Hughes & Kettnerは、アンプや関連機器を製作しているドイツのブランドです。
比較的新しいブランドですが、真空管アンプの良さを追求しつつ、現代的なドライヴ・サウンドを模索しており、日本のミュージシャンにも愛用者が多いです。
今回はTubeman 2というペダル型のプリアンプを紹介します。
現在は廃盤になっているようですが、Hughes & Kettnerの代表的アンプであるTriAmpを設計したスタッフにより製作されたもので、ライブやレコーディングに汎用性がありました。
本格的なTube Ampを、手軽に足元にセッティング可能で、大ヒットした製品です。
Tubemanについて
3つのチャンネルと3バンド・イコライザー、そしてマスター・ヴォリュームが装備されており、アンプ・ヘッドの感覚で操作を行います。
筐体の中央に3つのフット・スイッチが付いており、これでチャンネルの切り替えを行います。
ジャックはインプット、センド、そしてミックス用とシンプルになっています。
特徴的なのがルックスです。筐体の上部はメタリックで、「Hughes & Kettner」ロゴが印字されたアクリルの内側には、真空管が見えており、真空管稼働時には本家のTriAmpのように青く光ります。
Red Boxを搭載していたので、宅録を中心にしているギタリストにも重宝されました。
真空管プリ・アンプ・サウンドをミキサー等の機器に直結して得ることが出来たためです。ライン録りでリアルなギター・サウンドに迫ることが可能でした。
Tubeman 2の真空管には300ボルトの高電圧がかかっています。
また、アダプターは専用のもので、AC-ACアダプターとなっています(ヨーロッパ製品に多いです)。
音作り
本物の真空管アンプを試したことのないギタリストは、まず初めは、厚みがあってナチュラルに歪むギター・サウンドに惹かれます。
そして内部の真空管を交換することで、音の変化を楽しみたくなると思います。
もっと中音域を豊かに出力させる、ゲインをもう少し自然に上げたいなど、数種類の真空管を買って試してみることが出来ます。
ちなみに、現代はデジタル・モデリング・プリアンプが全盛の時代で、本物の真空管はなかなか楽器屋に置いていません。こだわるなら、オーディオ・マニアが通うような専門店を探してみましょう。
アンプのインプットに直接接続して、ストンプ・エフェクターの感覚で使うことも出来ますが、理論的にはプリアンプを2度通過させることになっているため、レベルやイコライザーの設定が難しいでしょう。
また、ゲインもかます程歪みが増す訳ではなく、飽和してしまうと芯のない薄い音になるので、注意が必要です。
・各チャンネルの特徴
3種類のチャンネルは、それぞれ特徴があって差別化されています。
フット・スイッチで簡単に切り替えることが可能です。
- Channel1 透明感のあるクリーン・サウンドで、「揺れもの」のエフェクターのノリが良く、アルペジオに最適でしょう。軽く歪ませても綺麗なクランチになります。
- Channel2 オーバードライブ・サウンドです。伸びが良くて豊かな倍音がしっかり出力され、真空管の真骨頂とも言える音です。歪みを強くしても音が潰れず、奥行きが出せます。
- Channel3 チャンネル2より高音域が抑制され、音圧があってより激しい歪みに向いた音を作ることができます。エフェクターを追加することで、かなりダーティーに歪ませられるでしょう。
Tubeman2で音作りをする際に問題となるのが、イコライザー部分は全チャンネルで共通である点です。
この問題は、特にライブで使用する場合、詳細なセッティングを行うギタリストは悩むかもしれません。
具体的には、チャンネルを切り替えた時にギターの音質そのものを変更したい、という時に不都合を感じることになります。
そのようなケースでは、別途イコライザーを用意して同時に切り替えられるように組むか、こだわるのであれば、イコライザーをボディ横に増設する改造をするのが良いと思います。
しかし、様々なエフェクターを買うよりTubeman 2が1台あれば、自宅でのレコーディングにも使用出来ます。
また、真空管仕様のプリアンプとしては、非常にコストパフォーマンスに優れた機能を持っていると言えます。
セッティング
それでは、各サウンドのセッティング例を紹介します。
・クリーン・サウンド
クリーン・サウンドを多用する人は、
- Channel1 9時
- Channel2 Gain9時、Volume9時
- Channel3 Gain9時、Voicing12時、Volume9時
- Bass フル
- Mid 12時
- Treble 12時
- Master Volume フル
・ブルース・リード
ブルース・リードを多用する人は、
- Channel1 1時
- Channel2 1時、Volume12時
- Channel3 Gainフル、Voicing9時、Volume12時
- Bass フル
- Mid 1時
- Treble 1時
- Master Volume 12時
・ロック
一般的なロック・サウンドの場合には、
- Channel1 1時
- Channel2 Gainフル、Volume9時
- Channel3 Gainフル、Voicing3時、Volume10時
- Bass フル
- Mid 1時
- Treble 1時
- Master Volume 1時
より激しい歪みを求める場合には、Channel2とChannel3を基本に音を作っていきましょう。
クリーン・サウンドが欲しい場合にChannel1に切り替えて、ギター側でヴォリュームを絞っていくと、太めの音に仕上げられると思います。
現在は廃盤なので、中古市場で見つけるしかないのですが、かなり本格的な真空管搭載のプリアンプですので、じっくりと音を作りたい方にはお勧めした機種です。
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