ベースのファズのおすすめや使いどころについて。

海外では割とポピュラーでしたが、日本でも90年代以降になると、ベースにファズをかける人が多くなってきました。その関係で各メーカーからベース用ファズが多くリリースされ、海外ものも含めて、比較的入手しやすくなっています。

今回は、そんなベース用ファズのおすすめと使いどころについて紹介していきます。

ベースのファズのおすすめや使いどころについて。

おすすめのファズ

・Electro-Harmonix/Bass Big Muff Pi

 

ファズの老舗で、ギター用ファズとしては有名なBig Muffのベース版です。

アーミー・グリーンで、縁はギター用と同じ鈴色の大きな筐体です。

Volume、Tone、Sustainのコントロール・ツマミに加えて、Bass Boost、Normal、Dryの切り替え用ミニ・スイッチがついています。

ミニ・スイッチではDry音(エフェクトのかかっていないダイレクト音)を加える事が出来るので、チープなファズにありがちな、「音ヤセ」を防ぎ、原音の芯を残す事が出来ます。

NormalやBass Boostでも音の芯は残って聴こえるので、その他のモードでも音抜けは良く感じました。

ベース用ファズとしては、初心者の方も、今のファズに納得していない方にも、全般的におすすめ出来る機種です。

・JHS Pedals/4 Wheeler Fuzz

JHSからリリースされている、ベース用ファズが4 Wheeler Fuzzで、コントロール・ツマミはVol、Tone、Fuzz、Gateの4つが付いています。

他の3つの用途の想像は付きますが、ベース用ファズではあまり見られないGateのツマミが、このエフェクターの特徴です。

これを上げていくと、ファズの歪みというより、ビット・クラッシャーに近い音になり、シンセ・ベースを歪ませたような雰囲気になります。

それだけではなく、Hi/Loのトグル・スイッチがついていて、ローを強調出来ます。音がこもり過ぎないように使うのがポイントです。

飛び道具的にも使えるファズだと思います。使いどころに気をつければ、面白い効果を出せます。

 

・Amptweaker / Bass Tight Fuzz JR

コントロール・ツマミの後ろのレバー?が特徴的な、Amptweakerのベース用ファズです。

特筆すべきは、何と言ってもコントロール機能の多さです。

一般的なVolume、Tone、Fuzzに加えて、以下の機能があります。

  • ファズのキャラクターを60年代のサイケデリック風に
  • 70年代のブーミーなファズ
  • 現代風の3種類を切り替えるEQスイッチ
  • ゲルマニウムとシリコンを切り替えるトランジスタ・スイッチ
  • 音のTight/Fatを切り替えるスイッチ
  • Dry/Lowスイッチ、ドライ音とウエット音を調節

以上が付いています。

これ1台で、ベース用ファズとしては十分な音色の数を有しています。様々な音作りが可能なので、何種類かのファズ・サウンドを用意しておくと良いです。

使いどころ

・ピンポイントで使う場合

ファズをピンポイントで使う場合、一般的に適していると思われるのが、他のパートがなっていない、あるいは全体の音量が小さい時に、エグいくらいに歪ませて使い、エフェクト・フィルや効果音的に用いる方法です。

この場合は、原音をミックスしないで、ファズ音のみを出力させて弾くのが効果的だと思います。

また、トリオ・バンドの時にギター・ソロのバッキング時に、ファズを踏んで5度コード(ギターで俗に言うパワー・コード)で弾くのもアリだと思います。トリオ時のギター・ソロは、どうしてもバッキングが薄く聴こえがちなので、歪みと音の厚さを演出できると思います。

ギタリストが高音弦やハイポジションでプレイしている時にファズをOnにする使い方も、上記のように厚みを持たせられる上に、ギターと音がぶつからないので良いと思います。

ベースにファズをかますと、やはり低音のブーミーさが気になってくるので、その点を認識しておきましょう。

・かけっぱなしの場合

1曲通してベースにファズをかけっぱなしにする場合、一番気を付けなければならないのは音抜けです。

上手く原音をミックスして使わないと、高音域がヤセてしまって音が埋もれて聴こえなくなります。そうすると、低音がない状態なので、バンド・アンサンブルで聴いた時にスカスカになってしまいます。

逆にその点を注意してサウンド・メイク出来れば、かけっぱなしでもカッコ良いベースを鳴らす事が出来ます。

ベースの歪みでエフェクターをかけっぱなしはアリ?

先日、とあるベーシストから「ベースで歪み用のエフェクターをかけっぱなしにするのはアリなんですか?無しなんですか?」という質問を受けました。

彼はいつも、軽くオーバードライヴをベースにかけて演奏しているのですが、先輩ベーシストから「ベースに歪みをかけるのはベース・サウンドではない。例え使うとしても、ピンポイントでかますだけだ」と言われたそうです。

個人的には、ベースに歪みエフェクターはアリだと思っています。むしろカッコ良いサウンドになる、楽曲によってはベースが活きてくる、と思います。

The Beatlesの「Think For Yourself」では、ロックで初めて(おそらく)Paul McCartneyがベースにファズをかけてリフを演奏していますが、非常にハードでカッコ良いです。The Beatlesは「Taxman」など、他の楽曲でもベースにファズを使っており、以降一般的になっています。

バック・サウンドによっては、多少歪ませるとベースの太さを出せます。バンド・アンサンブルで聴くと歪んでいないように感じる、くらいであれば、かけっぱなしはアリというのが個人的な考えです。

人それぞれのプレイ・スタイルがあるので、自分が良いなら他人の意見は参考程度に、と彼には答えましたが、ふと自分を振り返った時、かけっぱなしの時とそうでない時がある事に気がつきました。

そこで個人的な意見を以下に書いていきます。正しいかどうかは分かりませんが、参考にしていただければ幸いです。

歪みをかけっぱなしでアリな場合

自分がベースに歪みをかけっぱなしにしている時は、だいたい以下の時が多いです。

・音量が大きいバンド

ある程度全体の音量があるバンドの場合は、軽く歪ませた方が個人的には好きで、音が埋もれずベースも聴こえるので、歪ませたまま弾いています。

ただし、先に書いた通り、ベース単体では歪んで聴こえるけれど、全体で聴くとそう感じない程度です。

セッティングは、弱く弾いたら歪まない程度に設定しています。

・大きいライブハウス

あまり小さい場所(ライブバーやハコのキャパが少ない場所等)でベースを歪ませると、ドラムに大してうるさ過ぎるように感じます。キックとのバランスが悪く、ギターともぶつかり、ごちゃごちゃなイメージがするからです。

PAがドラムの音を拾っているような場所では、音量を十分出せるので、軽く歪ませて弾いています。

・ローがあまり出ないパッシブのベースを使っている時

ロー(この場合低域という意味です)が強くないベースを使っている場合、軽く歪ませる事によって、低域を補う事が出来る場合があります。これは全体のサウンドや場所にもよります。

そのようなベースを使用する時は軽く歪ませます。ただししっかりセッティングしないと、音ヤセが起きてしまいます。

こういったベースを使用する場合は、規模が小さなライブハウスなどで歪ませても、問題無いと感じるケースが多いです。

歪みをかけっぱなしにしない場合

・ファンクバンドのようなリズム系のバンド

自分は音を切ったり、細かなミュートなど、そこまで繊細な技術を持っていないので、ファンクのようなノリを活かす楽曲を演奏する場合に歪ませてしまうと、音をコントロールする事が出来ません。

ですので、そのような楽曲を演奏する場合は、歪ませずに弾く事が多いです。

もちろん、軽く歪ませながらも音を綺麗に伸ばしたり切ったり、ミュートも駆使してグルーヴ感を出しているベーシストもたくさんいますので、ノリが悪くなるのでダメ、という訳ではありません。

・静かな音を含む曲の演奏

ベースを歪ませると、どうしても最小音量が大きくなってしまいます。

そもそも「歪み」自体、音量を大きくした時の音割れをエフェクトにしているのですから、当然と言えば当然です。

本当に小さい音が必要な楽曲の場合、歪ませてしまうと、小さい音が小さくなってくれません。また曲想にもミスマッチになる可能性があります(そのミスマッチを狙うならアリですが。)。

こういった楽曲を演奏する場合は、個人的にはキックと一体化出来る音を目指しますので、歪みをかける事はありません。

最終的には自分で判断

歪みをかけっぱなしにするにせよ、しないにせよ、やはり最終的には自分が必要とするかどうか、で選ぶ事が一番大事です。

その楽曲に合っているか、他のメンバーや他のベーシストの意見も参考に判断しましょう。

歪みかけっぱなしは無い、と誰かに言われたとしても、自分が必要と思うならかけっぱなしでいきましょう。