ワウ・ペダルは、ペダルを常に上下させる事で部分的に帯域を変化させる事ができるエフェクトです。
一般的なエフェクターの場合は、一度ツマミをセッティングして使うことになると思います。ギターを両手で弾いている以上、物理的にエフェクトのリアルタイム操作は不可能ですが、ワウ・ペダルは常に可変するのが求められるため、足での踏み込みで操作することになります。
このワウ・ペダルは登場から半世紀以上経ちますが、現在に至るまで世界中のギタリストの足元に置かれ、様々な名演奏がなされてきました。
また、ワウ・ペダルを活用することで、リズムに特化した新たな音楽も誕生してきました。ファンクなどのブラック・ミュージックの発展は、ワウ・サウンドなしには考えられなかったでしょう。
ワウ・ペダルの有名メーカーと言えば、Jim Dunlopを挙げる方が多いと思います。
他にもVoxやElectro-Harmonixなども制作していますが、Jim Dunlopと比べるとナチュラルな変化、と言った感じです。
Jim Dunlopのワウ・ペダルは、高音域まで正確に踏み込む事ができるようになっています。これはJimi Hendrixが高音域の強いワウ効果を得るために、ペダルの先を削ってペダル自体を薄くしたことに始まっているようです。
Jim Dunlopのワウ・ペダル全般の評価。
Jim Dunlopの特徴として一般的に言われているのは、可変幅が広く鋭い=ペダルの可変角度が広くなっており、ポットの回転を幅広くコントロール出来ます。
ですので、大きな足の動きが要求されるため、カッティングなど、ファンクで聴かれるようなリズム・ギターにはあまり向いていないかもしれません。
リード・プレイやバッキングの一部などのインパクトとして、もしくはトリッキーに使用する場合などが効果的だと思います。
また、高音域にまで強く踏み込めるため、ドライヴ/ディストーションと合わせて使うと、より鋭さを際立たせる事が出来るでしょう。
ワウ・ペダルの有名ブランドというと、もう1社はVoxが挙げられます。Voxが自然な変化を特徴としているのに対して、Jim Dunlopはピーク帯域が強く、爪先を踏み込めば高音域の強いピーキー・サウンド、かかとを踏み込めば低音域によるモコモコした音に、瞬時に変化してくれます。
エフェクターの接続順序によってもかなり音の印象が異なります。歪み系の前に置くとギターの本来のサウンドを変化させ、歪み系の後ろに置くと高音域/低音域をより強調した荒々しさを目立たせる事が出来ます。
用途としては、リズムに合わせたカッティング・ワウ、単音にクセのあるアクセントを付けると言ったワウの定番から、ペダルの可変域の幅広さを活かした、特定の帯域のブースターとしても使えるでしょう。
非常に自由度の高いエフェクターという印象で、ワウ・ペダルに求める以上の使い方が可能だと感じました。
ワウ・ペダルというと、その筐体の大きさが少々気になりますが、GCB95をベースに超小型化されたCBM95 Cry Baby Mini Wahが発売され、従来のサイズの約半分となり、エフェクト・ボードにも組み込みやすくなりました。
通常モデル
・GCB-95 Crybaby
ワウの先駆者Thomas Organがデザインした、1966年発表のオリジナルのクライベイビーです。
クライベイビーと言えばワウ、というくらい有名で、Jimi HendrixやEric Claptonと言った錚々たるギタリストの足元に置かれていました。
特徴的でありながら耳馴染みの良いサウンドで、後のJim Dunlopに比べてややナチュラルです。
現代でもジャンルを問わず、世界中のギタリストに愛用されています。
・GCB-95F Crybaby
オリジナルのクライベイビーに使われていたイタリアFasel清野インダクタを採用し、図太くて切れ味の鋭いワウ・サウンドに仕上がっています。
・CM95 Clyde McCoy
世界初のワウ・ペダルを元に開発された機種です。
オリジナルに似たマイルドかつ存在感のあるサウンドが特徴的です。
Clyde McCoyはVoxからもいくつか出ていますので、聴き比べてみるのも面白いでしょう。
・95Q
CrybabyにQ(ピークの強さ)コントロールとブースト(+15dB)コントロール機能が追加された機種です。
かなり音質・音量変化が強いので、操作にはこれまで以上に慣れが必要でしょう。
踏み込んだ足を離すとバネにより出戻るオート・オフ機能を装備しています。
・535Q Crybaby Multi-Wah
プレイヤー・カスタマイズが可能なマルチ・ワウです。
6段階の周波数レンジ切替えと、Q(ピークの強さ)の調整が可能で、鋭いハイ・トーンからヘヴィな重低音の音域変化が出来ます。
Joe Satrianiも愛用している機種です。
・CBM95 Crybaby Mini Wah
定番ワウのCrybabyをミニ・サイズにしたモデルです。
内部の切替えスイッチにより、Low Vintage GCB-95の3種類のヴォイシングを操作出来ます。
サイズはミニですが、機能面ではほとんど見劣りしません。
筐体が小さい分、持ち運びに便利です。
シグネチャー・モデル
・Buddy Guy Signature Wah
シカゴ・ブルースの第一人者、ドット柄のStratocasterがトレード・マークのBuddy Guyのシグネイチャー・モデルです。
側面のスイッチを使う事でより深みのあるワウ・ワウ・モード、ウォームでファットなBG(Buddy Guyの略?)の2つの切替えが可能になっています。
リズミックに踏み込んでいく、というよりは、ポイントで使うとより表情のあるサウンドを生み出す事が出来ます。
・Eddie Van Halen Signature Wah
こちらはEddie Van Halenのシグネイチャー・モデルです。
エディが使用していたCrybabyはカスタマイズが施されており、ハイQでワイドなスイープと、カーヴが作られています。
それを忠実に再現したモデルになります。
ちなみにトゥルー・バイパスです。
・SW95 Slash Wah
Faselインダクタを内蔵したクラシック・タイプのワウに、ハイ・ゲイン・ディストーション・サーキットを加えたSlashのシグネイチャー・モデルになります。
また、ロッカートルクの調整も可能になっていて、エフェクターとしての汎用性も高くなっています。
重低音を得意としている印象があります。
・JH-1D
ワウ・ギタリスト、として真っ先に名前が挙がるのが、Jimi Hendrixです。
彼が愛したイタリアJenの1967年製ワウ・ペダルを再現した機種で、ブラック・イタリアン・クリンクル・フィニッシュの質感まで再現しています。
サウンドはワウ黎明期のクラシックでナチュラルなトーン変化が見られ、ヘンドリクスのファンキーさを目指せます。
・JB95 Joe Bonamassa Signature Crybaby
豊かな倍音とヴィンテージ・トーンが得られるHaloインダクタを採用しています。
Joe Bonamassaは、ブルースを周到したロック・ギタリストで、この機種は彼のGibson Les Paulとシステムにフィットするように製作されました。
現代的なエフェクトらしく、トゥルー・バイパスかバッファード・バイパスか選択可能になっています。
関連記事
▶︎AW-3 dynamic wahの評価レビューはこちら!