ダイナコンプの使い方(ブースターやかけっぱなし)やセッティング。

MXRはアメリカの老舗エフェクターブランドで設立は1972年です。それまでのエフェクターは現在のものとは比べ物にならないほど大きかったものをここまで小さくすることができたのが特徴というか功績です。

MXRが1970年代最初に出した3つのエフェクター、Phase90、Distortion+、Dynacomp。

どれも他と代えがたいトーンを持っている事が特徴ですね。

今回はその中のコンプレッサーであるDyna Comp(ダイナコンプ)をご紹介します。

ダイナコンプとは

ギター用コンプレッサーの草分け的存在

コンプレッサー自体は第二次大戦前から存在していましたが、ギター用コンプレッサーはおそらく、このダイナコンプDan ArmstrongのORANGE SQUEEZERが市販された最初のものではないと考えています。

ORANGE SQUEEZERはラリー・カールトンやリー・リトナーといった70年代のフュージョン系ギタリストに使用され有名になりました。

しかし、ギターのジャックに直接刺して使用するものだったので、オンオフも手でやらなくてはならず、何よりストラトキャスターのような船形ジャックには刺せないというもので、それもあり使う人はいなくなってしまいました。

そういった意味ではダイナコンプはギター用コンプレッサーの元祖と言っても差し支えないでしょう。

コンプレッサーは音を変化させるものではなく、大きな音を圧縮して全体を持ち上げ、音量差を少なくすることにより聴きやすくすることができます。大きな音を小さく、小さな音を大きくすることにより音圧を感じられます。ですがこのダイナコンプはそれだけではありません。

サウンドに特徴があります。オンにしたときのサスティーンの伸びに加え独特のアタック感が人気でした。言葉で表現すると パコンっ といった感じでとても抜けのいいサウンドです。国産のコンプレッサーにはない味がありました。

現在はいろいろなメーカーから、ダイナコンプより綺麗にコンプしてくれるギター用コンプレッサーが多数あります。

にもかかわらず、イナコンプが今でも使われる理由はその独特の音にあると思います

同じMXRのPHASE90がロータリースピーカーの効果を狙ったはずが独特のウネリを持ったように、ダイナコンプもまた、ただのコンプレッサーの音では無く、あの独特の「パコーン」とした音は他にはありません。

今回はそんなダイナコンプの使い方についてです。

ダイナコンプの使い方(ブースターやかけっぱなし)やセッティング。

基本的な操作方法

コントロールは2つ、OUTPUTとSENSIVITYです。

OUTPUTは音量調節、SENSIVITYがコンプのかかり具合を調節します。

SENSIVITYを上げるとサスティンは伸びますがノイズが増えていったり、ハウリングが起こりやすくなったりしますので、歪み等を使っている人は注意して下さい。

このダイナコンプはストラトキャスターのようなシングルコイルのピックアップとの相性がとてもいい事です。

特にカッティングでは効果的で、高音弦と低音弦のバランスが整った滑らかなサウンドです。

シングルコイル独特のアタック音を持ちながら、音を整え気持ちのいい音を出します。

下記動画では10:05付近からオフの音、続けてオンの音が聴けます。

よくファンク系のバッキングで聴けるような音になりますね!

通常のコンプレッサーであればハイが少なくなり丸い音になりますが、ダイナコンプはパーカッシブなアタックが出せるところが大きな特徴です。

最近はコンプレッサーを使わない人が増えているのですが、そうした中ダイナコンプが今でも売れている理由はこういった部分が大きいのかも知れません。

また、現行品であれば8,000円未満で入手できるところも魅力です。

大定番「ダイナコンプ」が、「CLEAN」、「TONE」コントロール、そして「ATTACK」スイッチを備えデラックスにブラッシュアップ。

CLEAN、TONE、コントロールにATTACKスイッチを備え、より細かなサウンドメイキングができるDELUXEもあります。

 

弦の音量さが気になるなら、かけっぱなしで使おう

ギターによって6弦から1弦までの音のばらつきが大きいケースがあります。

特に低価格帯のシングルコイルのピックアップを積んだギターに多いケースです。

そうしたギターに、このダイナコンプは大いに役に立ちます。

各弦の音量さを整えてくれる上に、アタックも損なわないコンプなので、常にかけっぱなしで使用できます。

通常のコンプだとアタックが埋もれやすくなりますが、ダイナコンプは前に書いた通り埋もれにくいのです。

ブースターとして使用する

ダイナコンプはOUTPUTを上げると独特の歪みっぽいサウンドを得る事が出来ます。

そこを利用して、ギターソロを伸びやかにするため、ブースターとして使用する事も可能です。

やり方ですが、ダイナコンプのOUTPUTを上げて歪み系のエフェクターの前に繋ぎます。

そしてソロを弾くときダイナコンプをオンにします。

OUTPUTを上げていけば音量も上がっていきますが、コンプレッサーをかけた状態で上がります。粒が揃ったロングサスティーンを得ることができます。歪み系とも相性が良く、分厚いサウンドに変化していきます。このときSENSIVITYを上げすぎるとノイズが増えてしまいますので注意が必要です。

あまり歪みが多いと音量が変わらなかったり、ノイズやハウリングが起こりますので、歪むの量に気を付けて下さい。

注意点

ダイナコンプに限らず全てのコンプレッサーを使用する際の注意点があります。

それは、コンプを使うと「上手くなった」ように聴こえます。

これはある程度ピッキングのアラを隠してくれるからです。

しかし、決してテクニックが向上したわけではありません。

ですので、日頃コンプを使わず練習をする事を忘れないようにしましょう。