サンズアンプはベースの必需品?セッティング例や音作り・使い方について。

現在、ベース用のプリアンプは各社から様々なものが発売されています。

その中でも多くのベーシストの支持を集めているのがサンズアンプです。

多くのベーシストの足元に置かれており、楽器屋でも大抵は用意されているので、見た事はあると思います。

今回はサンズアンプについて書いていこうと思います。

サンズアンプはベースの必需品?セッティング例や音作り・使い方について。

サンズアンプとは?

サンズアンプは、プリアンプとして最も有名な機種の1つです。

今回はベーシストにとってマスト・アイテムとも言うべき、SandsAmp Bass Driver DIについて紹介していきたいと思います。

ただ、サンズアンプと言えばプリアンプなのですが、同社のTech21の製品には、サンズアンプと名前の付く製品がたくさんあります。

Bass Driver DIはその中の1つです。

Tech21の製品には、数種類のプリアンプが用意されていますが、Bass Driver DIは、その個性が最も際立った機種だと言えます。

もちろん個人によっては好みは分かれると思いますが、そのサウンドについては質が高く、プロのミュージシャンからも大きな支持を得ています。

サンズアンプの二面性

ここまで、「サンズアンプ」だったり「Bass Driver DI」と混合に呼んでいましたが、ここからは一般的な認知度の高い「サンズアンプ」と呼ぶことにします。

実は、サンズアンプは、プリアンプであるのですが、歪みを調整する機能も有しているので、歪み系エフェクターとしても使うことが出来ます。

サンズアンプを使いこなしているベーシストは、この事を十分把握した上で、セッティングを行っています。

さらに言ってしまうと、歪み系エフェクターとして購入した方が良いくらいです。

そのサウンドは、一般的と言われるオーバードライブ、ディストーション、ファズのどれでもなく、しばしば「サンズの音」と表現されたりもします。

これは聴いてみるのが一番早いと思います。

主な使用用途

ここまで書いてきた通り、サンズアンプには使用用途が2つあります。

1つ目はプリアンプ機能。

2つ目は歪み系エフェクター機能。

もちろんそれぞれ独立して機能を求めるのも良いですし、どちらも合わせて使いたい場合も非常に有効です。

具体的にどのように使用するのか、以下で解説していきます。

プリアンプ

サンズアンプには、Bass、Mid、Treble、Presenceのイコライジング用ツマミが用意されています。

実は、Midは近年バージョン・アップされた機種に装備されたもので、それまではMidがありませんでした。

そのため、中音域については扱い難しかった印象があります。

Midが追加されたことにより、使い勝手が良くなって、よりプリアンプとして活用することが可能になりました。

Presenceは、Treble以上の超高音域をブースト/カットするツマミです。

これは音抜けを良くするための機能で、バンド・サウンドの中でどうも埋もれて感じる時は、このツマミを上げてみましょう。

個人的には、ピッキング・ニュアンスに金属音のようなパチっとした音が追加されたような印象を受けました。

Treble、Bassは、それぞれ高音域、低音域をコントロールするツマミになります。

また、サンズアンプは、そのままラインでの録音や、直接PAへ送って音を出すことも可能です。

歪みエフェクター

サンズアンプの最大の魅力は、何と言ってもその独特な歪みサウンドだと言えるでしょう。

その魅力的で個性的な歪みは、DriveとBlendの両ツマミを操作することでコントロール出来ます。

この時、両方のツマミ、と言う点がポイントです。

Blendを上げないと、Driveだけを上げたとしても、良い感じに歪んでくれません。

個人的には、初めにDriveを12時の方向に設定してから、必要に応じてBlendを徐々に上げていく、と言う方法で歪みを作っています。

ただし、Blendを上げ過ぎて、音の芯が薄まらないように注意して下さい。

サンズアンプ特有のきらびやかさを活かしつつ、派手でなくコシのある音をイメージしてサウンドメイクを行いましょう。

皆さんも、ぜひ自分に合った使い方を模索してみて下さい。

そもそもライン録りとは何か

ライン録りとは、ベースの音をアンプから直接出力せずに、ダイレクト・ボックス等のインターフェイスを経由して録音メディアへ録音する方法です。

一方で、アンプから実際に音を出して、それをマイクから録音する方法を「マイク録り」と言います。

録音方法は大別するとこの2つがあり、必要に応じて使い分けられています。

ベースでのレコーディングでは、多くの場合はライン録りで行われますが、マイク録りを使う場合や、その両方で行う場合もあります。

ベーシストにとって一番馴染み深い録音方法のライン録りについて解説していきます。

ライン録りのメリット

ライン録りの一番のメリットは、何と言っても手軽さ・早さです。

マイク録りの場合、キャビネット(ギターやベースであればアンプ・スピーカー)の前に立てるマイクの位置によって、録音される音の質が大きく変わってしまいます。

そのため、マイクの位置を決めるために多くの時間が費やされてしまいます。

さらに、そこまで苦労して決めたマイクの位置でも、温度や湿度、部屋の反響度など、様々外部要因で音が変わってしまうのです。

厳密には、同じ音はその時のその条件下でないと作れず、二度と同じ音は録れない、と言うことになります。

ライン録りの場合は、そのような影響は全く受けず、一度セッティングを記録しておけば、別の時に録音しても同じ音を録ることが出来ます。

逆にライン録りのデメリットは、マイク録りの時にのみ得られる「臨場感」「空気感」(具体的に言うとアンビエント・リヴァーブなど)が全くなく、何か味気ない感じになります。「ラインくささ」なんて言うこともあります。

サンズアンプは、このライン録りに対応するように設計されていて、録音機器としてもだいぶ重宝されてきた経緯があります。

このアンプ・シミュレーター機能は、他のメーカーや機種、専門機器の性能も上がっているので、上手く活用できれば、そのデメリットも解消できると思います。

ライン録りの音作り

ライン録りの方法はいくつかありますが、SandsAmpのようなプリアンプをかまして録音するか、パソコンなどに接続してアンプ・シミュレーターを使って録音する、この2つの方法が主流です。

ライン録りで最初に気になるのは、おそらく妙に大きく感じるアタック音(それも最初の音)ではないでしょうか。

そのような場合はコンプレッサーやリミッターを多少大袈裟に設定して、大きすぎるアタック音を調節するようにして下さい。

また、コンプレッサーをかけた後は、最も大きい音声信号が、録音レベルの最大値に近くなるように録音レベルを上げて下さい。

なるべく大きな音で録音した方が、音の情報量が多くなるため、より良い音になります(その分データ容量も多くなります)。

また、パソコン用アプリにあるアンプ・シミュレーターを使用する場合、現実にライブやスタジオ等で使っているエフェクター を使うよりも、DAWソフトやプラグインのエフェクター を使った方が、音が馴染む場合もあります。

何か特殊な効果があるペダル・エフェクターを使う、などと言った場合以外は、そのDAWソフト内にあるエフェクターで、現在の自分のエフェクター・ボードと同様のセッティングをして下さい。

ただ、それでも、どうしてもリアルな空気感が足りない、と感じる場合には、スタジオ等でマイク録りした音に、ライン録りの音をミックスしてみて下さい。

もしくは、Line6 Pod等のアンプ・シミュレーターを活用する方法もあります。

出始めは非常に高額だったPodシリーズですが、現在では中古市場で探すとかなり安く手に入ると思います。

Line6ではギター用だけでなく、ベース用にも特化したPodシリーズを製作しているので、ぜひチェックしてみて下さい。

ベースのオススメの録音機材や録音方法。

最後に、ベースを録音する時のオススメの機材や、録音方法等についてです。

PCがある場合と、PCがない場合によって違いがありますが、基本的な考え方は同じです。

PCがある場合

PCがある(Windows、Mac)場合は、当然録音媒体としてPCを使った方が良いです。

録音だけでなく、その後の編集、ミックス、マスタリングまでの一連の作業が、そのままPCで可能だからです。

PCを使って楽曲制作をする場合は、DAW(Digital Audio Workstation、レコーディングようソフト)とオーディオ・インターフェイスが最低限必要になります。

・DAW(レコーディング用ソフト)

ハイクオリティのレコーダー、ミキサー、エフェクト、そして音声編集機能が全て入っているのがDAWソフトで、オール・イン・ワンと呼ばれています。

Windows、Macどちらも使えるオススメのDAWソフトは、CubaseやStudio One 3といったものがあります。

Cubaseは約6万、Studio One 3は約4万くらいです。

また、Cakewalk(Windowsのみ)やStudio One 3 PrimeといったフリーのDAWソフトもあります。

こちらは、iPhoneやiPadにもアプリがあり、それらを連動する事が可能です。

これはMacのLogicとGarageBandも同様の関係にあります。

DAWソフトを購入する際の最低限の注意点は、OSや動作環境、システム要件です。せっかく高いお金を出したのに、自分のPCスペックでは使えない、という事にならないようにしましょう。

・オーディオ・インターフェイス

オーディオ・インターフェイスとは、電子楽器とPCを繋ぐものです。

もちろんPCにライン接続して録音出来ないこともないのですが、音質などを考えると、やはりオーディオ・インターフェイスは準備した方が良いでしょう。

こちらも購入する場合は、OSや動作環境、システム要件は必ず確認するようにして下さい。

チェック点はインプット端子とアウトプット端子がいくつあるか、それぞれどのようなものに対応しているか、です。

オススメのものは、モニターが可能なオーディオ・インターフェイスです。

5,000円を切るBehringerのUMC22や、1万円台で購入可能なFocusriteのScarlette Solo G2あたりは、エントリー・モデルとしても十分だと思います。

iPadもしくはiPhoneがある場合

PCが無くてもiPad、iPhoneがあれば録音は出来ます。

・DAW(レコーディング用ソフト)

iPad、iPhoneの場合は、やはりAppleのアプリGarageBandとオーディオ・インターフェイスを組み合わせたものが一番早いと思います。

Line6のSonic Portを接続することで、マイク兼用のオーディオ・インターフェイスになり、実質携帯で音楽制作が可能になります。

GarageBandは先に書いた通り、Macとの連動が可能です。

今はPCがなくても、将来Macを購入すれば、iPad、iPhoneで録音したデータはそのまま使うことが出来ます。

・オーディオ・インターフェイス

iPad、iPhoneに使うオーディオ・インターフェイスはIK Multimedia が早い時期から出しており、なおかつ価格は押さえめなものも多いのでそちらのものを使うといいと思います。

個人的にオススメなのはそのIK Multimedia iRig 2です。

機能自体は非常に簡単で、ベースを繋げてヘッドフォン付けるだけで何もありませんが、かなり手早く録音が出来ます。

インターフェイス自体も小さく5,000円を切る価格で、かなりコストパフォーマンスは高いです。

最初はこれだけで十分だと思います。

もし歌なども録音したい場合は上位機種のiRig Pro Duoがオススメです。

Androidがある場合

Androidの場合も、PCやiPhoneと同じく、やはりアプリとオーディオ・インターフェイスが必要です。

・DAW(レコーディング用ソフト)

Androidの場合は、使えそうな無料のDAWアプリは、個人的にはありません。

有料の場合であれば、FL Studio Mobileがかなりオススメです。

1920円(2019年12月現在)はしますが、ここで作ったデータはPC版のFL Studioでも使うことが出来ます。

また、機能面でもオススメ出来ます。

・オーディオ・インターフェイス

IK Multimediaから発売されている、Android用オーディオ・インターフェイス「iRig UA」がオススメです。

普通に楽器屋さんに置いている商品なので、目にしたことのある方も多いと思います。

iRig UAは、PC用のオーディオ・インターフェイスとしても十分使える優れものです。

話はそれますが、オーディオ・インターフェイスはスペックが十分であれば、PCでも携帯でも使えます。

PCもスマホもない場合

PCもスマホもない場合は、MTRによる録音方法があります。

元々PCもスマホもない時代は、MTR(しかも録音媒体はカセットテープ)による録音が主流でした。

しかも、MTR出始めの頃は4トラックしかなく、それもアマチュアではとても手のでない高額だったのです。

現代ではデジタルMTRが一般的で、価格も非常に安くなっています。

オススメのMTRは、老舗メーカーであるTascamから発売されているDP-006です。

約2万円くらいですが、この1機のみで楽曲のレコーディングが可能になります。

さらに言えば、MTRは直接ケーブルを差し込んで録音することが可能なので、オーディオ・インターフェイスが不要、ミキシングも直に行う事が出来るという利点もあります。

大昔の話

MTRが本格的にレコーディングに使われたのは、1967年にThe Beatlesが発表したロックの金字塔と言われる「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」でした。

4トラックしかないにもかかわらず、多重録音を重ねて、原音が分からなくなるくらいに音が加工されたそうです。

それでも1970年代は、まだMTRは一般化されていませんでした。

この時代は、ラジカセ2台を使用して多重録音を行なっていたそうです。

最初にリズムを録音し、それを再生しながら楽器を演奏して、もう片方のラジカセで録音を行う、これを何度も繰り返していました。

当然音質は劣化しまくってしまうので、デモの制作で使われていた手法です。

一応この時代にもMTRはありましたが、オープンリールのテープで、当時それらの機材費だけで20万円以上もしたらしく、アマチュアにはとても手が出せるものではなかったそうです。

余談ですが、このオープンリールのテープ・レコーダーでレコーディングをしたことがあるのですが、その録音媒体よりも温かみがあって深い音になり、アナログの良さを実感させられました。

ただし、当然、後からいくらでも編集する、と言う訳にはいかないので、デジタルとアナログは一長一短だと思います。

昔の方が、やり直しが効かない分、演奏技術も高めなければならなかったかもしれません。

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