ブギーアンプは、アメリカのサンフランシスコ近郊でランドール・スミスのアンプのモディファイから始まった会社です。
マーク・シリーズ・アンプが大成功して、世界的なアンプ・メーカーとなります。
メサブギーについて
1972年ごろから製造される「マーク」シリーズがカルロス・サンタナ、ラリー・カールトンなどに認められ一気に知名度が上がります。
1990年当時はアンプのハイゲイン化の波が訪れており、マーシャルのJCMシリーズ、PEAVEY5150(ヴァンヘイレンモデルで有名)、レイニー、ヒュース&ケトナーなど他のメーカーがゲインコントロールに注力したモデルを発表しています。
そこでメサブギーは1991年にハイゲインアンプである、デュアル・レクチファイアーを発表します。アグレッシブな重低音はヘヴィメタルサウンドに大きな影響を与えました。
ダイアモンド・スティール・プレートを採用したルックスと、重低音の攻撃的なサウンドはメタリカなどに採用されます。
ヘヴィなサウンドを求めるギタリストから、高い評価を受けました。
素晴らしい歪みサウンドを持ちつつ、クリーントーンも素晴らしいものがあります。
近年では、ヘヴィメタル・ギタリスト以外のジャンルでも使用されています。
名前の由来は交流電源を直流電源に変換する整流管が2本使用されていることによります。
正しくは整流回路を真空管かダイオードに選択可能になっていることによります。
90年代のレクチファイヤーで、人気の高かったのは100w出力のSOLOです。
一般にレクチファイヤーといえば、SOLOのことを言うことが多くなっています。
発売当初は2チャンネルでしたが、2000年に3チャンネルへとグレードアップされました。
レクチファイア・ラインアップ
・Mini Rectifier 25
クラスA/B駆動、25ワット出力のコンパクトなレクチです。
2ch仕様で、それぞれにモードが2つずつ(計4モード)実装されており、出力を25W/10Wに切り替えることができます。
プリ管に12AX7を5本、パワー管にEL84を2本使用しています。
整流管はダイオードのみとなっています。
25ワット出力ながら存在感のあるハイゲインサウンドが得られます。
比較的小規模なライブ会場ではこのモデルでも十分ではないでしょうか。
・Recto-Verb 25
Miniのリバーブ搭載版です。外観はメタリックにはなっていません。
プリ管に12AX7を6本、パワー管にEL84を2本使用しています。
・Dual Rectifier Solo Head
クラスA/B駆動の3チャンネル使用で8モードを搭載しており、100wと50wの出力を切り替え可能です。
プリ管に12AX7を5本、パワー管に6L6を4本、整流管が5U4Gを2本となっています。
イメージよりもオールマイティに使える優れたアンプです。ドンシャリ系の歪みは音圧があり、歯切れのよい気持ちいいトーンです。
ヘヴィなサウンドのイメージがありますが、クリーンサウンドからクランチサウンドが艶やかで煌びやかな透明感のあるサウンドに魅了されるジャズ系ギタリストも多くなっています。
現在多くのリハーサルスタジオで導入されているモデルの一つではないでしょうか。
・Triple Rectifier
クラスA/B駆動の150w/50wヘッドです。
3チャンネル、8モードです。
プリ管に12AX7を5本、パワー管に6L6を6本、整流管に5U4Gを3本使用しています。整流回路の切替機能はもちろん、センド/リターン端子も装備しています。
デュアルレクチファイヤーをさらにパワーアップさせたモデルといえますが、歪ませても音が潰れないきめの細かいダークなサウンドメイクも可能です。
ただ小規模な会場だと持て余すかもしれません。
・Road King 2
レクチファイヤーシリーズ最高級仕様のモデルです。現在あるギターアンプの中では、最も多彩な機能を持っているといえるでしょう。
クラスA/B駆動、出力が120w/100w/50wに切り替え可能で、4チャンネル12モードを搭載しています。
プリ管に12AX7を6本、パワー管が、6L6が4本、EL34を2本使用しており、パワー部のセレクト5パターンが切り替え可能になっています。
整流管は5U4Gが2本となっています。
キャビネットを2台接続して、チャンネルごとにキャビネットのセレクトができ、エフェクトループも2系統装備してます。
これだけ多機能で高性能なアンプですからアンプヘッドで45万円程度、コンボアンプになると50万円程と高額になります。
残念ながら現在は生産が終了しているようですので楽器店などでの在庫限りとなります。
・Roadster
Road Kingの性能を下げたものとなります。
クラスA/B駆動の100w/50w出力で、4チャンネル12モード仕様です。
プリ管に12AX7を6本、パワー管は6L6を4本のみ、整流管が5U4が2本となっています。
整流管の切り替え機能やリバーブも搭載されていますが、パワー部の即座に切り替えられる機能やチャンネルごとにキャビネットのセレクト機能が省かれました。またエフェクトループも1系統となっています。
こちらのモデルも生産が終了しております。
サウンド
サウンドに関しては、アンプシミュレーターにも多く搭載されているようにハイゲインな重低音サウンドです。
ハイゲインな歪みサウンドはドンシャリ気味ですがとても気持ちよく弾けます。
3チャンネル仕様はクリーントーンも定評があり透明感や音圧があります。
クランチトーンも歯切れの良さが気持ち良いサウンドです。
フットコントローラーは最初は戸惑いますが、慣れればかなり使えます。
これがあれば、歪み系エフェクターは要らないくらいの多彩で高品質なサウンドが得られます。
これだけ多彩な表情を持つアンプですので価格の方も少々高めですがその分サウンドメイクの品質は納得できる方も多いのではないでしょうか。
メサブギーアンプヘッドの使い方や評価。
メサブギーのアンプは1969年当時、アンプの修理や改造をしていたランドール・スミスのいたずらから始まっています。
フェンダーの練習用アンプであるプリンストンアンプに大型のトランスと6L6パワー管を2本組み込み、スピーカーにJBLの12インチを搭載したのです。
この音を気に入ったサンタナの一言がブギーの名前の由来となりました。
サンタナの影響で、ブギーアンプは大変な注目を集め、多くのオーダーがランドール・スミスの元に殺到します。
しかし、このアンプはフェンダーのプリンストンアンプの改造品であったため、オーダーに供給が間に合わなくなります。
このため、ランドール・スミスは、オリジナルアンプの開発・製造を行うメサエンジニアリングという会社を立ち上げます。
ブギーアンプの特徴は、ボリューム1とボリューム2、さらにマスターボリュームと3つのボリュームの構成により幅広いゲインコントロールが可能になっていることです。
ゲインアップのためのボリュームは当時には存在していませんでしたので画期的なことでした。
さらにリズムチャンネルとリードチャンネルの切り替え機能やエフェクトループ機能、独立3チャンネルの機能や5バンドのグラフィックイコライザーをつけたのも、ブギーが最初です。
後発のメーカーでありましたが、先鋭的なメーカーです。
ブギーのアンプのサウンドは、中域に特徴があります。
皮肉を込めて、「ミッドレンジ・ラバーズ」と言われるくらいに中域に特徴があります。
・中型アンプヘッド
MARK FIVE 25 (10w/25w)
キャビネットシミュレーター搭載です。
CABCLONE機能を搭載したオンボードのD.I.アウトには新たに"VINTAGE"ボイシングが追加され、オリジナルと同じフルセットのボイシングが選択できるようになりました。
2チャンネル、6モード、グラフィックイコライザー、オールチューブ・スプリング・リバーブ、ヘッドフォン端子も搭載しています。
12AX7を6本、EL84を2本使用しています。
MARK FIVE 35 (10w/25w/35w)
25wバージョンのパワー管を2本増やしたものです。
EXPRESS 5:25+ (5w/25w)
2チャンネル、4モード、5バンドグラフィックイコライザー搭載です。
12AX7を5本、EL84を2本使用しています。
2つのチャンネルにより、様々なジャンルの音楽に対応することが出来ます。チャンネルを切り替えることにより、クラシックなサウンドからモダンなサウンドまで、サウンドキャラクターを変幻自在に操ることが出来ます。
Rectro-Verb TWENTY FIVE (10w/25w)
2チャンネル、4モードです。
プリ管に12AX7を6本、パワー管にEL84を2本使用しています。ヘッド、コンボともにスプリングリバーブを搭載しており、幅広いサウンドへの対応できます。
Mini Rectifier TWENTY-FIVE (10w/25w)
Rectifierの25wモデルです。
2チャンネル2スタイル、プリ管に12AX7を5本、パワー管にEL84を2本使用しています。
Lone Star Special (5w/15w/30w)
通常のLone Starはパワー管に6L6を使用したモデルですが、これはEL84を使用しています。
クリーンとオーバードライブの独立2チャンネル仕様です。
12AX7を5本、パワー管にEL84を4本、整流管は5Y3です。
・大型チューブアンプ
Triple Crown TC-50 (50w)
独立3チャンネル、6モード仕様です。
プリ管に12AX7を6本、12AT7を1本、パワー管がEL34を2本使用しています。
パワー管セレクトスイッチにより、6L6,6V6の使用も可能です。
Mark V (10w,45w,90w)
クリーン、クランチ、リードの3チャンネルで出力は10w、45w、90wに切り替え可能です。
プリ管に12AX7を7本、パワー管に6L6を4本、整流管は5U4Gです。
JP-2c (60w/100w)
ジョン・ペトルーシのシグネイチャー・アンプです。
プリ管に12AX7を5本、パワー管に6L6を4本使用しています。
EXPRESS 5:50+ (5w/25w/50w)
2チャンネル、4モードです。
プリ管に12AX7を5本、パワー管に6L6を2本使用しています。
Road King (50w/100w/120w)
パワー管にEL34と6L6を搭載し選択可能になっています。
2チャンネル12モードで、プリ管に12AX7を5本、パワー管にEL34を2本、6L6を4本使用しています、整流管は5U4を2本使用しています。
Roadster (50w/100w)
バイアスセレクトスイッチで、パワー管の選択が可能になっています。
12AX7を6本、6L6を4本使用しています。
Lone Star (10w/50w/100w)
プリ管に12AX7を5本、パワー管に6L6を4本使用しています。
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