Boss RE-20 Space Echoの評価レビュー。音作りやセッティング等。

今回はBoss RE-20 Space Echoを紹介します。

RE-20は、1974年に発売され半ば伝説にまでなっているテープ・エコー、Roland RE201 Space Echoを、Bossの最新技術であるCOSM(Composite Object Sound Modeling)によってモデリングしたエフェクターです。

本家の方は今で言うところの「ラック・タイプ」のエフェクターでしたが、当時は非常に効果で、アマチュアのギタリストが簡単に手を出せるものではありませんでした。

アナログ独特の温かみのあるサウンドは、高音域の自然な劣化による減衰が特徴でした。Rolandの技術力を世界へ発信した機種の1つと言えます。

Boss RE-20 Space Echoの評価レビュー。音作りやセッティング等。

音響効果のディレイをエフェクターとして活用するには、テープ・エコー、アナログ・ディレイ、デジタル・ディレイの3つの方法があります。

初めは一度テープに録音した音を複数の再生ヘッドで再生させたテープ・エコーから始まり、アナログ、デジタルと開発されてきました。

・テープ・エコーについて。

テープ・エコーは、オープン・リールのテープ・レコーダーに使われているテープを用いて、録音した音をすぐに再生する、といった方式でディレイ効果を作り出しています。

そのため、機械・装置そのものが大型になり、ライブなどで外へ持ち出すなどの持ち運びには、非常に苦労したそうです。

さらに、テープ・エコーは、メインテナンスやテープの確保など保守面も大掛かりですが、テープ・エコーにしか出せない独特のサウンドで、今も愛用しているミュージシャンは多いようです。

最近はその懐かしさや、テープによる劣化した音の具合を求めて、Maestro Echoplex EP-3やWatkins Copicatなど、半ばヴィンテージとも言えるエフェクターが高値で取引されています。

そして1974年、Roland RE201 Space Echoが発売されます。

見た目は、現在のラック式エフェクターのようにも見えますが、中を開けてみると仕組みと解説が分かるようになっています。

再生ヘッドが3つ、録音ヘッドが1つ、消去ヘッドが1つ設定されており、それを磁気テープが回り続けることで録音と再生を繰り返していく、というものです。

さらにSpring Reverb(3本のスプリングをZ型に連結したもの)が並列に搭載されていました。

Jeff Beckが来日した際には、全面を真っ黒に塗ったBoss OD-1 Overdrive(と思われる)とこのRE201でサウンドメイクを行なっていたようです。

Jeff Beckのギター・サウンドへの追求心は、非常に野心的なものですので、当時最新のエフェクトであるディレイを、自分の音に積極的に取り入れていったのだと思います。

・Boss RE-20 Space Echoについて。

Boss RE-20は、最新のDSP(Digital Signal Processor)チップとCOSMにより、RE201のデザイン、サウンド、インターフェイスなどの特性を、詳細にモデリングして再現することに成功しています。

筐体もRE201を意識した作りになっており、コントロール部分のパネルなどはそっくりです。

機能面から解説していくと、12種類のエコー・タイプがモデリングされており、多彩なエコー・サウンドが準備されています。RE201同様に、リヴァーブのみの使用も可能になっています。

RE201の特徴の1つでもあったスプリング・リヴァーブの独特な響きも、よく再現されています。

サウンドについては、アナログの持つ温かみ(高音域の自然な減衰)、独特の音の揺らぎとワウ・フラッターによるコーラス感(ナチュラルなモジュレーション)など、ヴィンテージ・サウンドが忠実に再現されています。

ディレイ・タイムは、オリジナルのRE201は最長でも500msほどでしたが、技術の進歩により約6,000msまでのロング・ディレイも可能になりました。

入力レベルが-20dBu、最大+4dBuとなっており、主に接続することになる楽器は、エレクトリック・ギター、シンセサイザーなどになるでしょう(Input Levelの中心で-20dBuになるようです)。

もちろん、Input/Output端子ともにステレオ対応になりました。

ここからはRE-20独自仕様になります。ペダル部分が2か所あり、左側がエフェクトのOn/Off、右側がタップ・ペダルです。ノーマル・モードで最長3秒、ロング・モードで最長6秒のテンポ設定が可能になっています(オリジナルは前述のとおり約500msです)。

このタップ・ペダルを踏み込み続けることで発振させる事が出来る「ツイスト効果」もあります。

「Intensity」ツマミを全開にしても同じ効果が得られるようです。

また、別売のエクスプレッションペダルを接続すれば、Repeat Rate、Intensity、Echo Level、Twist効果のうち1つにアサイン可能になり、リアルタイムでサウンド・メイクを行う切り替えが行えます。

操作方法

コントロール・パネルの左上から順に説明していきます。

  • Bass エコー・サウンドの低音域を調節します。
  • Treble エコー・サウンドの高音域を調節します。
  • Reverb Volume リヴァーブの音量を調節します。
  • Repeat Time エコーの間隔(ディレイ・タイム)を調節します。
  • Intensity フィードバックの回数(ディレイの量)を調節します。
  • Echo Volume エコーの音量を調節します。

Mode Selector部分は、リヴァーブとエコー(ディレイ)を組み合わせた12種類のエコー・タイプのモデリングの切り替えになります。

  • Repeat  エコーのみ、4つ
  • Reverb Echo  リヴァーブとエコーの組み合わせ、7つ
  • Reverb Only  リヴァーブのみ、1つ

最後に、一番右に位置している箇所です。

  • Input Volume  ギターなどの入力音のレベルの調節します。エフェクトのOn/Offに関わらず可能です。
  • Peak Level  入力音がピークの音量に達すると点灯します。過大にならないよう、楽器の音量を最大で入力した時に一瞬点灯するように、楽器とInput Volumeを調節しましょう。

また、右側のタップ・ペダルを操作することで、Delay Timeの入力やTwist効果、各種パラメータを、リアルタイムでコントロールすることが可能です。

ヴァーチャル・テープ・ディスプレイでは、テープ・エコーを想定しており、テープの走行を視覚的にイメージして、仮想テープのスピードが確認出来ます(実際のテープを使用したことがないと、イメージしづらいかもしれません)。

サウンド

Bossが誇るエフェクターの最新技術、COSMによって、アナログ独特のサウンドを忠実に再現することに成功しています。

アナログの持つ温かみ、速度の揺らぎ、磁気飽和によるコンプレッション感、ワウ・フラッターのモジュレーション効果、そしてツイスト・エフェクトもオリジナルを再現したものになっています。

ただし、オリジナルのRE-201のサウンドを知っていて、RE-20を使おうと思っている方は少ないのではないでしょうか。

オリジナルはすでに中古市場でしか手に入らず、メンテナンスされていたとしても経年劣化があると思います。

一方、RE-20は現代ならではの使い勝手の良さを有しつつ、レトロな音も忠実に再現されているので、ロカビリーなどの懐かしい音楽から、現代ロックのようなギター・サウンドにもマッチするエフェクターです。

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