに発売されて以来、20年以上に渡って売れ続けているBossのヒット・エフェクター、Boss Bass OverDrive ODB-3を紹介していきます。
Boss OBD-3のセッティング・音作りについて。
このODB-3が発表される前までの一般的なベース用オーバードライブは、歪みを深くしてしまうと低音が痩せてしまい、パワー感が損なわれてしまうものも多くありました。
また、ベース専用のオーバードライブは少なく、ギター用のオーバードライブやディストーション、ファズといったエフェクターが代用されていました。
元々ギター用なので、ベース特有の帯域を狙ったものではなく、音痩せの原因もそのせいかもしれません。
ODB-3の前身モデルとも言えるギター用のオーバードライブ、Boss OverDrive OD-3は、海外のギタリストからも高い評価を得ています。
ベース専用のオーバードライブであるODB-3は、そのノウハウを活かしつつも、ギター用のOD-3とは異なる、ベースに特化したコントロール部分を持っています。
以下でその説明をしていきます。
・Level
エフェクターの音量を調節します。
当然Minで最小、Miaxで最大音量を出力します。
・EQ
ギター用オーバードライブのOD-3の「Tone」にあたる機能を有しているのが「EQ」です。
こちらは2軸ポットが使用されており、外側のノブがLowで、内側のノブがHighをコントロール出来ます。
これを左に絞るとカット、右に絞るとブーストされます。
この機能は、OD-3にはなく、ODB-3がベース用に特化したものと言えるポイントになります。
原音系のベース用エフェクターでは、低音にエフェクト処理を行うため、このEQ機能できっちりと帯域を設定しないと、ベース音そのものに悪影響を与えてしまいます。
LowとHighのどちらもブースト可能で、効きもかなり良いと思いますので、積極的なサウンドメイクに向いていると思います。
低音の強調、エッジを効かせる、もしくは個性的なベース・サウンドを追求するなど、様々なシーンで活用できるでしょう。
・Balance
この「Balance」は、ODB-3の最大の特徴と言える機能を有しています。
ベースを歪ませていくと、単体で弾いている分にはさほど気にならず、ドライブ感のあるサウンドになります。
しかし、バンド・サウンドの中では、ベース音の芯がなくなってしまい、埋もれてしまって聴こえなくなります。
そこでBalanceのコントロール・ノブを活用する事になります。
Balanceは、ドライ音(原音)とウェット音(エフェクト音)の割合を決めることが出来ます。
これを調整することで、ベース音の芯を残しながらも歪んだベース音を作る事が可能になります。
EQでベースの原音を決定し、ウェット音のバランスをとる、という使い方が一般的だと思います。
・Gain
このコントロール・ノブは、その名のとおり単純に歪みの量を調整します。
EQと組み合わせて使う事で、ファズ・ベースっぽい音を作ることも可能です。
ギター用のOD-3は、チューブ・アンプを通したようなナチュラルで温かみのあるサウンドが特徴でしたが、このODB-3は、ディストーションのように激しく歪みます。
かなりハードに歪ませて、ハウリングを起こす、ギター顔負けのピッキング・ハーモニクスを繰り出すなどが可能になります(現実的に使いどころは迷うかもしれませんが)。
ベースのソロ・パートや、効果音的に使えるかもしれませんね。
Gainで歪みの量を調節し、Balanceでドライ音とエフェクト音をミックスさせて、バンド・サウンドの中でも埋もれずに、力強くボトムを支える音を作る事が出来ます。
サウンドメイクについては、自宅で大まかに作ったら、スタジオで他楽器と合わせながら作るのが良いと思います。
ODB-3のサウンドの特徴
ODB-3は、かなり幅広いジャンルに対応出来るという印象を受けました。
OD-3のようなウォーミーなオーバードライブから、各コントロール・ノブの調整によってファズのような音を作ることも可能です。
もちろん、ポイントでのブースターのような活用方法もありです。
EQとBalanceをうまく調整することで、深く歪ませた時に低音が削られて音痩せしてしまう、またはエフェクトをオンにすることで音抜けが悪くなってしまう、なども解消する事が出来ます。
逆に、これと言った特徴やクセみたいなものはないエフェクターだとも言えるかもしれません。
ですので、どんなタイプのドライブ・エフェクターを購入しようか迷っている方は、まず間違わないのではないでしょうか。
また、どちらかと言えば、パッシヴ・ベースベースタイプとの相性が良いように感じます。
自分が使用しているベースが、アクティヴ・ピックアップのものであれば、EBS Multi Driveのようなタイプが向いているかもしれません。
その辺りは、自分の持っているベースと、出したいと思う音を比較した上で、色々と試奏してみてください。
ベースという楽器の性質上、低音の周波数帯を変化させることにより、音程の不確かさや他の楽器の中に埋もれてしまったりと難しい面は多々あります。
ODB-3の音作り
基本的には、EQでHi/Lowを調節した後、歪みの量を決めて、ドライ音とウェット音のバランスをとる、そしてEQで再び微調整、という使い方になります。
先ほども書きましたが、ベース単体で音を作ったら、今度はバンド・サウンドの中でも狙った音になっているかを確認しましょう。
以下、いくつか用法を紹介してみます。
通常のベースラインではGainを抑え気味にして、EQで低音を強調する、ベース・ソロでGainを上げて高音を強調すれば、メリハリの効いたラインが出来上がると思います。リズムのウネリも生まれると思いますので、ピッキングのニュアンスで調整してください。
また、BalanceをDryに回し切って、プリアンプ的に使うことも出来ます。
もしくは、Gainを抑えておいて、敢えてBalanceをOD側に振り切れば、60年代や近年のストーナー・ロック風のサウンドに仕上げられます。そして常時かけっぱなしで使うのも良いと思います。
特殊な使い方としては、Red Hot Chili Peppersの「Around The World」のイントロ・ベースのようなサウンドも作る事が出来ますので、ここ一発、という場面で飛び道具的に使うことも可能です。
ベース用の歪み系エフェクターでは、低音を削られ過ぎないバランスが重要です。芯を残しつつ、好みのサウンドを作る事ができる、幅広さを持ったエフェクターです。