イングウェイのピッキングについて詳しく見ていきます!
イングウェイについて
イングヴェイ・マルムスティーンは1963年生まれで、今年で54歳となります。
デビューが18歳ですから、36年間速弾きのトップギタリストであり続けています。
クラシックの要素を取り入れたスタイルで、今までなかったような驚異的なテクニックは多くのロックギタリストに影響を与えました。
イングヴェイの登場後は、数多くのフォロワー、クローンが世界中のあちこちから誕生しましたが、本家を超えることは出来ていないようです。
昔のプレイは様式美を活かしたクラシックスタイルでありましたが、近年のプレースタイルはパワーメタルになっています。
そんなイングヴェイのピッキングですが、ファンの間では事故前と事故後では違うと言われています。
イングヴェイ交通事故
イングヴェイは1987年に自動車事故をおこしてしまいます。
ジャガーで木に激突するという大事故でした。
車から数十メートル投げ出され頭蓋骨骨折と脳挫傷で、8日間の意識不明の大重体でした。
言語障害と右手の複雑骨折、右半身の一部の完全麻痺という状態でしたが、リハビリの結果、体調はかなり元に戻ります。
しかし、右手に後遺症を残すこととなってしまいます。
事故前のようなピッキングができなくなってしまったと語っています。
しかし、世界一の名医の手術により現在では復活し、事故前のようなプレイが可能となっています。
イングヴェイのピッキングスタイル
イングヴェイのピッキングスタイルは、軽くて動きの少ない驚異的なピッキングです。
指の屈伸をつかって角度の調整などを行っていますが、無駄な動きは全くありません。
0.008 0.011 0.014 0.022 0.032 0.046というギター弦を使用しており、高音弦はより細く、低音弦はより太くという特徴的なセットです。
90年代はアーニーボール弦を使っていました。
ゲイン・ブースターとして、イングヴェイは昔から「DOD250」というオーバードライブを愛用しています。
スウェーデンからアメリカに渡るときには、ギターとDOD250をギターケースに入れて渡っています。
イングヴェイの使っている黒いイングヴェイ・シグネーチャーモデル・オーバードライブは改造されて、DOD250のグレイバージョンと同じになっています。
セッティングはドライブ、ボリューム共にフルテンです。
ピックは厚さ2ミリのジム・ダンロップのシグネチャーピックを使用しています。
メインアンプはマーシャルの1987 50Wです。こちらもモディファイがされているようです。
この組み合わせによる彼のソロ初期の3作品「Rising Force」「Marching Out」「Trilogy」ではストラトキャスターの透明感のある澄んだトーン、艶のある伸びやかで突き刺すようなシングルコイルピックアップの絶妙なサウンドが聴けます。
(実際はハムバッキング構造のシングルコイルスタイルのピックアップを使用してます。)
この辺りはサウンドメイク、ギターの鳴らし方のうまさが光ってます。
またピッキングに関しては手首の使い方が上手くて、決して無駄な動きましません。
大きく2つのポイントがあります。
①ピックの角度
彼の真骨頂はピッキング角度が一定ではなく、速弾き時やスイープ奏法時はピック角度を垂直気味に弦に当て、低音弦の場合は弦と平行に当てているようです。
ピックの先端で弾いており、これが大変難しいです。しかしよく見ると薬指をピックガードに触れさせて、そこをガイドにして弾いているのが解ります。それによってピックが弦に当たる深さを調整しています。ただし薬指の位置も同じところばかりでなく動いています。滑るようにピックガードを動き回る指も見どころです。
親指の第一関節の角度がフレーズによって変えられているのが分かります。
このあたりのコントロールをいとも簡単にこなしているため、一見簡単そうに思えるのですが実は大変高度な技を身に着けています。
交通事故前のピッキングスタイルは上記のようなものですが、事故後はレガート(左手のみの流れるようなフレーズ)を多用していた時期もありました。
②右手首の動き
①のような高度な動きをしながら実は大変軽いピッキングです。
スタジオリハーサルなどの音を聴けば生音が聞こえますが、適度に力を抜いたピッキングで速さを実現しています。
ダウンピッキング時には斜めに入り込み、アップはボディから離れていくというスタイルですが、大げさに手首をふり回すようなことはなく、完全にコントロールされた究極のエコノミーピッキングをしています。
Youtube動画で確認してもらうとわかるのですが、右手は薬指を伸ばしピックガードにつけるようにして、小指はボリュームノブに触れるようにしています。
この方法だと手首でより少ない動きでピッキングが可能になります。
ピッキングする弦は隣の弦が多く、飛ぶ超す弦を少なくしているためピックを立てた状態での高速移動を可能にしているのでしょう。
彼はどうしたらギターをバイオリンのように扱うことができるのだろうか・・・という考えから右手だけではなく、左手もリズムを作り出しているためピッキングには荒々しさはなく優しさを感じます。
初期の頃はボリューム奏法(ピッキングしながら小指でボリュームを強弱操作)し、バイオリンやチェロのような音を表現していました。
ある日本人ギタリスト(イングヴェイのコピーで有名)はかなりマニアックで、ピックを持つときは「人差し指が親指に力負けしてしまうため、速弾き時は中指を人差し指に添える。小指がボリュームノブに引っかからないよう薬指の上に乗せる」というようなフォームを解説されてました。
ピックの先を深く当てすぎないようにし、ピッキング角度をコントロールし、右手首の力を適度に抜く。ダウンピッキングは弦を払うのではなく軽く押すようなイメージで、アップはその反動を使ってダウンピッキングの前の位置に戻すようにアップダウンを繰り返します。
イングヴェイのピッキングを真似しようと思ったら、このフォームを真似て練習するといい結果が得られます。
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