今回はTS-9DXをご紹介します。
TS9DXの評価レビュー。音作りやサウンドについて。
これはIBANEZのブランド名で発売されています。
日伸音波の製作したエフェクターですが、輸出用はIBANEZで流通していますが、国内はMAXONです。
SD-9などもIBANEZとMAXONがありますが中身は同じです。
このモデルはTS-9の音色の幅をプラスしたものです。
使用感はIbanez TS9とあまり変わらないですが、やや歪みが強いと思います。
従来のTS9をより使いやすくするために、中低音域を強化した「Turbo」、強い中音域をさらに強化した「Hot」、より歪みを加えた「Plus」という3モードを追加しました。
- TS-9に歪みを足した「+」
- 中音域をブーストさせる 「HOT」
- 中低音域を強力にブーストさせる 「TURBO」
という3つのモードが左下のツマミで選択できるようになっています。
歪み系のエフェクターのメインとして使われることは少ないかもしれません。メインとして使えなくはありませんがサウンドメイキングのレンジは広いとは言えません。なのになぜこれほど高い評価が得られているかというとブースターとしての優秀さにあると言えます。トランジスタアンプの使用でも太くメローなサウンドで、特にシングルコイルには相性抜群です。
高域と低域がカットされた音の特徴は、クリーミーな中音とよく表現されます。耳障りな高音域はカットされ、低音域もカットされるためバンドアンサンブルに支障をきたすこともありと言えます。ツインリバーブやJCの歪みが少ないアンプでの使用は向いていないです。もともとは小型アンプでの使用で設計されています。プリアンプ的な要素をもったペダルTSだけの歪みだと音像がはっきりしないサウンドになりがちです。
各モードによってブーストされる音域は変わってきますが、TURBOモードでは低音に特化したモードで、目立ってブーストされる感じがしました。Ibanez「TS10」よりもやや歪みが強く、低音と歪みが加えられるモデルのように思います。ブースターとして使用するならば、DRIVEを控えめにした方が良い結果がでると思います。HOTモードは中域に特化したモードで、丸いサウンドが特徴です。こもり気味な感じになるのでアンプのセッティングを調整したほうが良いと思います。このモード設定により幅広い音域に対応でき、上にするほど低音の歪みが増えていきます。
実際の回路図を見て、どういうふうになっているのかと見ようとしましたが、現行品のエフェクターは回路図が現在では見られないようになっていました。
(少し前までは見られましたが削除されたようです)
たしか、中音域や中低音域をプラスするモードはクリッピングにぶら下がるコンデンサーの容量を増やしたものだったと思います。
歪みを増やすのは、クリッピングのダイオードを足しているのでしょうか?
TS系オーバードライブ
さて、世界中のTS系オーバードライブは山のようにありますが、音の傾向はおなじですが、それぞれに特徴を持たせています。同じようなオーバードライブ系のエフェクターであっても用途が異なります。アンプだけではほとんど歪まないもので使用する場合や、ある程度の歪みは場合などが考えられます。TS系オーバードライブはさほどエッジが効いた歪みではないため、アンプで歪みを作っておいての使用が多いです。あまり歪みが強くなく抜けが悪いミドル寄りのサウンドになるためです。
大きく分けると
- 歪み方
- 高音、中音、低域の出方
が違います。
マッド・プロフェッサーのリトルグリーンワンダーはクリッピング素子をグリーンの3ミリLEDにしたもので、歪みの質が違います。
(ダイオードは色や大きさによって歪み方が変わります)
高音、中音、低音の出方については、回路の定数を変えれば変わりますので、チューニングして独特な方向に持っていきます。
そんな風にして同じTSペダルでも、チューニングをほどこし出来た音のイメージにあった名前を付けます。
このTS-9DXについては、歪みと中音と中低音域を変えることに焦点を絞っています。
各モードの特徴
「+」モードの歪みでは、よく歪むようになっています。
もともとTS-9は歪みというよりブースターとして活躍することが多かったのですが、これは歪みが増えていますので、TSらしくないという不満を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
「HOT」で中音域をプラスするのですが、もともと中域が持ち上がる傾向のあったTSペダルでさらに中域がプラスされると暑苦しくなってしまうような感じがします。
「TURBO」にすると中低音域がプラスされますが、もともとTSペダルにある低域がなくなる癖を補ってくれるかもしれませんから良いかもしれません。
それぞれのモードに、スイッチを切り替えたらドライブ、トーン、ボリュームもまた変更しなければならないので、セッティングを煮詰めるのに時間がかかってしまいます。
ストラトなどシングルコイルピックアップのギターには最適です。
ベースでの使用も相性が良く、原音のつぶれがなく抜けの良いサウンドでプレイできます。ロックだけではなく、ブルース、ジャズなど、さまざまな音楽シーンに対応できます。トランジスタアンプからでも太くメローなサウンドでプレイできます。
ですが、気に入らなかったらTS-9のモードにセッティングすれば良いです。
また、音の幅が広がったことにより、レスポールでも低音がひどく削れることがなくなっていますので、そこは大きな成果です。
関連記事
▶︎TS9 TS808の特徴やセッティングについてはこちら!