
JOYOは、DonnerやRowinなどのように、近年台頭してきた中国のエフェクター・ブランドです。
中国製と聞くと、低価格だが質の悪い製品、というイメージがどうしても浮かんでしまいますが、実はそんな事はありません。
JOYOは2012年に、何と3,000円台の価格で、高いクオリティの音を出すエフェクターとして一躍有名になりました。
今回はJOYOの歪み系エフェクターであるAmerian Soundの評価・音作りについて書いていきます。
JOYO American Soundの評価・音作りについて。
American Soundとは
今回紹介するJOYO American Soundは、オーバードライブ系のエフェクターです。
アンプ・シミュレーターであるFender ’57 Deluxeのシミュレートとか、Tech21 SansAmp Blondeのクローン・コピーなどとも言われますが、真偽のほどは分かりません。
ですが、エフェクターとしてシンプルに捉えると、そのネーミングの如くカラッとしたドライブ・サウンドです。
コントロール・ノブは、以下のとおりです。
- Low 低音域を調節します。
- Mid 中音域を調節します。
- High 高音域を調節します。
- Level 全体の音量を調節します。
- Voice エフェクターのキャラクターを調節します。
- Drive 歪みの量を調節します。
以上、一般的なオーバードライブと大差がありませんが、特徴的なのはVoiceでしょう。
このノブを使って、サウンド全体にエッジを利かせたり太めの音にしたりする事が出来ます。
Voiceを0にすると高音域がカットされていくように感じ、ノブを右に回していくにつれて中域が広がっていくような感じになります。
他の方のレビューを見てみると、ノイズが乗るという書き込みがあったり、ACアダプターの位置が少しズレていて入らないという書き込みもありました。
もしかすると、機種による個体差や、製造時期などの違いがあるのかもしれませんので、その点は注意が必要です。
このような差が生じるのは、エフェクターの黎明期だった1960年代の製品や、現在でもハンド・メイドのエフェクターでよくあるケースです。
American Soundの音
Fenderのアンプをシミュレートしている、と言われるだけあって、そのサウンドはトレブリーでカラッとした、いわゆるウエスト・コースト風です。
アンプをクリーンでセッティングしている場合、エフェクターのLevelを少し右へ回すだけで、一気に音量が大きくなったような、抜け感があります。
逆にいうと、若干Highがキツめに出ている傾向があるようで、キンキンとうるさく感じる場合は、ギター側のトーンを絞ったり、コントロール・ノブのHighやVoiceを抑え気味にして、音の響きを確認しましょう。
イコライザー部分の効きは、そこまで劇的な変化を感じるほどではなく、滑らかに変化していくようです。
その分、American Sound自体の音を活かした音作りがしやすいものになっています。
このエフェクターとの組み合わせで、ブースターやバッファ系を使ってみても良いかもしれません。
歪みは、クランチ・サウンドから、もう少しブーミーに歪むようですが、そこまで激しい音にはなりません。
音程感を残したままで、アタックを感じながら演奏できる、ピッキングの追従性が良い音と言えます。
American Soundのオススメの使い方
クランチが軽やかでトレブリーなので、アンプはクリーンのセッティングでAmerican Soundで歪みを主導して作る方が、総合的に良い音になるでしょう。
オススメの使い方は、まずギターのボリュームとトーンをMaxにした状態で、American Soundをと調節していきます。
この状態で演奏しながらボリュームやトーンを操作すると、ピッキングのニュアンスが出しやすくなるはずです。
その際には、先ほども書きましたが、Highがキツめに出る傾向があるので、耳に痛い音にならないように、American Sound側で適度にHighやVoiceを設定して下さい。
また、ギターの機種は、出力が低めのハムバッカーか、出力強めのシングルコイルが搭載されたFender Stratocasterなどが合うようです。
個人的にはTexas Specialをマウントしたストラトや、Paul Reed Smith辺りが一番しっくりくるような気がします。
他にもP-90をマウントしたGibson Les Paulなども合うかもしれません。
ただし、歪みの量が多いと、ダイナミクスが付きにくくなるため、Driveは12時の方向より右には回さない方が良いと思います。
強く歪ませようとすると、トランジスタ・アンプで歪ませたような平坦な音になってしまい、そのキャラクターである軽やかさが、逆にチープな感じになってしまいます。
その音が欲しい場合にはそれでも良いと思いますが、ピッキング・ニュアンスは出しにくくなってしまいますので、American Soundの良さを引き出すには、あまりオススメ出来ません。
American Soundの総評
Bossが以前発表したレジェンド・シリーズで、’63 Fender Reverbや’65 Fender Deluxe Reverbといった機種がありました。
正直言って、それらにも引けを取らないようなサウンドだと感じます。
しかも、そのレジェンド・シリーズが約18,000円の価格に対して、American Soundは4,000円を切る価格(2020年7月現在)と考えると、非常にコスト・パフォーマンスに優れていると言えます。
手軽に購入出来て、いつもと異なるアンプを使ってみて思うような音が出せない場合や、レコーディング時に少しキャラクターの違う音が欲しい、などという場合に最適です。
ただし、American Soundに限らず、JOYOのエフェクター の耐久性に関しては、少々疑問が残りますので、スイッチング・システムを組み込むなど工夫してみましょう。
特にネット・ショッピングなどでは、現物を購入して家に着くまで、実際に触れることは出来ませんので、初期不良などには要注意です。