ランドグラフのディストーションボックス・dod・クリーンブースターの評価レビュー。

Landgraff DOD、MO-D、Clean boost

ランドグラフといえば、オリジナルのマーブル塗装が印象的なハイエンドエフェクターブランドです。しかし残念ながら、主宰してきたビルダーのジョン・ランドグラフ氏が2015年に死去し、その後一旦製造がストップしたのですが、現在ではランドグラフ氏の奥さん、ロゼリンさんがアッセンブルし、少量ですが生産を再開しているようです。しかしそれでも日本の店頭にたくさん並ぶということはないでしょうから、高価で稀少なペダルエフェクターであることには変わりありませんね。今回はその商品レビューです。

ランドグラフのディストーションボックス・dod・クリーンブースターの評価レビュー。

ランドグラフについて

いわゆるブティック・メーカー・ブームの火付け役でした。現代における「ハンドメイド高級エフェクターブランド」の基礎を作り上げたと言っても過言ではありません。あのレイアウトだから、あの音がでるのでは?と言われた事もありましたが、真相はどうだったのか考えてみたいと思います。

そもそも、大手メーカー以外で新たに新しい専用回路を作る能力があることは、まずありません。またレイアウトと違って、回路図には著作権がないので、利用は自由です。

実際のところ、ランドグラフのPedalman 818 Overdrive Proは当初、アイバニーズのTube Screamerをベースとしたペダルです。具体的に言えば、チューブスクリーマーの3つのパーツを変更して、クリッピング切り替えをつけただけです。もちろんドライブポットが500kから1Mに変更されていますので、もっと歪みますし、低音を決めるパーツの容量が大きくなっていますので、豊かな低音が出るようになっており、その後の抵抗を小さな値にすることで一層高音も出せるようになっています。

またMO-DはPro Co small box RATは、オペアンプを5532にして(オリジナルはモトローラ製LM308)クリッピング切り替えのスイッチをつけただけです。(クリッピングダイオードは対称、リフト、非対称の切り替え)

さらに、Clean boostは、super hard onの電源保護ラインに3つパーツを足して強化しただけのものです。

実際の基板を見るとパーツにbox型のコンデンサーなどグレードの高いものが使われていますので、そのあたりの差が音に出るのでしょうが、回路はTS回路やラットのディストーション回路、Z vexのクリーンブースト回路そのものです。

DODは、よく歪むようにドライブポットの容量を増やし、低音と高音の調整のチューニングを施しただけす。マーシャルモードにした時は、LEDの歪みで、マーシャルもLEDをマーシャルアンプに採用しているくらいですからとそれっぽいと言えますなくもないですが・・

ジョン・ランドグラフはこれらがヒットしたおかげで、一軒家とベンツを買ったそうです。

 

Tube Screamer TS-808開発者の話

ここで話が逸れますが、そもそもTube Screamer TS-808開発者の話を引用したいと思います。

Tube Screamer TS-808開発者の田村氏は、当時MAXONのエフェクターのほとんど全てを設計し、アイバニーズエフェクターの生産も担当していた日伸音波の開発社員でした。AD230アナログ・ディレイ&マルチ・フランジャーを開発したのもこの方です。(今は退社しておられます)その、田村氏のお言葉です。

「デジタルは本物に迫りつつありますが、本物にはなりえません。アナログこそが本物です。
デジタルは劣化なしに保存・伝達できるメリットがあります。しかし、音楽を作るミュージシャンとそれを受け止める観客の耳、目、口、指は全てアナログです。」

全面的にデジタルを否定しています。実際に、世界最大のギターエフェクトメーカーのBOSSも、コンパクトエフェクターの歪み系は全てアナログですし、デジタル化の恩恵を最も受けるマルチエフェクターでも、高級機種では歪み系にだけはアナログ回路を残しています。逆にいうとコーラスやリバーブの空間系には、80年代からデジタルが愛用され続けているのです。

そう言った意味では、ランドグラフのエフェクターに「完全オリジナル回路」がない、有名であったり人気のあるエフェクターのアナログ回路をベースに、ランドグラフならではの味付けと作り込みを施し、1台1台を違った外観デザインで仕上げて送り出す、それもまたビジネスの一つなのです。

高価で稀少なエフェクターであるため、なかなか誰もが手にすることは出来ません。しかしどの機種も、どの個体も、基本となる回路に追加された高価なパーツにより、一層安定した音色とまろやかなトーンで、試してみた上で好みにさえ合うならば、この素晴らしさに必ず全てのプレイヤーが気づくと思います。あとは値段、そしてそのキャラクターが演奏者の望むものかどうか、という点のみです。

今は、日本輸入販売元も倒産してしまい、前述のとおり製造数も非常に限られています。値段設定をここまで高値にすることがなければ、ひょっとして注目されることのなかったペダルかもしれません。それでも、このブランドの価値はあります。もし出会ったら、ぜひ試してみてくださいね。

 

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