Boss LMB-3 Bass Limiter Enhancerは、ベース専用のリミッター、エンハンサーです。
その名前の通り、リミッターとエンハンサーの2つの機能を持っています。
簡単にこれらの機能の説明をすると、リミッターは設定した以上の音量にしないように抑え、エンハンサーは音量を変えずに音抜けを良くしてくれる、つまり聴こえやすい音質に変えるというものになります。
前身は、Bossのベース用エフェクター史上最も売れたLM-2B Bass Limterです。
この機種の評判は非常に良かったのですが、Bossはさらにこの上位機種を検討して、1995年にベース用エフェクターを刷新し、LMB-3が製作されました。
今回はこのLMB-3について書いていきます。
LMB-3の基本機能
LMB-3のコントロール・ノブは、「Level」、「Enhance」、「Retio」、「Thshd」の4つで構成されています。
以下に各コントロール・ノブの用法を記載していきます。
- Level 音量の大小を調節します。
- Enhance 右に回すほど音抜けが良くなり、シャープなサウンドになります。Enhanceは超高音域を調節しています。
- Retio Thshdで設定したレベルを超えると作動して、超えた音の音量をどれだけ圧縮するかを設定します。
- Thshd リミッターが作動し始めるレベルの音量を設定します。この値を超えるとRetioが作動し始めます。
注意しなければならない点は、これはコンプレッサーではなくリミッターだという事です。
コンプレッサーは、小さい音を大きくもしますが、リミッターは大きい音を小さくするのみで、小さい音は変化させません。
そのため、音響の世界でのリミッターの用途は、大き過ぎたサウンドを小さくして(主に放送などで使われています)、ノイズ防止とされています。
下記は、BossのYoutubeチャンネルにアップロードされているLMB-3のデモ動画です。コンプレッサーではよく見かけるツマミです。
自然なサウンドで均整が取れ、聴きやすいサウンドになっています
リミッターだけでなくエンハンサー機能付き
LMB-3は、リミッター機能を持っているエフェクターに、エンハンサーの機能も追加したものです。
ベース用にしろ、ギター用にしろ、音響機器で使われるリミッターは、最大音量を超えないように音を抑えてピーク・カット出来るものの、音抜けが悪くなってしまう傾向がありました。
そのリミッターにエンハンサー機能を追加することで、音質を変化させて音を際立たせ、従来のリミッターの欠点を補うことを目的として製作されました。
リミッターは、積極的に音を加工して使うよりも音響的な使い方が主ですが、LMB-3を使うことで音抜けを改善したり、本来の音を変えて使うこともでき、使い勝手が非常に良いです。
また、このリミッター自体も音質影響が非常に少なく、エンハンサーと合わせて「音を作る」も可能で、プレーンのサウンドとの差は歴然です。
ベースアンプの調整用に
自宅にアンプを持っていない人は、通常スタジオやライブハウスにあるアンプを使っていると思います。
アンプを通してベースを弾いていれば、ベース・アンプは(ギター・アンプもそうですが)、機種によって音色は様々で、低域と高域の音量バランスに差が出てしまう事を経験していると思います。
そのようなアンプへの対処方法として、まずはコンプレッサーなどのダイナミクス系のエフェクトをかましてみる方法が考えられます。
コンプレッサーは、音色を加工してサウンドの質を高めるために使われますし、リミッターは、音量がピークを超えないようにします。
このような理論的な事を理解していれば、コンプレッサーで対処することも可能ですが、LMB-3を使うことで、音の粒を揃えて、かつサウンドをさらにシャープにしてくれます。
音が大きいと言われるベーシストに
スタジオでのアンサンブルのリハーサルなどで、自分では聴こえづらいと思っているのに、他のメンバーからすると「ベース音が大きい」と言われるケースがあります。
このような場合は、音量ではなく、音質が問題となっており、低域が出過ぎてしまっていることが多いです。
そこで、LMB-3のリミッターとエンハンス機能を同時に使うことで、音量と低域を保ったまま、他のパートの干渉を防ぐことができ、自分の音の確認も可能になるはずです。
最も、ベースは低域が強くモニタリングがしづらいため、ライブ等ではモニタリングに工夫をしましょう。
安価なベースの調整にも
安価な機種や、しっかりと作られていない機種などは、4弦だけが妙に大きかったり、低域が強く出過ぎてしまう、というケースがよくあります。
使うアンプや弾く場所などによっても感じ方が異なるため、楽器屋さんでベースを弾かせてもらっても分からず、購入した後で後悔してしまうこともあります。
このような問題も、LMB-3をかますことで、ある程度軽減することが出来ます。
もちろん、リミッターやイコライザー、コンプレッサーなどを用意すれば可能なのですが、このエフェクター1つで対応可能というのはありがたいでしょう。
出音が悪いベースは、当然ながらネックやフレット、ブリッジなどのパーツ調整を行ったり、ピックアップなどの電気系統の調整を行うなど、ベース本体のメインテナンスをしておくことも大事です。
総論
まず、コンプレッサーとリミッターの違いをしっかり把握しておいてください。
リミッターよりもコンプレッサーの方が、積極的な音色加工に使うものです。リミッターは過大になった音を抑えるのみなので、注意しましょう。
ストンプ・タイプのリミッターは、コンプレッサーに近い使い方が想定されて製作されています。
このLMB-3は、エンハンス機能も兼ね備えていますので、過大になる信号を抑えつつ、サウンドの芯をより前に出してくれます。
ノイズも少なくて、サウンドを綺麗に整えるのに最適なエフェクターです。
また、コンプレッサーは慣れないとハウリングを起こしやすい、操作感が難しいなどの点がありますが、リミッター機能を活かせるという点でも、初心者の方にもおすすめできます。