ベースが下手なバンドの特徴とは?

ベースは、バンド・アンサンブルの中で、基礎となるコードのルートとリズムを担っている楽器です。

また、基本的には、バンド内で最も低い音程を出すことにもなります。

そのベーシストが、もしも下手だった場合、そのバンドの音はどうなってしまうのでしょうか…。

一口に下手と言っても、「下手」とはどういう状態なのかから考えなければいけないかもしれません。

今回はこんなテーマで記事を書いていこうと思います。

ベースが下手なバンドの特徴とは?

そもそも下手ってなんだ?

下手、と聞くとどうしてもマイナスなイメージが湧いてしまうものですが、「下手=ダメ」ではありません。

そもそも、「下手」というのは、とても曖昧でいい加減な概念です。

テクニックがない、リズム感がない、音楽的なセンスがない、音楽をやる上で、必要な要素は様々で、どれを指摘している言葉なのか、はっきりしない表現と言えます。

技術的に未熟だとしても、運指でミスしたにもかかわらず、結果的に素晴らしいフレーズになっていたり、音楽的知識がなくても綺麗なトーンを出せたり、「下手」だからこそ出せるものもあります。

プロのミュージシャンが全員「上手い」(この表現も曖昧です)わけではありません。

また、また、初心者に弾けない楽器を、わざと弾かせる音楽(Portsmouth Sinfonia等)もあります。

この記事では、この「下手」という定義を、「技術や知識が足りない」だけではなく、「バンドに悪影響を与えてしまう」、として進めて行きます。

ベースの迷いはバンドの迷い

私たちは人間です。コンピューターではありませんので、必ず誤解や間違いが起きたり、長時間同じことを反復しているとアバウトになってくるものです。

それが人間の魅力であり、音楽の演奏やアイディアにも同じことが言えます。

(逆に「人間らしさ」を排除したコンピューター・ミュージックもあり、どちらが優れている、というものではありません。)

しかし、間違えてしまうとしても、バンド内の何のパートが間違えたのか、そして間違えた箇所によって、影響力の大きさが異なります。

特に楽曲の構成について、各パート単位での間違いによる影響度を考えてみると、ベースが間違ってしまうとかなり大きいです。

(もちろん、他のパートがメインで鳴っていれば、その音のミスは大きいですが)

ベースがラインやリズムを間違えてしまうと、他のパートが、今楽曲のどの部分を演奏しているのか迷ってしまい、それがバンド全体の迷いと鳴ってしまいます。

ボーカルであれば歌の音程が取れない、ギターであれば何のコードが当てはまるか分からない、ドラムであればキックと意図しないズレが生じるなど、バンド演奏全体に不安定さを招いてしまいます。

最も大事なことは、自分の演奏している音をしっかり聴くことです。

演奏しながら、自分の出している音程・リズムが合っているか、楽曲とズレていないかを把握することは、初めは難しいかもしれません。

いきなり他の楽器と合わせるのではなく、まずは個人でしっかりと練習をしましょう。

そして指の技術だけではなく、「耳」もしっかり鍛える必要があります。

様々な音楽を聴くこと、そしてクリックやドラムを聴きながら演奏し、バンドのリハーサルでは、自分の音は正確に出ている前提で、他のパートの音をしっかり聴くことを意識しましょう。

バンド全体の練習は、他のパートの音を把握するための時間、と考えても問題ないくらいです。

ベースが決まらないとキメがキメにならない

バンドの中で、ベースのリズムだけがタイトでない場合、バンド全体のリズムがダラっとしてしまい、締まりのない感じになってしまいます。

特にリズムの重要な場面、キメなどでは、それがはっきりと分かってしまいます。

バンド全体でタイトなリズム感を出すには、ベースのピッキングによるアタック感が重要になります。

ベースのアタックは、リズムのタイト/ルーズ感を通して、楽曲の雰囲気作りにも影響します。

キメなどで全体のリズムを合わせる場合に、ベースとドラムがビシッと決めているのにギターだけが合わないと、「あのギタリストはルーズだね」とか「わざとハズしたのかな」などと解釈されますが、ベースが合っていないと、そもそもバンド全体のリズムのキメになりません。

たとえ他が上手くいっていなくても、キメだけは確実に決められるように、ドラムとのリズム・コンビネーションはしっかり練習しておきましょう。

ベースが上手くなればバンド全体が上手く聴こえる

このように見ていくと、ざっくばらんに言って「ギターは多少いい加減でも、ベースはシビアで理不尽」と思われるかもしれません。

それはバンド・アンサンブルの中で、ギターとベースでは求められる役割が異なるからです。

言い方は悪いですが、ギターはプレイ方法、エフェクトの活用など、いくらでも「ごまかす」手段はあるのです。

また、ボーカルも厳密に正確なピッチで全編歌い切るのは相当難しいですが、そこまでの違いに気付く人はごく少数です。

ボーカル、ギターの音程が合っていない、リズムがズレているなどは、「あのボーカリスト、ギタリスト、下手だよね(味があるよね、と評価されるかもしれません)」ですが、ベースが下手だと、「あのバンドは上手くないようね」と全体で評価されてしまうのです。

ここで、逆に考えれば、ベースが上手くなればバンド全体が上手く聴こえる、ということにもなります。

しかし、ステージ上で目立つのはヴォーカリスト、そしてギタリストという、ベーシストにとっては理不尽かもしれません。

ベーシストは常にクールに、バンド全体のアンサンブルを見ていなければなりません。

ベースのリズム・パターンとリズムの取り方。

今回は、リズム・パターンやその種類による、リズムの取り方や弾き方を簡単に説明していきます。

8ビート

昔から現在に至るまでのロック、そしてロックに限らず、いわゆるポップス全般における最も基本的なリズムで、文字どおり4/4拍子で8分音符が基本となるリズムです。

基本であるが故に、様々なパターンが存在しますが、ここではまず基礎中の基礎と言える、「8ビートのルート弾き」を説明したいと思います。

8ビートのルート弾きは単純に「ルート弾き」と言われる事が多く、コードのルート音だけ、つまり同じ音を8分音符で刻み続けていく奏法です。

マイルドな音で、タイムがルーズになりがちな指弾きよりも、正確にタイトで硬い音色が出せるとされるピック弾きの方が向いている、とされます。

さらに言えば、アップ/ダウンを繰り返すオルタネイト・ピッキングよりもオール・ダウン・ピッキングで弾く方がアタックの粒が揃い、ドライヴ感が出しやすいと言われています。

ただし、指弾きや、オルタネイト・ピッキングによるルート弾きも使い所は当然ありますし、それでドライヴ感を出せているベーシストはいくらでもいます。

しかし、初心者の方はダウン・ピッキングの方が技術的にも簡単で、ドライヴ感が出しやすいと思いますので、まずはこのオール・ダウン・ピッキングによるルート弾きを覚えると良いと思います。

というのも、このパターンにさらに細かい16分音符を入れていく場合に、アップ・ピッキングをプラスするイメージを持つことで、より簡単に16ビートへ繋げていけるからです。

ちなみに「8ビート」という言葉は和製英語で、外国人には伝わりません。正しくは「8th notes feel」あるいは「8th notes rock feel、8th note rhythmと言うそうです。

8ビートの参考:Nirvana – Smells Like Teen Spirit

シャッフル

ロックにより焦点を当てていくと、いわゆる「ロックンロール」、フラットな8ビートよりシャッフル・リズムの方が基本になります。

ロックンロールは元々、黒人音楽であるブルースから発展したものです。

ブルースの基本的なリズムは、1拍を3つで解釈し、その2つ目の音を抜いた形=3連符の2番目の音を休符にした形が、シャッフルと言われるリズムです。

一方で通常の8ビートは、シャッフルと比較して、スクエア・リズムと呼ばれています。

さらに3連符の最後の音を、微妙に前にずらしたり、または微妙に後ろにずらしたりすることで、微妙なリズム感を演出できます。

ブルースを演奏する巨人達は、単純に3つで割り切れるリズムではなく、この微妙なリズム感をコントロールして独自のリズムで演奏しており、これが強烈な個性になっています。

ただし、初心者の場合は、単純に3連符の中抜きのリズムを弾いて問題ないので、まずは独特の「ハネる」リズムを身につける事です。

また、中抜きをしないで3つ全て弾く「3連符」とシャッフルは、厳密に区別されます。

シャッフルの参考曲:Jack White – I’m Shakin’

4ビート

8ビートと同様に、4/4拍子で、4分音符が基本となっているリズムです。

ただし、一般的に「4ビート」というと、ジャズにおけるリズムを示すことが多いです。

実際には4ビートでない楽曲でも、「ジャズのビート」を示す言葉になっています。

このジャズにおける4ビートは、別名「スウィング」とも呼ばれ、単純な4分音符というよりも、むしろシャッフルに近い、「ハネる」感覚を持ったリズムです。

この辺りも、ジャズの由来がロック同様に、黒人音楽であることが深く関係しています。

このようなリズムについて詳細に説明をすると言うことになると、それだけでサイトや1冊の本を書けてしまうような膨大な量が必要になってしまいます。

今回は、初心者がある程度早く「それっぽい」雰囲気を理解して、弾けるようになる方法がを紹介していきたいと思います。

「ハネる」独特のリズムがどういうものか、それを理解するだけでも、今後大きく上達するはずです。

それでは、先に書いたシャッフルの最初の音を弾いて、最後の音の長さの分だけ、音を切る方法を説明していきます。

技術的な方法としては、シャッフルの後ろの音を休符で弾くのです。

拍のアタマを単にボンボン鳴らしているよりも、それだけで大分4ビートのリズム感を出せます。

4ビートの参考曲:Miles Davis – So What’

16ビート

16ビートは、8ビートと同じように16分音符を基本としたリズムです。

また、半拍をシャッフルした所謂「ハネ」や、ハネとジャストの中間のようなリズムもこの中に含まれます。

前述したシャッフル・リズムでも16ビートは使えますが、あまり一般的ではありません。

16分で細かく音符を刻んで行ったとしても(特にドラムでのゴースト・ノートなど)、それでは単に早い8ビートと変わりません。

休符を絡めたり、アクセントの位置を考慮したりするなど、16分を感じられるようにしないと、8ビートとの違いは出せません。

最も分かりやすいのは、16分に聴こえる位置に音を配置することでしょう。

16ビートというと、ダンス・ミュージック、特にファンクやクロスオーバーのようなコンテンポラリーなメージが一般的ですが、近年では通常のロックやポップス(リズムがダンス由来の打ち込みになっている)などでも、頻繁に使われるようになっています。

16ビートの場合、ベースについては、細かくフレーズを弾くよりも、むしろしっかりと音を切る技術、そして休符を弾く技術がとても重要になってきます。