ギターやベースの演奏を始めようとする際、手の小さな人や指が短い人は、自分は弾けるようになるか、不安だと思います。
特にベースはギターに比べて、フレットの間隔が長く弦も太いため、初心者の方はやはり気になる点です。
そこで今回は、ベースは手が小さい人や指が短い人でも弾ける?というテーマで記事を書いていきます。
ベースは手が小さい人や指が短い人でも弾ける?
ピアノでは、手が小さかったり指が短かったりすると、明らかなに弾けない、という楽曲がいくつかあります。
そのため、どんな楽器においても、手が大きくないと弾きこなせない、あるいは手が小さいと演奏に不利、というイメージがあると思います。スポーツでも体格や身長は競技に影響する、とされています。
まして、ベースはギターに比べてネックも長く、しっかり押弦するにはより大きい手でなければ弾けないのでは、と思いがちです。
ですが、その認識は間違っています。
「手が小さいからベースは弾けない」は大きな間違い
ベースは、ギターと比較するとネックが長くて厚みがあり、フレットとフレットの間隔が大きく空いています。ギターを弾いた後だと、特に感じる点です。
そう考えると、やはりベースを演奏するには、ギタリストよりも大きな手と長い指が必要な気がしますが、実はそうではないのです。
ギターでは、押弦の基本として、例えロー・ポジションであっても1つのフレットに対して1本の指を充てがっていく事になります。
具体的には、1フレットに人差し指、隣の2フレットに中指、順に3フレットに薬指と4フレットに小指を置いていく、という形です。
しかし、ベースの場合は、指が太くて長い黒人のベーシストでも、3フレット半くらいが指の届く限界だと思います。
ギターのように1フレットに1本の指、という弾き方ではなく、ベースではいかに指をスムーズに移動させられるかになってきます。
つまり、人間の手の大きさの範囲では、ベースを弾くのに手が大きい、小さいというのは有利にならないのです。
また、ギターはコードなど複音で弾く事が多いので、指の長さによって有利・不利な演奏が生まれてきますが(それも押弦の工夫などでカバーできます)、ベースは基本的に単音弾きなので、ポジション移動の仕方に慣れてしまえば問題ありません。
ですので、「手が小さい、指が短いからベーシストに向いていない」という事は全くありませんので、全く気にしないでください。
逆にベースから見れば、どんな人でも「手が小さい」人でしかないのです。
体の大きさや体格についても、ウッドベースやコントラバスに比べると、エレキベースはストラップで肩にかけるタイプですので、特に問題にはなりません。
それでも弾きにくいと感じる時
それでもベースが弾きにくいと感じる場合は、ベースのサイズを変えてみる事をおすすめします。
サウンドも変わってしまいますので、注意が必要です。
弾き方とサウンドの変化に影響があるのは、ベースのネックの長さで「スケール」と言います。
ちなみにメジャー・スケールなどの音階の「スケール」とは無関係です。
ベースのネックの長さは大きく分けて3つありますので、以下解説していきます。
・1.ロング・スケール
これはFenderのジャズベースやプレシジョンベース、その他多くのベースに使われている基準の長さです。
アタックはシャープで、弦のテンション感も強めです。
・2.ミディアム・スケール
これはロング・スケールより2インチ(5cm)程度短いスケールです。これと言った代表的なモデルはありませんが、最近はジャズべやプレベでもミディアム・スケールがリリースされています。
ややサウンドが不明瞭になってしまうというデメリットがありますが、その特徴を活かすベーシストもいます。
・3.ショート・スケール
これはロング・スケールより4インチ(10cm)程短いスケールです。
Fenderのムスタング・ベースやGibsonのSG・ベースがショート・スケールです。
このスケール(弦長)が短いほど、弦のテンションが緩くなり、弾きやすく感じると言われています。また、テンションが緩いので、低域を強く出せます。
また、スケールだけでなく、ネックの太さ・握りやすさも重要になってきます。
例えば、ジャズべとプレベでは、同じロング・スケールですが、ジャズべの方がネックはばは狭くて細いです。
この辺りは実際に楽器屋などで試奏して体感してみるのが一番良いと思います。
弾きにくさは調整する事で直る場合が多い
実は、ロング・スケールのベースは、手が小さくても問題なく弾けます。というより、ショート・スケールよりロング・スケールの方がプレイアビリティが高く弾きやすいので、初心者の方にはおすすめです。
もし弾きにくく感じた場合は、ナットや弦高、ネックの反りを調整する事で、一気に弾きやすく感じる場合もあります。
手の大きさで悩むよりも、まずはベースのリペアーを検討しみましょう。
分からない場合は、楽器屋やリペア屋に相談してみるのが良いです。
ベースの弦の押さえ方のコツとは?薬指・小指は押さえずらい?
ベースはギターに比べると弦が太いので、闇雲に力で押弦しようとすると大変です。手首の使い方や、指を立てるのか寝かせて押さえるのかなど、少々コツが入ります。
ここでは、ベースの弦の押さえ方について考えていきます。
2種類のネックの握り方
ベースのネックの持ち方、そしてネックの握り方には大きく分けて2種類のスタイルがあります。
それぞれのメリットとデメリットを簡単に説明します。理想はどちらも出来るようになると良いのですが、どちらが自分に向いているか、から始めてみても良いです。
クラシック・スタイル
親指はネックの裏の真ん中に添えます。残りの指で弦を押さえるというフォームです。ベースだけでなく、ギターでも一般的なスタイルです。
・メリット:
- 親指が支点になり他の指の可動範囲が広いので、弦が押さえやすい
- 手が小さくても問題ない
- どの指も同程度の力加減で弦を押さえられる
- 多弦ベース(5弦、6弦ベース)でも問題なく押さえられる
- フレットレス・ベースでも同じ感覚で弾ける
・デメリット:
- 慣れていないと親指が疲れる
- 座って弾く場合に比べて、立って弾く時に弾きづらく感じる
ロック・スタイル(シェイクハンド・スタイル)
親指でネックを握り込んで、残りの全ての指で弦を押さえるフォームです。ギターではセーハを押さえやすくする時に使うスタイルです。
・メリット:
- 手全体でネックを握るため、クラシック・スタイルよりも押弦に力をかけやすい
- 親指が4弦の上に出るので、4弦をミュートしやすい
・デメリット:
- 指が寝てしまいやすく、音の粒立ちが悪くなる
- 指の可動範囲が狭くなるため、横のフレット移動が難しくなる
- 上記と同じ理由で、縦のポジション移動が難しくなる(他の弦に意図せず触れてしまうなど)
- 小指はほぼ使えない状態になるか、もしくはかなり押さえづらい
- 多弦ベースのようにネックが広くなると、このスタイルで弾くには手の大きさが必要
どちらのスタイルがいいのか
上記で挙げた通り、汎用性が高く、メリットが多いのはクラシック・スタイルです。
このスタイルを身につければ、オール・ジャンルに対応出来るでしょう。ポジション移動がスムーズに行えるからです。
しかし、ルートしか弾かないようなオールド・ロックやパンクなどでは、親指でミュートの微細なコントロールが可能なロック・スタイルの方が向いていると言えるでしょう。
もしテクニカルなフレーズを多用する、ポジション移動が多い、多弦ベースを弾くなどの理由があればクラシック・スタイル、ルート弾きがメインでロー・フレットの低音弦主体であればロック・スタイル、と使い分けるのが良いと思います。
おおよそのベーシストがクラシック・スタイルだと思いますが、ロック・スタイルを改良したり、演奏中にスタイルを変えたり、また自分なりの修正を加えるなど、個性的なスタイルを持つベーシストはたくさんいます。
まずは基本のクラシック・スタイルをしっかり覚えて、自分の弾きやすいスタイルの確立を目指しましょう。
弦の押さえ方のコツ
弦を押さえる時は、フレットと指の位置を常に意識しましょう。慣れてくれば、自然にどこを押さえるかという意識がつきます。
フレットとフレットの中間を押さえたくなりますが、押さえやすく正確な音を出すには、フレットのすぐ横を押さえるようにしてください。
また、音の分離や立ち上がりを良くするには、指を寝かさずに立てて押弦します。これは何度も押弦して指にある程度の力を付けないと、すぐに指先が痛くなります。
具体的には、指と指板の角度は30~45度くらいで押弦します。
押弦して、弦を弾いて、正確に音が出せているかしっかり確認しましょう。ポジション移動の前に、正確な音が出せていないといけません。
具体的には指と指板の角度は30~45度くらいにして弦を押さえます。