ベースのヘッド落ち対策について

ギターやベースを購入して、いざストラップを付けて立って弾くと、どこかしっくりしない。

演奏していると、フィンガリングをしている手に余計な力がかかる。

そんな経験はあるでしょうか?

フェンダーのジャズベースや、それに似たシェイプのベースしか選択しない方には、このような「ヘッド落ち」の経験はないかもしれません。

実際に、「ヘッド落ちって何?」と聞かれることも多いです。

ヘッド落ちとは、ベース本体の重心がヘッドよりになっているベースで起こる現象です。具体的には、ストラップで肩から吊るした状態でフィンガリングしている手を離すと、ヘッド側がボディとの平行線より下に落ちてしまう事です。

原因は、ベース本体のバランスが悪いことです。この現象は、SGベースやサンダーバード等の変形シェイプの機種や、ペグが重い、または多く設置されている多弦ベースでよく起こります。

これはヘッドを支えながら演奏しなければならないので、とても弾きにくさを感じてしまいます。

今回はそんなヘッド落ちの対策について書いていきます。

ベースのヘッド落ち対策について

ストラップを短くしてベースを高い位置で弾く

原因は、先ほども書いた通り「ベース本体の重心がヘッドにある」ということです。

どのくらい弾きにくさを感じるかは、個人の感覚や技術にもよります。

経験上、ヘッド落ちするギターやベースは、ストラップを短くして高い位置で弾くと、ヘッド落ちがしにくくなる場合があります。

ネックに角度をつけるとさらに弾きやすくなります。

もしベースを低い位置で弾いていて、ヘッド落ちが気になってしまう場合は、位置を上げてみてください。

ただし、機種によってはあまり変わらない場合もあります。

滑りにくいストラップにする

最も簡単にヘッド落ちを解消する方法は、滑りにくいストラップを使用する事です。

滑りにくくする事で摩擦数を増やしてヘッド落ちを防ぐ、あるいは減らす方法です。

この方法だと、演奏中に良く動いたりアクションをとる場合、引っかかって感じるかもしれません。

また、同様の理屈で、上半身裸の状態でベースを下げると、ヘッド落ちしにくくなります。

ストラップピンの位置を変える

これは、特に変形シェイプのベースで有効な方法なのですが、ネック側のストラップピンをボディ裏に付け替える事でヘッド落ちをしにくくする、という方法です。

また、ボディエンド側もずらす事でバランスが向上する場合もあります。

これらは要するに、ベース本体を吊るした時の重心をボディ側へ持ってくる方法です。

難点として考えられるのは、ストラップピンを実際に移して取り付けてみないとバランスが分からない事です。失敗してしまうと、ボディに無駄な穴が空いてしまいます。

また、必ずヘッド落ちが解決するとは限りません。

効果が薄かったり、感覚的に違和感が残ったりするかもしれません。

失敗したくない場合は、リペア・ショップ等に相談した上で、ストラップピンの位置を変更してもらうのが良いと思います。

ストラップのボディエンド側に重りをつける

ボディエンド側のストラップに重りを引っかけておくのも一つの方法です。

この方法であれば、ボディを改造する必要もありません。

一番安価で簡単な入手は、100均で売っているリスト・ウェイトをそのままストラップに取り付ける方法です。

これは意外使えて、安定感を感じます。

ただし、ボディにリスト・ウェイトが付かないように少し上の位置で固定するようにきてください。

理由は、ボディにリスト・ウェイトが付いてしまうと、ボディの鳴りを抑制してしまうからです。

キックやスネアなどのドラムパーツにミュートをかけているのと同じ原理です。

ボディへの接触ごないように位置を上げて取り付けましょう。

実は、2010年頃にボディエンド側に重りを入れる事が出来るストラップを販売したメーカーが海外にあったのですが、1年もしないうちに倒産してしまいました。

やはりサウンドへ影響を与えてしまうアクセサリ関係は、使用するのに慎重になる方が良いです。

問題点は、重りが多く必要な場合は、重りの重さの分だけ機材も重くなってしまう事、重りの分だけ肩への負担がかかってしまう事です。

ヘッド落ちが完全に解決できないベースもある

ここまでいくつか紹介したようなヘッド落ちの対策を行っても、どうしてもヘッドが落ちてしまうベース機種も多くあります。

何をやっても解決しない場合は、それが個性の機種なんだと諦めて、受け入れて弾き方でカバーするか、別のベースを使うしかありません。

自分にとってそのベースが本当に必要かどうか、音や演奏性、見た目、使用場面など、総合的に判断して下さい。

ベースの指弾きのコツや練習方法。

元々、バンド・アンサンブルは、アメリカの戦前~戦後にかけて、ジャズやモダン・ブルースの編成を元に、ロックンロールへと用いられてきました。

その中でベース・サウンドを担ってきたのは、ウッド・ベース(アップライト・ベース)でした。エレクトリック・ベースが使用されるのは、1951年にFender社がプレシジョン・ベースを発表した後という事になります。

その関係もあって、当初はベースを弾くのは指弾きが主流で、ギターのようにピックを使って弾かれるようになるのは、その後になります。

このような歴史的な経緯から考えても、ベースを指で弾くということは、最も基本的な奏法と言えるかもしれません。

今回は、ベースの指弾きのコツや練習方法について述べていきます。

最初は指で弾けなった

自分の話で恐縮ですが、現在は指弾きをメインで弾いているのですが、ベースを弾き始めた当初は指弾きではなくて、専らピック弾きだけでした。

ストレートなロックや、パンクなどの楽曲を演奏する場合はそれで十分でしたが、次第にジャズやファンク系など、ベースの微妙なアタックや音色が要求される音楽では、指で弾いた方が直接かつ詳細にピッキングをコントロールする事が可能だという考えになりました。

指で弾けるようになった時

それまでは指弾きが苦手でしたが、ジャズ系のバンドで4ビートの楽曲を演奏することになった時、テンポが遅かったせいもありましたが、中指1本でしか弾けるようなフレーズしかありませんでした。

これなら弾けるかもしれない、と思い、初めは中指=ピックを持っていると思い込んで、中指だけで弾いてみたところ、まったく問題なく弾けたのです。

指弾きをやってみようと思った時に、一番最初の大きな壁になるのが人差し指と中指をを交互に使って弦を弾く事だと思うのですが、指1本だけであれば、とても簡単(ピックで弾く感覚に近い)である事に気が付いたのです。

それからしばらく、ピックを親指と人差し指の間に常に挟み、ピック弾きをメインにしつつ、指弾きのニュアンスが必要な場合は、中指で直接弦を弾くというスタイルにしていました。

そしてそのスタイルを続けていくうちに、徐々に中指の補佐的なポジションとして、人差し指を使うようになっていきました。

この頃になると、余程早いテンポの楽曲でなければ、指弾きだけで楽曲を弾き通せるようになっていました。

上記のように私の経験から考えてみると、指弾きをマスターしたいけれど、なかなか出来ない、という人は、まずは指1本で弦を弾くことから始めてみることをオススメします。

まずは中指のみで、人差し指のみで、テンポを落として楽曲を弾いてみるのが良いと思います。

それから中指と人差し指を交互に弦を弾いてみましょう。

私は、指弾きは人差し指→中指と始めて、必ず交互に繰り返すものだと思い込んでいましたが、中指からの方がやりやすいことに気がつきました。

もちろんどちらの指から始めても構いませんし、必ず交互になっていなければならない、という事もありません。

逆にどの指からでも、交互でなくても、しっかりした音を出せていれば問題はないのです。

むしろどの指からでも始められて、交互ではないパターンが使えるようになれば、とっさの場面やアドリブ・プレイでも応用が効きます。

練習方法1 まずは指1本で

既存のPopsやRock系の楽曲だと、指弾きのメリットである詳細なニュアンスの必要性やテンポの速さなどから考えても、指弾き初心者がいきなり弾ける楽曲は少ないと思います。

まずはブルース進行の楽曲を、4ビートのアタマだけ弾く練習をしてみましょう。

例えばKey of Aとして、以下のフレーズを全て4部音符で弾いてみて下さい。

A

G---------------------------------- G----------------------------------

D--------------5--7--5------------ D--------------5--7--5------------

A-------4--7-------------7--4---- A-------4--7-------------7--4----

E---5------------------------------ E---5------------------------------

D A

G--------------5--7--5------------ G----------------------------------

D-------4--7-------------7--4---- D--------------5--7--5------------

A---5------------------------------ A-------4--7-------------7--4----

G---------------------------------- E---5------------------------------

E D A

G------------------------------ G----------------------------------

D-------6--9--6-----4--7--4-- D--------------5--7--5------------

A---7-------------5------------ A-------4--7-------------7--4----

G------------------------------- E―5―――――――――――――――

上記のフレーズを、まずは人差し指もしくは中指だけで弾けるようにしてみましょう。

遅くても構わないので、リズムキープに重点を置いて下さい

練習方法2 オブリをいれてみよう

上記フレーズは単純なので、おそらくそれほど時間がかからずに弾けるようになると思います。

フレーズが馴染んできたら、そのあとで自分なりにオブリガードを入れてみて下さい。

このフレーズの場合であれば、8分音符を使うようなオブリになると思います。

オブリを入れる際に、裏拍の音については使っていない方の指で弾くと、より効果的な練習になります。

このような練習を行って、指を自由に使えるようにしていきましょう。

ベースのサンダーバードの特徴やタイプについて。

話はガラッと変わって、発売から半世紀以上経っても、未だに多くのベーシストの支持を集める機種、Gibson Thunderbirdを紹介していきます。

Thunderbirdは、1963年にGibson社から同デザインのギターであるFirebirdとともに発売されました。

当初発表されたものは、1ピックアップのThumderbird Ⅱ、2ピックアップのThunderbird Ⅳです。

しかし、ボディにコンター加工(ボディの一部を削りとって、演奏者の体にフィットしやすくする加工、Stratocasterで採用されている)をしていたので、Fender社から訴えられそうになったのです。

それをきっかけに、同デザインのFirebirdとThunderbirdは、モデル・チェンジと称してボディをひっくり返した形のノン・リヴァース・モデルを1966年に発表します。

ちなみに、このFenderからの訴えは、1965年にFenderがCBSに売却されたため、有耶無耶のままに終わったそうです。

一部では、訴えられたのはボディ・シェイプがStratocasterに似ている、という話もありますが、それはデマです。

むしろ、訴えられかけた後に発表されたノン・リヴァース・モデルの方が、Stratocasterに近いボディ・シェイプをしています。

実際のところは、Fenderに訴えられかけた事はきっかけにしか過ぎず、実際にはFirebirdやThunderbirdの生産コストが非常に高いため、コストダウンによるマイナー・チェンジを図りたかったというのが事の真相のようです。

Thunderbirdの特徴

・1963年型Thunderbird Ⅱ、Thunderbird Ⅳ

所謂、最も一般的にイメージされる「Thunderbird」です。

ボディの主な材はマホガニー、ピックアップはハムバッカー、ネックはスルー・ネックという仕様で、当時主流だったFenderのJazz Bass、Precision Bassとは全く異なるスペックとなっています。

Thunderbird Ⅱは、1ピックアップで1ヴォリューム1トーン仕様、Thunderbird Ⅳは、2ピックアップで2ヴォリューム2トーン仕様になっており、現在「Thunderbird」と単に呼ばれる機種は、このThunderbird Ⅳが元になっています。

ちなみに、ボディはギターのFirebirdと同様のものが使用されています。

音の特徴はロー・ミッドが強く、モコモコしていて少しブーミーです。ロックに向いており、アタックをコントロールすることで、幅広いサウンドを作ることが出来るでしょう。

 

・1966年型Thunderbird Ⅱ、Thunderbird Ⅳ

この時代は、所謂ノン・リヴァース・モデルのThunderbirdです。

ボディの材はマホガニーで、基礎的な鳴りは同じですが、ネックはセットネックが採用されており、音のキャラクターが異なっています。

1966年から1969年までの間しか採用されておらず、ノン・リヴァースのオリジナルの機種が少ないため、プレミアが付いています。

サウンドの特徴は、やはりオリジナルのThunderbirdの粘っこさを持っていますが、こちらの方が若干軽めの音で、アタックに丸みがあります。ロック系以外のポップスやブラック・ミュージックでも汎用性が高く使えると思います。

コレクターのみならず、プレイヤー目線でも人気のある機種なのですが、本家のGibsonからは一度も再生産されていません(Gibsonのカスタムショップでは制作されています)。

そのため、中古市場で高額なヴィンテージものを入手するか、コピー・モデルを購入するしかありません。これがプレミアの付いた理由にもなっています。

もしくは、この機種のみを製作している「Yardbird」というメーカーのブランドを検討してみるのも良いと思います。

丁寧に作られており、音もオリジナルにかなり近いのでオススメです。

Thunderbirdのバリエーションタイプ

Thunderbirdのその他のヴァリエーション・タイプを紹介していきます。

・Thunderbird Studio

2004年に発表された、ステューデント・モデル(廉価版)のThunderbirdです。

ネック・ジョイントは、スルー・ネックではなく、セット・ネックとなっており、材もウォルナットではなく、ボディと同じマホガニーが採用されています。

製法や材について、Thunderbird Ⅳと比較してコスト・カットされています。

また、4弦モデルと5弦モデルがラインナップされています。

近年5弦ベースはスタンダードになりつつありますが、Thunderbirdシリーズで5弦があるのはこのモデルだけです。

・Gothic Thunderbird

厳密にはGibsonではありませんが、Gibson直系のEpiphoneブランドです。

Epiphoneならではのコスト・パフォーマンスの高さを持っています。ボディもハードウェアも全て真っ黒な「ゴシック・シリーズ」のThinderbirdになります。

12フレットのインレイが美しく、つや消しのブラックで、ヘヴィなロックをイメージさせています。

基本的なスペックは、レギュラー・ラインナップのThinderbirdと同じです。

最後に

ギター/ベースでFenderとGibsonは、様々な面で特徴がほぼ逆です。Fenderユーザーの方は、音の違いに初めは戸惑うかもしれません。

Thinderbirdは、Gibsonらしい厚みがあってブーミー、というだけではなく、シャープさも兼ね備えた独特のサウンドです。

Fenderユーザーの方も、GibsonユーザーでThunderbird未経験のままの方も、ぜひ試してみていただきたいです。