ギタリストの雅(miyavi)の凄さ

今回は、現在最も注目されているギタリストの1人、雅(miyavi)氏について書いてみました。

ワールド・ワイドに、そして幅広いジャンルで活躍している雅(miyavi)氏。

彼のギター・プレイやキャリアなどを辿ってみたいと思います。

miyaviさんについて

2017年にキャリア15周年を包括するベスト・アルバムをリリースし、その後も精力的に活動を続ける雅(miyavi)氏。

日本国外でも大きな人気を博し、185cmの長身・細身のルックス、そしてピックを使わずに指でギターをバシバシ弾いていくそのスタイルから、「サムライギタリスト」と呼ばれています。

彼のギター・プレイの最大の特徴は、ベースのスラップ奏法に似た指弾きのピッキングです。

完全にスラップ奏法をギターで行っている訳ではありませんし、指弾きを中心とする他のギタリストとも異なる、かなり独特な奏法と言えます。

彼はピックを使わずに、右手の5本の指とその爪をフルに活かして、弦を弾いたりフレット・ボードに叩きつけたりしてギターを弾いています。

指弾きで比較的甘めのトーン、そしてパーカッシヴなサウンドを生み出しています。

これは、日本の伝統的な弦楽器である三味線の影響も受けているそうです。

彼のプレイを真似して取り入れてみる場合、まずは親指のみでオルタネイト・ピッキングをマスターすることから始めてみましょう。

ピック弾きと異なり、親指のみでアップ・ダウンを繰り返すという技術的な課題があります。

速いテンポにも合わせられるか、音量を調節してアタックの粒立ちをきちんと揃えることが出来るか、アクセントなどの強弱をコントロール出来るかなど、かなり繊細かつ正確なプレイが要求されます。

現在はほとんど指弾きのJeff Beckも、「慣れてしまえば、ピックよりも指の方がアタックが速い」と言っていまし、マスター出来れば、高速フレーズも指で弾きこなせるようになります。

コツは親指にあまり力を入れ過ぎないことです。指弾きは、微妙に加減を間違えるとすぐに弦が引っかかってしまいます。浅過ぎず深過ぎず、練習を繰り返して自分なりのコツを掴んでみて下さい。

たとえ彼のプレイ・スタイルを取り入れられなくても、色々な弾き方がある事を知ることが出来たり、そこから自分なりのプレイ・スタイルへ発展させるなど、経験になるはずです。

雅(miyavi)氏は、指弾きとは思えないほどの、超高速シーケンス・フレーズや、アタックの強い轟音などを出しています。

自分独自のスタイルを見つけ、それを磨き上げてきたからこそでしょう。

最初はヴィジュアル系バンド

雅(miyavi)氏の本格的な音楽活動の始まりは、とあるライブハウスで知り合った「Dué le quartz」というヴィジュアル系バンドへの加入からでした。

このバンドで3年ほど活動した後、2004年に「ロックの逆襲 -スーパースターの条件-/21世紀型行進曲」でメジャー・デビューします。

この当時は日本語歌詞が主体のポップな楽曲が中心でした。

ギターのプレイスタイルも、凄腕のテクニックやダンス・パフォーマンスなどを見せていましたが、強力な個性という訳ではないようです。

使用機材のエレクトリック・アコースティック・ギターは、Taylor T5です。

通常のエレアコで、彼のようなスラップっぽいプレイをするには、弦高が低過ぎたり、ネックの幅が狭過ぎてフレットに当たってしまいます。

また、ソリッドなエレクトリック・ギターのような厚みのある歪みや強烈なフィードバックも難しいと思います。

エレクトリック・ギターでは、Fender Custom Shop Telecasterを使用していますが、ヴィブラート・ユニット(Stratocasterのシンクロナイズド・トレモロとは異なるようです)が搭載された、彼独自のモデルになっています。

そして、2005年頃から、アコースティック・ギター+ルーパーの組み合わせという独奏のスタイルで、それこそ温泉地も含めた全国巡業をスタートさせます。

このようにスタイルを模索しながら、そしてライブ活動も精力的に続け、現在の指弾きプレイ・スタイルにたどり着いたのだと思われます。

また、徐々にサポートドラマーのBOBO54-71)と2人による演奏形態になっていきます。

また、2006年のLos Angeles留学以降は、楽曲中で英語詞がメインになっています。

スタイルを惜しみなく変える

ギタリスト・雅(miyavi)氏は何がスゴいのか、と言われると、ある種極めたと思われるプレイ・スタイルに固執することなく、現在の自身の必要性に合わせて、新しいスタイルへと変化していくことではないでしょうか。

デビュー最初期はヘヴィ系で速弾き中心のテクニカルなプレイ・スタイルでした。

それがソロ・アーティストとして活動することになってからは、突然スラップのような独特の指弾きのアコースティック・ギターになった時は、誰もが驚かされました。

その動機は、「ソロ・アーティストが一人で演奏できなくてどうするんだ」という事だったらしいのですが、活動を続けながら試行錯誤し、この技術に磨きをかけていったようです。

近年ではスラップを使いながらも、エレクトリック・ギターを弾くスタイルになっていますが、やはりこのままずっとこのスタイル、という気はしませんね。

リズムに対する意識

また、彼はリズムに対する感覚が非常に鋭敏だと言われています。

これは一流と言われるギタリストに、必ず共通する事です。

スラップのような指弾きプレイをするのに、アコースティック・ギターを使用したというのは、やはりそのアタックの早さが理由だと思います。

また、ドラマーと2人だけ、という編成もとても深く関係しているのではないでしょうか。

ドラムと、パーカッシヴなギターの組み合わせ、と考えると、ギターにも正確で鋭いリズム、リズムへの強い意識がコード・ストロークやメロディを弾くよりも、より求められるからです。

当然それだけのギター・テクニックが必須になります。

ドラマーとの2人編成なのに、アンサンブルが薄くならないのは、ギターのサウンド・メイクによるところもありますが、バスドラムとの一体感が大きく、基礎的なビートを聴かせているからでしょう。

つまり、ベースに近いような感覚でギターを弾いている、そんな感じがします。

今の日本の若い世代で、「ギター・ヒーロー」と言える存在が少ないように感じます。

世代間はそれぞれ異なりますが、Char氏や高中正義氏、鈴木茂氏、そして布袋寅泰氏や松本孝弘氏などと言った、誰もが憧れるギタリストは、そうそう現れないのかもしれません。

雅(miyavi)氏は、そんな現代で、まさにギター1本で勝負しているギタリストだと思います。

彼がどんなスタイルに変わっていくかは分かりませんが、変化し続けて探究し続けるギタリスト、今後もどのような音楽やギターを聴かせてもらえるのか、非常に楽しみです。

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