ギタリストにとって、腱鞘炎は最も有名な症例です。正しいフォームで弾いていない、疲労の蓄積など、もちろん個人差はありますが、原因は色々考えられると思います。
腱鞘炎になってしまうと、最悪の場合には元通りにギターを弾くことができなくなります。
病院にかかって治療が終わったとしても、日常生活に影響がなくなれば、医学的には完治とみなされるかもしれませんが、ギターの演奏には支障を及ぼす可能性があります。
一方で、指の痛みにも腱鞘炎と間違えやすい様々な症状があります。
どちらにしろ、演奏への影響だけでなく、普段の生活も不自由になってしまいますので、十分注意してください。
腱鞘炎と間違えやすい症状
・手根管症候群
手の平の辺りには、手根管という靭帯や骨等で形成されているトンネルのような器官があり、その中に指を動かす筋肉や神経が、各指まで多数通っています。
指を多く使い過ぎたり、過度に負担が伴うと、その手根間の中にある神経が圧迫されて痛みなどが出てきます。
主に親指・人差し指・中指に痺れが生じます。また、外傷でも発症するようです。
・ヘバーデン結節
へバーデン結節は変形性関節症と呼び、関節に痛みや腫れなどが生じ、その症状が継続してしまう疾患です。
慢性的な痛みと痺れが続き、その症状が続いて関節が横に広がっていきます。中高年期に発生する例が多いようです。
原因は不明と言われており、高齢の方や関節を使い続けるような、特定のスポーツ選手に多いようです。
・関節リュウマチ
人間の身体には身を守るための免疫機能があるのですが、外敵から身を守るはずの免疫機能が何らかの理由で自分の関節を攻撃してしまい、関節に痛みや腫れが起こります。
その結果、関節が変形してしまい、あまりに酷いと手が使えなくなってしまいます。
特徴として、朝起きた時に手や指に違和感を感じます。また、こわばった状態になります。
各関節に痛みと腫れが生じます。
医療機関でレントゲン検査をすると、典型的な関節初見が判明します。
腱鞘炎の症状
腱鞘炎とは、腱とそれを包む腱鞘に起こる炎症のことです。
腱は、骨格筋が骨に付着する部分の筋肉寄りにある結合組織です。有名なものはアキレス腱ですね。
腱鞘は、手や足にあるトンネルのような形になっているもので、その中を腱が通っています。
この腱と腱鞘を酷使すると、腱鞘が炎症を起こして腫れや痛みに繋がり、腱鞘炎という症状になってしまいます。
・左手首の症状
ある日突然痛みが強くなり、手首が痛くてコードを押さえる事ができなくなっていまいます。当然コードのみならず、フレージングなどの細かなプレイにも影響が出てしまいます。
痛みで手首を曲げる事ができないようになります。しばらくギターを弾くことを控えなければならなくなります。
・左手指の症状
- 痛み
- 痺れ
- むくみ
- 動かしづらい、カクカクする、意図しない動きをする
このような症状が出始めたら危険な兆候です。個人差はありますが、おそらく過度に演奏している、負担がかかりやすいフォームになっているのかもしれません。指を休ませましょう。
特に動かしづらい、変な動きになってしまう、という症状が出た場合は、すぐに医療機関で受診しましょう。
- 小指がカクカクする。
- 薬指、小指を巻き込んで握ってしまい、指板上に出にくい。
- 指板を押弦しようとすると、中指・薬指が伸び切ってしまう。
- 和音を押弦して離そうとしたら、例えば薬指だけ上がらない。
- 指板をセーハすると親指の手の平側の付け根に痛みがある。
- 手首の甲が痛い、腫れている。
- 指の甲側の第一関節が曲げると痛む、さらに強く指を曲げようとすると痛くて十分曲がらない。
これらの症状が見えてきたら大変危険です。悪化する前にすぐ医療機関で受診してください。スポーツ選手同様、ミュージシャンも身体が資本です。
・右手首の症状
左手に対し、右手が腱鞘炎になるというのは、ダウン・ピッキングのし過ぎ、というのをよく聞きます。
当然個人差やフォームの問題もあるので、ダウン・ピッキングばかりすると腱鞘炎になる、とは必ずしも言い切れません。
症状としては、手首がだるい、上げられない、曲げると痛むという症状が出ます。
手首の腱鞘炎は「ドケルバン病」や「テニス肘」とも呼ばれます。
手首の腱に大きな負荷がかかり、次第に腱鞘炎の症状が進んでしまいます。原因は不明ですが、よく言われるのが継続・反復的に関節を使い続けることが多いようです。
手首の痛みの場合には、主に「たんとうそく手根伸筋」という、手首を伸ばす働きをしている部位が疲労状態にあることから痛みが発生しているそうです。
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