イングウェイのマーシャルの音作りについて。

イングウェイのマーシャルの音作りについてをみていきましょう。

ロックとクラシックを融合させた音楽スタイルを貫き、個性的なヴィブラートやエモーショナルで歌うようなリードプレイは多くの人々の心を惹きつけます。

イングウェイについて

イングヴェイ・マルムスティーンの愛用アンプと言えばマーシャルです。

その中でも、1987Xという50ワットの出力のアンプを愛用していました。

このアンプのパネルは、兄貴分の1959SLPと変わりませんが、出力が半分の50ワットになっています。

マーシャルは昔から、同じアンプで100ワットと50ワットのふたつの出力のバージョンを出しています。

1987Xは歪み始めるポイントが低く、小音量からでも歪み始めます。

サウンドもマイルドになると言われています。

ジェフ・ベックやマイケル・シェンカーも、1987Xの愛用者でした。

(ジェフ・ベックは近年ではDSL100を使用しています)

最近では、イングヴェイ・マルムスティーン・シグネーチャーモデル・
マーシャル「YJM100」が発売されました。

このアンプには背面にオーバードライブ、ノイズゲート、デジタルリバーブ、
マスターボリュームがあります。

スピーカーはセレッション75ワットスピーカーです。

ギターはフェンダーのシグネーチャー・モデルを愛用しています。

72年製のラージヘッドのストラトキャスターを基本に作られています。

ギターのピックアップは、セイモア・ダンカンと共同開発したYJM FURYが載せられています。

このピックアップはスタックピックアップで、通常のシングルコイルピックアップとハンバッカーピックアップの良いとこ取りをしたようなピックアップとなっています。これとマーシャルアンプの組み合わせは、シングルコイルのジャキッとした枯れたサウンドに粗い歪みで明るい高域は抜群に相性がいいです。特に初期のマーシャルはジミヘンドリックス、リッチーブラックモアなどの愛用で知られています。

足元にはDOD YJM308がセットされますが、これは中身がDOD250グレイバージョンにモディファイされたものです。

エフェクトは他にボスのノイズサプレッサーNS-2とボスのコーラスCE-5を使用しています。

1995年ツアーのセッティング

この時期はギターピックアップが、ディマジオのHS-3となります。

マーシャルヘッドは70年代初期のMk 2ヘッドです。

キャビネットは1960年代後期のマーシャル・キャビネットです。

  • VOLUME 10
  • BASS 5~7
  • MIDDLE 2~5
  • TREBLE 6~8
  • PRESENCE 4~6

とういうセッティングになります。

ミドルを少しだけ抑えたセッティングです。

2011年ツアーセッティング

Relentless 2011ツアーのものとなります。

このツアーでは36個のマーシャル・アンプヘッドと22のマーシャル・キャビネットが用意されました。

ビンテージマーシャルMk2ヘッドとYJM100がセットされています。

YJM100を使用する際には、背面に付いている、オーバードライブ、ノイズゲート、リバーブは使用していません。

マスターボリュームは100でフルアップのようです。

細かいセッティングについてはわかりませんでしたが、ギターのピックアップが変わったせいか、高音域の強いサウンドになっていますが、アンプのセッティングは大きく変えてはいないようです。

同じ音を出した場合

元々彼が使用していたマーシャルは1987ヘッドと1960キャビネットの組み合わせでしたが、これは現在のハイゲインのアンプと比較すると驚くほど歪みません。

彼のマーシャルで作る歪みの部分は、ボリュームをフルアップする事で得られる歪みです。

ですので、マスターボリューム付きのマーシャルを使用した歪みとは大きく違ってきます。

50Wのマーシャルをフルボリュームで弾く事は現在の日本のライブハウスではかなり難しいと思います。

また、イングヴェイが使用している事で有名なスキャロップ指板ですが、こちらは普通のギターに慣れているとプレイする事がひじょうに困難なものです。

フィンガリングが楽にこなせるようになりますが、これは押さえた指が指板に当たらなくなり、軽く押さえただけで音が出やすくなるためです。またヴィヴラートもかけやすくなりピッチの幅も広がります。しかし必要以上の力で押さえてしまって、音程がシャープしがちになってしまいます。通常の指板でも強く押さえすぎればシャープしてしまいますが、スキャロップ指板ではより深く、シャープする幅も広がってしまいます。そのためフレットの近くを適正な力で押さえるテクニックが必要になります。また、指板が削られているため通常のネックと比べると薄くなっています。そのため強度的に弱くなってしいるため反りやすく、折れやすくなります。

これらの状況を考えた場合、もし彼と同じ音を出したい場合は、彼と同じ機材を使用しない方が近い音を出せるのではないと考えます。

時々コピーバンドで本人と同一の機材を揃えて演奏している方も見受けられます。

スキャロップのヘロヘロな音でカリカリのマーシャルから音を出していたりして、正直無理があり過ぎて聴いていてつらい方も少なくありません、むしろ多いように思います。

「絶対同じ機材で同じ音を出したい」という強い信念の元でそうしているのかも知れませんが、自分の弾き方やギター、環境を踏まえた場合、全く違う機材にした方がより本人ぽくなる事が出来ると思います。

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