Ibanezというと、どんなギター・ブランドだとイメージするでしょうか。
ヴィンテージではなく比較的現代的なブランド、テクニカルなギタリストが使用している、などが一般的なイメージだと思います。
エフェクターも製造しており、Ibanezと言えばギターではなく「Tube Screamer」が浮かぶ人もいるかもしれません。
今回は、Ibanezのギターの評判や特徴は?というテーマで記事を書いていきたいと思います。
Ibanezのギターの評判や特徴は?
Ibanez(アイバニーズ)は、日本の楽器メーカー、星野楽器の製造するギター/ベースに冠されるブランドです。
最初期のIbanezの日本語表記・呼称は「イバニーズ」でした。
ブランドが海外展開をする1980年代、表記・呼称を海外のギタリストが発音する英語の言い方に近い「アイバニーズ」に改めました。
1970年代後半は、小田和正氏が在籍していたことで有名なバンド「オフ・コース」のギタリスト鈴木康博氏にギターを提供し、マーケティングを行っていたようです。
そして1980年代半ばのヘヴィ・メタル・ブームの渦中では、FenderやGibsonに対抗する新進気鋭のブランド(ルーツは古いのですが)の1つとして、存在感を発揮しています。
当時テクニカル・ギタリストとして第一線にいたSteve Vai氏のシグネイチャー・モデルであるJEM、ソリッド・ギターとして世界初の7弦ギターUniverseの製作など、時代を席巻していたHR/HMと共にシーンを作っていました。
そして以降Ibanezの看板商品となるRGシリーズを発表し、現在まで人気を得ています。
その後もJoe SatrianiやPaul Gilbertなどのハイ・テクニック系のギタリストとエンドースメント契約を結んでいきます。
1990年代後半には、新たなアーティスト、KornやLimp Bizkitらの支持もあり、Ibanezの7弦ギターはさらに広まっていきます。
ここまで書くと、ヘヴィでテクニック重視のギタリスト向け、と思われがちですが、Pat MethenyやGeorge Benson、John Scofieldなどのジャズ/フュージョン系のギタリストのシグネイチャー・モデルも多く製作しており、その懐の深さも感じられます。
Ibanezはギターやベースだけでなく、エフェクターなどの音響機器も製作しています。
最も有名なのは、Steve Ray Vaughanの使用で有名なTube Screamer TS-808でしょう。
もちろんオーバードライブ以外にも、様々な種類のエフェクターを製作しており、いずれも機能的なデザイン性を備えています。
現在では、エクストラ・ロング・スケールのギターとして、8弦ギターや9弦ギターなどかなり「攻めた」製品も製作しているようです。
このように、Ibanezは既存の製品を作っていくだけでなく、革新的なアイディアで楽器やエフェクターなどの製作にあたっており、その姿勢が音楽シーンを作ってきた面もあると言えるでしょう。
Ibanezの代表的なギター
ではアイバニーズの代表的なギター、RGシリーズとSシリーズについて紹介します。
それでは、Ibanezの代表的なギター・シリーズとなっている、RGシリーズとSシリーズについて、紹介していきます。
・RGシリーズ
1987年から、Steve VaiのJEMと同時に製作をスタートさせた機種で、現在までロング・セラーになっています。
Fender Stratocasterのシェイプで、独自のヘッドストックとボディのエッジが尖った、角ばった形をしています。
電気系統では、ピックアップはフロントがハムバッカー、ミドルがシングル・コイル、リアがハムバッカーといういわゆるH-S-Hと呼ばれる配置です。
ピックアップ・セレクターをフロント/ミドル、もしくはミドル/リアの位置にすると、ハムバッカーのピックアップが自動でコイルタップされる仕組みになっていて、Strato系とLes Paul系のサウンドが1台で出せる、とも言えるかもしれません。
このアイディアは、Steve Vai氏が提案したと言われています。
また、ブリッジは、ロック式のフローティング・トレモロ・ユニットです。
現在では普通に採用された機種が多いですが、ロック式フローティング・トレモロで、ボディをザグって低い位置に設置する方式を最初に取ったのが、JEMシリーズとこのRGシリーズになります。
こちらのアイディアも、Steve Vai氏による提案とのことです。
基本的には、ハードでヘヴィなギター・サウンドを得意としており、速弾きなどのテクニカル重視のギタリストに向いていると思いますが、価格帯も安価なものから30万円代までと、幅広く設定されているのも特徴と言えます。
・Sシリーズ
Sシリーズは、前述のRGシリーズのボディをより薄くしたようなギターです。
RGシリーズでは、ボディの材にマホガニーがメインで使われていますが、Sシリーズではトップがメイプル、バックにマホガニーが使用されています。
これは、Gibson Les Paulと同様の材になっています。
材は同じですが、Les Paulは中空ボディでSシリーズは薄いボディですので、サウンドの違いを比べてみてください。
ピックアップ等の電気系統については、基本的にRGシリーズのものと同じです。
・その他
ここまで紹介した他にも、AZシリーズやFRシリーズなど、メイド・イン・ジャパンの上位機種が発売されています。
また、小型で遊び心があり、初心者にもハードルが低いとされる「トイ・ギター」などもありますので、興味のある方はぜひ手に取ってみてください。
他にも低音の効いたヘヴィなサウンドを追求した多弦ギターや、エクストラ・ロング・スケールなど、従来のギターの常識を覆すような新しい機種も多くあります。
楽器屋さんで見かけたら、試奏してみていただきたいです。
Ibanezのギターは初心者におすすめ?
Ibanez(アイバニーズ)は、日本発のギター・ブランドで、パンク以降の様々な音楽が提出された1980年代に大きく躍進しました。
同時期に台頭してきたSteibergerも同じですが、斬新なアイディアで、これまでなかったようなギターを次々と製作していきます。
ヘヴィでテクニカルなギタリストと共に、その時代に沿った新しいギターを提案しています。
ギターと言えば、それまでFenderかGibsonがスタンダードでしたが、音楽の多様化と共に、新しいブランドとしての特徴がしっかりしていると思います。
市販されているギターの機種では、世界初の7弦ソリッド・ギターや、より低音を美しく出すためのエクストラ・ロング・スケール・ギター、そして8弦ギターや9弦ギターといった多弦ギターも多く作っています。
このような革新的・積極的に新しいギターを追求している姿勢は、世界中のギタリストから支持を得ています。
初心者には敷居が高いギター?
ここまで記載してきた内容を読んでいただくと、Ibanezのギターは上級者で、テクニカル系もしくはヘヴィ・メタルなどのギタリストでないと向いていないように思えるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
むしろバリエーションが多いので、「必ずこのように弾かなければならない」、「このような音以外は苦手」というの事があまりないので、オールマイティに対応出来ると思います。
ただし、初心者の方には、ロック式トレモロ・ユニットの弦交換は難しいと思いますので、ロック式トレモロをマウントしたギターが欲しい場合は、注意が必要でしょう。
このような点を踏まえて、いくつかのおすすめ機種を書いていきます。
Ibanezの初心者におすすめのギター
・RG421 CW/RG421 EX
Ibanezの代表的なRGシリーズで、シンプルかつストイックなモチーフの機種です。
価格帯も5万円未満に抑えられているため、初心者の方にも手が届きやすいのではないでしょうか。
ロック式トレモロ・ユニットは取り付けられていません。
また、ピックアップもフロントとリアにそれぞれハムバッカーがマウントされた、シンプルな2ハムです。
2つのピックアップによるサウンドの違いを認識しつつ、エレクトリック・ギターの基本的な操作も慣れることができると思います。
・RG7421PB
上記のRG421 CW/RG421 EXの7弦ヴァージョンです。
定価は75,000円ですが、実売価格は6万円台もしくはそれ以下になります。
このクオリティで、しかも多弦ギターで10万円台を切っているというのは、かなりお買い得でしょう。
初心者ですが多弦ギターを使ったヘヴィ・ロックのサウンドを早く自分でも出してみたい、という方にはかなりおすすめ出来るギターです。
・GRG170BBW/GRG170BSW/GRG170DX
「ステージへ最速」をコンセプトとして、これからギターを始めるエントリー層に向けたシリーズ、と銘打って製作されている初心者向けのシリーズです。
初心者向け、と言いながら、ピックアップは3ウェイ使用のH-S-H、ハーフ・ポイントでは自動的にコイル・タップされ、RGシリーズと同じ仕様になっており、サウンドの選択肢はかなり本格的と言えるでしょう。
さらに、ブリッジにはトレモロ・ユニットが装備されていますが、ロック式ではないため、弦交換も簡単で初心者には扱いやすい機種です。
サウンドメイクの幅が広く、上級者に向けた装備が一通り揃っていながら、25,000円という驚きの価格です。
こちらの方が、より初心者に向けて紹介したい機種です。
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