グレコギターは神田商会が展開するブランドです。
1970年代や1980年代は日本のエレキギター産業のトップのシェアを誇っていました。
エレキギターをOEM生産する富士弦楽器製造は、デッドポイントの出ないギターを作ることが出来た会社でした。
レスポールモデル
EGシリーズとしてレスポールモデルは生産されます。
当時の日本のトップギタリスト成毛滋氏をアドバイザーとして参加して開発されたものです。
低価格でありながら高品質でグレコを象徴するような機種でした。当時はトーカイのLSシリーズがレスポールのコピーモデルとして人気がありグレコと人気を二分しておりました。いずれも本家ギブソンの品質に迫るクオリティ、サウンドでギブンンのシェアを奪ってしまうような勢いがありました。
最初に発売されたEG-360は、神田商会が本家ギブソンのレスポールを入手することができなかったために、当時公表されていたスケール長を基準にして写真から各寸法を割り出したというものでした。
そのため、ボディの裏は塗りつぶしではなくサンバーストとなっており、成毛滋はこのギターはめずらしいといって喜んで使用したそうです。
成毛氏は人より手が小さく指も短かったようで、アメリカ人のサイズに合わせたギターは弾きづらかったため、グレコにできる限り薄いネックのレスポールモデルをオーダーしたところギブソンより音が良かったことに耳を疑ったようです。
グレコのギターを買うと成毛滋のロックギター入門のカセットテープがついてきて、みんなこのテープを聞いて練習しました。
日本のロックシーンで活躍する有名ギターリスト達も初めに購入したのは「グレコのギター」で「ロックギター入門のカセットテープで練習していた」と証言することも多くありました。
しかし、成毛滋の考えと違うギターが作られたこともあって、色々と問題があり、成毛滋の姿はグレコの広告からは消えます。
ですが、グレコのレスポールモデルは、本家よりずっと安く、性能面もなかなか優れたものでした。
ザ・クロマニヨンズの真島昌利氏、B’zの松本孝弘氏が初めて買ったエレキギターはグレコのレスポールモデルだったことは有名です。
「トーカイ」のLSモデルと人気を2分しながら完成度を高めていき、本家ギブソンの売上を脅かす存在にまでなりました。
1980年ごろには偽造品としてギブソンに訴えられ、現在では生産が中止となっています。
グレコのレスポールモデルのサウンド
グレコのレスポールモデルのネックはメイプルネックでした。
メイプルネックは強度があって、明るいサウンドになる傾向があります。
今でも中古市場で高値が付くモデルとして、スーパーリアルモデルがありますが、そちらの方はマホガニーネックとなっています。
ギブソンレスポールと比べずっと安価でありながら、サウンドは本家を上回ったといっても過言ではなく、非常に人気の高いシリーズになりました。
成毛滋がアドバイザーとして関わっていた時代にはボディが空洞となっているモデルがあります。
持つと分かるのですが、とても軽くなっています。
一方、くり抜いてないモデルはとても重いです。
結構肩にくる重みです。
そのせいもあって、音は良いけれど重いという評判があります。
レスポールモデルは本家と同じセットネックのタイプとデタッチャブル(ボルトオン)のタイプがあり、価格の違いが大きいようです。
レスポールモデルのピックアップや、電装関係を全部交換すると、本家と変わらないほどのクオリティーのあるサウンドに大化けします。
現在では当時のレスポールコピーモデルギターが「ジャパンヴィンテージ」として国内外の中古市場で高値で取引さてるものもあります。
ストラトモデルのサウンド
グレコのストラトキャスターモデルは、日本人にはロング・スケールは弾きづらいという成毛滋の考えが入っておりSE-500というモデルはミディアム・スケールになっています。
操作性と演奏性の向上のため、初めてギターを手にする人にも長年ギターを弾いている人にも満足できるものを目指しました。
他のモデルは、ロング・スケールになっています。
グレコのストラトキャスターは、フェンダージャパンができるまでは、大人気でした。
音の方も、定評がありピックアップを変えればフェンダーと変わらないほど優れた性能を有しています。
ストラトモデルも完成度の高いものが多いのですが、レスポールモデルほどの高値は付きにくいようです。
最近のモデルではボディ・フォルムやネック・グリップも見直し、ロングスケールに22フレットを採用、ナット幅40mmでスムースプレイできる薄めのネックに仕上がったWSシリーズがあります。当然ではありますが昔のようなストラトのコピーではありません。
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