ジャズ・ギターのアンプとエフェクターのおすすめとセッティングについて

ギタリストであれば1度は(?)憧れるジャズ・ギター。

ジャズのような音、フレーズ、リズム、そしてビッグ・バンドとのセッションなど、自分のギターで演奏出来たら爽快でしょう。

今回は、ジャズ・ギターを弾く場合、ギターやアンプのセッティングをはじめ、色々な角度で書いていきたいと思います。

ジャズ・ギターのアンプのおすすめとセッティングについて。

ここでの「ジャズ」の定義

本題に入る前に、この記事での注意点を書いておきます。

これから書いていくこの記事で使っている「ジャズ」という言葉の定義は、トラディショナル・ジャズ、1950年代くらいの、いわゆる広義の「モダン・ジャズ」を指すこととします。

誤解を恐れず、かなり簡単にいうと、一般の人が「ジャズ」と聞いて思い浮かべる音楽形態です。

1960年代以降のクロスオーバーやフリーキーな音楽、果てはロックや現代音楽と融合してしまったような「ジャズ」ではありません。

ジャズの音を出すのに適したアンプ

エレクトリック・ギターによるジャズの演奏は、ロックより古く、早い時期で1940年代には試みられていました。

当時の技術力で、もともと弱いギターの信号を、どうやって増幅させるかを試行錯誤していたようです。

また、ノイズの問題も常に抱えていました。

多くのギタリストや技術者などの努力により、アンプとギターを用いてジャズを演奏する、ということが定着していきます。

以下、ジャズ・ギターの音色に向いたアンプを紹介します。

どんなアンプがいいのか

ジャズ系のサウンドを出すのに適しているギター・アンプは、簡単に言ってしまうと、「温かみのある」「クリーン」な音が出せるアンプです。

基本設計の時点で歪ませて使うマーシャル系は使いにくく、音量もそこまで大きい必要はないため、出力の大きさもロックほど必要はありません。

トランジスタ・アンプでも問題はないのですが、真空管の方がより暖かい音を出しやすいでしょう。

上記の条件を踏まえて、具体的なアンプを3つほど以下で紹介していきます。

・Fender Twin Reverb

Fender Twin Revebは、ギターを弾かない人でも知っている、言わずと知れた超有名アンプです。

ジャンルを問わず、幅広く使えるという点でも、これだけ普及したのでしょう。

どちらかと言えば、シングルコイルのギターと相性が良いように感じます。

元々Fenerはアンプ・メーカーでしたので、その暖かみを残しつつクリアなサウンドが、ジャズに適していると思います。

特に60年代初期のものはヴィンテージで、品質が高いと言われています。

・Polytone Mini Brute 2

1968年に設立されたPolytoneというメーカーのアンプです。

このアンプは、ロックにはあまり馴染みがないかもしれませんが、ジャズ・ギタリストの間ではよく知られた機種です。

Joe Pass、Jim Hallといった、早々たる有名ジャズ・ギタリストが使用していたアンプで、Gibsonのフル・アコースティック、アーチトップを接続するだけで、瞬時にそれっぽい音が出せます。

ジャズ・ギタリストを目指すのであれば、このアンプは必須ですね。

ところが、このPolytoneは、既に倒産しているようですので、このメーカーのアンプを入手したい場合は、中古市場をあたるしかありません。

・Roland JC-120

日本のギタリストならば、こちらも知らない人はいない、と言える定番中の定番アンプです。

JCとは、「Jazz Chorus」の略(と言われています)というだけあって、Rolandはジャズ・サウンドを狙って製作したそうですが、使用したのはジャズにギタリストよりも、80年代のニューウェイヴ系アーティストでした。

JCは真空管ではなくトランジスタ・アンプですし、音らトレブリーでクリアですので、低域が効いたモコっとした厚みのある音は、あまり得意ではないようです。

JCでジャズっぽい音を作るのであれば、ソリッド・ギターよりも、フル・アコを使って高音域を絞り、中音域でキャラクターを決めていく、という使い方でそれなりの音が出せると思います。

このアンプは強度が高く、日本中のスタジオやライブハウスには、必ずと言って良いほど置いています(JC-160の場合もありますが)。

流石は日本のメーカーと言ったところでしょうか。

また機種の個体差もほとんどないので、音作りのセッティングを控えておけば、行った先のアンプですぐその音を作れるのも魅力の一つです。

セッティング

それでは、具体的なアンプのセッティングについて解説していきます。

一般的な例ですので、実際に使用するギターやアンプの機種の特徴を踏まえて微調整してください。

まず、アンプの前にギターのセッティングですが、基本的にフロント・ピックアップのみを使用します。

アンプのセッティングでは、最初にギターのヴォリュームを最大にした時に若干歪む、という位置にアンプの音量とゲインを設定しておきます。リード・トーンでヴォリュームを上げた場合に、若干音を太くすることで、より存在感を出すためです。

3バンドについては、いったん全てのトーン・ノブを10にして、そこから不要な音を削っていく、という基本的な用法に沿って、音を作っていきましょう。

特に低音域の調節はポイントになります。太さのあるサウンドを意識して大きくし過ぎると、演奏の中でこもって聴こえてしまいます。

ジャズ・ギター独特のモコッとした太くて丸みのあるサウンドは、アンプよりもむしろギター側のトーン・コントロールが重要になります。

アンプのみで低音域を強調してしまうと、他の楽器と干渉してしまったり、プレーン弦(1~3弦)を弾くと音が極端に薄くなってしまいます。

音の太さが足りないと感じる場合には、全体の音量を上げてゲインを微調整し、アンプの低音域をゆっくりと絞っていってみてください。

もし、アンプにリヴァーブ・エフェクトが装備されている場合には、薄くリヴァーブをかけるとさらに雰囲気を出すことができます。

アンプとギターの組み合わせによって、かなり違いが出てきます。

色々と試してみて、自分だけのジャズ・ギター・サウンドを見つけてみてください。

ジャズ・ギターのエフェクターのおすすめ。

いわゆるトラディショナルなジャズを演奏する場合、前述したとおり、アンプとギターの組み合わせで音色を決めている、というイメージがあります。

実際往年のジャズ・ギタリスト達が活躍していた時代には、現代のように豊富なエフェクターはありませんでした。

しかし、現代では、ジャズ・ギターと言ってもアンプ直というのはあまりなく、より詳細に音色を設定するために、エフェクター処理を行うのが通常です。

ロックのような大胆な使い方ではなく、ギターとアンプによるサウンド・メイクにプラス・アルファを加える、という感じでしょうか。

ここでは、そんなトラディショナルなジャズ・ギターに合う、おすすめのエフェクターを紹介します。

Xotic/EP Booster


テープ・エコーと言われる、テープを利用してディレイ効果を得る、Echoplexというエフェクター をご存知でしょうか。

世界的に有名なギタリスト、Jimmy PageやEddie Van Halenなどが使用していました。

このEchoplexにはテープ・エコー効果だけでなく、プリアンプ的な機能も有しており、エコーは使わなくても、この機種を通すだけで音が太くなると言われていました。

前置きが長くなりましたが、そのEchoplexのプリアンプ機能のみをシミュレートして作られたのが、このXotic EP Boosterです。

このエフェクターは現代的なハイファイさはなく、クリーンな音に厚みを持たせ、太くコシのある音に仕上げてくれます。

もちろん、このエフェクター以外にも音を大きくするブースターはありますが、高音域に特徴があったり、歪みが加わったりと、機種によって様々です。

EP Boosterのシンプルかつ厚みのあるサウンドは、ジャズ・ギターにマッチしやすいと思います。

また、この筐体の大きさで電池が使えるのも嬉しい点です。

Strymon/blueSky Reverb

ジャズ・ギターは、軽めのリヴァーブをかけると良い雰囲気が出せますが、使用するアンプにリヴァーブが必ず装備されているとは限りませんので、リヴァーブは持っていた方が良いです。

ただし、アンプ内蔵のリヴァーブ、スプリング・リヴァーブなどはあまりマッチしないように感じます。

このようなタイプのリヴァーブは、ロカビリーやサーフ系の方が向いていると思います。

足元に置けるタイプのエフェクターとしておすすめしたいのが、このStrymon blueSky Reverbです。

このエフェクターは、小沼ようすけ氏も使用されており、かなり評価の高いリヴァーブです。

Shimmer機能など現代的なリヴァーブも得意ですが、クラシックなスプリング・リヴァーブも作ることができ、非常に美しい響きが得られます。

原音を干渉することなく、非常にナチュラルな残響音を残すことができるので、ギター本来の音を損なうことなくリヴァーブをかけることが出来ます。

Boss/DM-2W

ジャズ・ギターに使う空間系エフェクターとして、リヴァーブではなくディレイを使うことで、また違った雰囲気を作ることができます。

ジャズ・ギターではアナログ・ディレイが非常にマッチしますが、往年の機種を探すとなると、良いコンディションの物が少なく、またあったとしても高価で、入手困難です。

そこでおすすめしたのが、Bossの「技Waza Craft」シリーズから出されているDM-2Wです。

フル・アナログ回路により、オリジナルのDM-2の暖かみのあるディレイ・サウンドを忠実に再現しています。

アナログが醸し出す、ローファイでマイルドなディレイは、ジャズ・ギターに非常に適していると思います。

このようなオールドなサウンドを新製品として手軽に入手出来るのは、とても良い時代になったものですね。

electro-harmonix/Nano POG

ブースターやリヴァーブ、場合によってはディレイも常時かけっぱなしで使います。

ここでは、ソロやリード・パートなどのポイントで、オクターヴァーを使用してコーラス的な演出をかけるのも良いと思います。

オクターヴァー・エフェクターでおすすめしたいのが、electro-harmonix Nano POGです。

オクターヴァーは、質が高くしっかりと作られたものでないと、和音や高音部のレスポンスが悪かったりしますが、Nano POGはかなり追従性の高いエフェクターですので、安心して使用可能です。

ジャズ・ギターは難しい?ロックやポップスとの違い。

ここでは、ジャズ・ギターと、ロックやポップスとの違いや、ジャズ・ギターの特徴の一つと言える、アドリヴの練習方法についてお届けします。

ジャズという音楽は、現在の大衆音楽の大きな基盤になっています。

楽器の編成、コードやスケールの理論、そして即興性やライブ感など、多くの面でジャズの影響を受けています。

それにもかかわらず、ジャズの演奏を見たり聴いたりする機会は、ロックやポップスについて非常に少ないのではないでしょうか。

例えばライブハウスでジャズを演奏しているバンドは、ロックやポップスに比べてかなり少ないと思います。

そしてジャズを演奏するバンドは、高い技術力を持っている、という先入観も働いてしまいます。

ジャズの難しさ① リズム

ジャズで最も基本となるリズムは4ビート、スィングと言われるものです。

4ビートとは、それぞれの拍のアタマで単純な4つ打ちを行えば良い、というものではなく、それだけでは全くジャズっぽくは聴こえません。

ポイントはスィング感、ロックでいうシャッフル・リズム、技術的には3連符の間を抜いた拍を刻んでいきます。

特徴的な「裏ノリ」は個々のミュージシャンによってかなり違いが出てくるもので、これが個性になる、というのがジャズ・ミュージシャンの世界なのです。

最も良い練習方法は、ジャズ・セッションに参加して、上手な人(ギタリストに限らず)と一緒に演奏して覚えることです。

そして、様々なジャズの楽曲を聴いて耳を鍛える、自分なりのリズムをしっかり掴んでおくことが大事です。

ジャズのグルーヴ感を身体に染みつかせることで、それをギターで表現していく、それがジャズを演奏していくことに繋がります。

ジャズの難しさ② ダイナミクスレンジ

ジャズは、電子楽器も導入されていると言っても、非常に繊細な小さな音から、爆音に近いような大きな音まで使われます。

ロックは楽曲中で常に大きな音が続いていきますが、ジャズは、クラシックのようにダイナミクスレンジの広さも音楽の表現方法として演出されます。

そのため、ギターで小さい音から大きい音まで出せる「技術」が必要になってきます。

通常のポップスの楽曲でギターを弾いていると、そのダイナミクスを意識して弾く機会はほとんどないと思います。

エレクトリック・ギターは、音のダイナミクスをコントロールする技術がなくても、ギター本体やアンプでヴォリュームを調節することができます。

また、コンプレッサーやリミッターというエフェクター を使えば、さらに制御することも可能です。

このダイナミクスを出す技術を身につければ、ジャズに限らず、ロックやポップスの演奏を行う場合にも活用できます。

ジャズの難しさ③ アドリブの難しさ

ロックやポップスは、その楽曲のキーが分かれば、そのキーをトニックとしたペンタトニック一発でアドリヴ対応が可能です(その分、よほどのアイディアがないと単純なアドリヴになってしまいますが)。

ジャズの場合、ペンタ一発ではそれっぽいフレーズにはならず、コード・スケール、それにテンション・ノートを加える、そして時にはスケールから外れたノートも入れたりと、理論的な理解とその技術が必要になってきます。

また、最近のロックでは、このようなジャズの理論を取り入れた楽曲や演奏も多く見られます。

しかし、ポップスやヘヴィメタルのように、音楽的知識がなくてもある程度やれてしまう音楽ばかり触れてきた人には、基礎的な音楽理論に立ち戻らなければなりません。

でもジャズはある意味簡単なところも多い

ここまで「ジャズは理論を知らないと難しい」と書いてきましたが、実際にはそこまで深く考えなくても良いかもしれません。

そもそも、ジャズという音楽は、理論と感情の二面性を有した音楽と言えます。

大雑把に言ってしまうと、黒人音楽の感情性・即興性の音楽に、白人の音楽理論が融合したものですので、個人的には音楽に必要なこの二つの側面のバランスが大事だと思います。

また、ジャズには、トラディショナルなスタンダード楽曲というのがあります。

基本的な楽曲を一通り覚えておけば、セッションに参加することは可能でしょう。

トラディショナルな楽曲は、構成自体は意外と単純ですので(名曲は単純なものが多いです)、理論を見に付けたらそれに基づいて、自分なりの解釈やアドリヴを加えていきます。

そしてまたセッションに出かける、これを繰り返していると、ここに書いてきたことはむしろ勝手に身についてきます。理論的な勉強は、後からの確認作業にもなるでしょう

ここまで書いたことは、ジャズだけでなく、ロックの上達の近道でもあります。

ジャズ・ギターのアドリブの練習方法について。

ジャズ・ギターと言えば、やはりインプロヴィゼーション、アドリヴ・プレイが魅力ですが、どうやって始めて良いのか分からないと思います。

確かにペンタトニックやブルー・ノートであれば理解は簡単ですし、これらを使ったフレーズでも、構成の仕方によってはジャジーに聴かせることも出来るでしょう。

良く基本的なスケール理論を把握しないといけない、というのは理論書を読むと書いてありますが、実際演奏中にパッとプレイが出て来なければいけません。

それでは、どうすればインプロヴィゼーションが自在に出来るようになるかを考えていきたいと思います。

まずは音を聴く

さて、1950年代は、ジャズにとって黄金時代と言われ、多くのジャズ・ギタリストが活躍した時代でもありました。

まずはたくさんのCDを聴いてみて、自分にとってカッコ良い、こんなプレイをしてみたい、と思えるギタリストを見つけましょう。もしくはYoutubeなどで実際にプレイスタイルを見るのも良いです。

要はそのギタリストの弾き方から音使い、音色など、全ての面でイメージ出来るようにしましょう。

好きなギタリストを真似ることから始めていき、徐々に自分らしさを出せるようにするためのスタート地点になります。

理論書やテキストばかりで実際の音を聴きながら練習しないと、単に頭でっかちなだけのギタリストに陥りがちです。

ジャズ系ギタリストには多いケースですので注意してください。

好きなギタリストのイメージは、多ければ多いほど良いと思います。

コードに乗せてメロディを弾く

まずは、いくつか自分のストックとしたジャズ・スタンダードの楽曲のバッキングに合わせてギターを弾いてください。

バッキングはネット上にあるものでも、準備したジャズCDでも、自分で打ち込んだバッキングでも構いません。

弾くフレーズは、例えば好きなジャズ・ギタリストが弾きそうなフレーズだったり、自分で用意しているメロディなど、とりあえず当てはめるように弾いてみましょう。

そしてバッキングと一体感のあるフレーズが弾けるようになったら、そのメロディの音とコードとの関係性や響きなどをノートに書き出して分析してみましょう。

理論と演奏を頭の中で連結させていくことが大事です。

上記の曲でいろいろなパターンを試す

次は、同じジャズ・スタンダードの楽曲のバッキングに合わせて、全く別のフレーズを弾いてみてください。

ガラっと異なるフレーズを弾くとなると、なかなかイメージしづらいと思いますが、以下のようにいくつかの方法があります。

  1. 自分の好きなギタリストが弾いている、そのスタンダードの楽曲のプレイをコピーしてみる方法
  2. 自分の中でメロディを考えて、その音を拾って弾く方法
  3. コードの構成音+経過音で、とりあえず弾く方法

①は、ある意味で耳コピの練習にもなります。耳コピの練習は、音程感覚(聴いた2つの音が何度離れているか)を身につけるのにも有効です。

②は、自分の頭の中でフレーズを組み立てる能力、そしてそれをギターに当てはめていく能力が鍛えられます。しかし、クールでカッコ良いフレーズが出てくるかは、まさに「センス」でしょう。

多くのギタリストを聴き込む、音楽以外からもインスピレーションを得るなど、感性が大事です。

③は、理論面からのアプローチになります。

各種コードの構成音をしっかり把握しておくことが必要ですし、さらにテンション・ノートやアヴォイド・ノートへの理解も必要になります。

しかし、漫然とプレイしがちになってしまいますので、そのフレーズに意味を持たせられるか、やはり感性が大事です。

スタンダード以外の曲も弾いてみる

ここまでの内容を、ある程度弾けるようになってきたら、次は色々な楽曲でメロディのコピーやプレイ・スタイルのコピー、あるいは自分で考えたフレーズを弾いてみましょう。

どの楽曲を弾く場合でも、最低限その曲のキー、コードなどは把握しておくようにします。

この練習を繰り返していれば、そろそろ実践に入ります。

ジャズ・セッションをやっているお店へ出向いて、出演者とアドリヴ・プレイをしてみてください。いわゆる「Sit In」と呼ばれるものですね。

海外では一般的なようですが、いきなりこのような「飛び入り参加」は怖い…、という方は、仲間内やSNSなどで、自分と同じくらいのレベルの方を募ってセッションを楽しんでも良いかもしれません。

初めはなかなか上手くいかず、緊張感のみが漂ったまま終わる、などという結果になるかもしれませんが、何度も何度もチャレンジしてみましょう。

その際はICレコーダー、手軽にスマホでも構いませんので、自分の演奏を録音してください。

後でそれを聴き直してみることで、自分の弱点、偶然弾いたようなストック・ネタ、その時は自分の演奏に気が行って気がつかなかった他人のプレイなど、多くの材料が残されています。

これらを丁寧に確認していくことが、アドリヴ上達の道と言えます。

そして、そのセッションの場に、自分が「カッコ良い」と思うプレイヤーがいたら目と耳で盗む以外にも、一緒にプレイしてもらい、さらに「自分はこのようなプレイをしたい」「あなたのこのようなプレイはどうしているのか」など、質問をしてみましょう。

もちろん、自分と同じギタリストに限らず、ベーシストやドラマーなどに話を聴いたり、良いプレイをギターに置き換えて参考にすることも非常に有効です。

何よりも生の人間の奏でる、瞬間の音に触れられるジャム・セッションは、上達への最も近い道だと言えます。

ジャズ・ギターのコードトーン、押さえ方やフォームについて。

ジャズでは、四和音以上のコードがよく使われています。

ギターでそれらのコードを弾こうとすると、音数から考えても当然普通にヴォイシングすることは難しく、工夫が必要になってきます。

以下でその代表的なヴォイシングを紹介していきますが、もちろんここで紹介する以外のヴォイシングもあります。

自分のしやすいヴォイシングで全く構いません。

むしろ、コード構成を把握して、自分なりのヴォイシングを作ってみましょう。

ジャズ・コードの押さえ方とフォーム

・C7(9)

  • 5弦3フレット C
  • 4弦2フレット E
  • 3弦3フレット A
  • 2弦3フレット D

そして6弦と1弦をミュートします。

この場合、5弦がルート音になっており、2弦3フレットが9th、テンション・ノートになります。

D7(9)を弾く場合は、ヴォイシングを2フレット分ブリッジ側へ移動させます。

・Cm7

  • 5弦3フレット C
  • 4弦1フレット D#
  • 3弦3フレット A#
  • 2弦4フレット D#

そして6弦と1弦はミュートします。

この場合、5弦がルートになっています。

もしくは、

  • 6弦8フレット C
  • 5弦10フレット G
  • 4弦10フレット C
  • 3弦8フレット D#
  • 2弦8フレット G
  • 1弦8フレット C

このヴォイシングの場合のルート音は、6弦です。

・Cm7(9)

  • 5弦3フレット C
  • 4弦1フレット D#
  • 3弦3フレット A#
  • 2弦3フレット D

そして、6弦と1弦はミュートします。

このヴォイシングの場合のルートは、5弦になります。

C7(9)、Cm7(9)は、4弦の位置でメジャー・コードかマイナー・コードかが決まりますが、あえて4弦をミュートして、調性感のない響きを作っても面白いです。

・Cm7(11)

  • 6弦8フレット C
  • 4弦8フレット A#
  • 3弦7フレット D
  • 2弦6フレット F

そして、5弦、1弦はミュートします。

このヴォイシングの場合のルート音は、6弦です。もし押弦が厳しいようであれば、6弦も省略(ミュート)してしまって構いません。

・C7(♭13)

  • 6弦8フレット C
  • 4弦8フレット A#
  • 3弦9フレット E
  • 2弦9フレット G#

そして、5弦、1弦はミュートします。

このヴォイシングの場合のルート音は、6弦です。

・C7(13)

  • 6弦8フレット C
  • 4弦8フレット A#
  • 3弦9フレット E
  • 2弦10フレット A

そして、5弦、1弦はミュートします

このヴォイシングの場合のルート音は、6弦です。

コードがうまく押さえられない場合

コード構成音をダイアグラムにして視覚化してください。

構成音が多いので、押弦しなければならないポジションも必然的に多くなっています。

このような場合、ギター1本で鳴らそうとはせず、ベースやピアノの存在も考えて、押弦するポジションは3音内に収まり、リズムへ意識を向けることが出来ます。

ベースには低音部(主にルート音)、ピアノは中~高音部を担当することになるでしょう。

特にピアノとの絡み方は、それぞれのプレイヤーの見せ所になります。

ギターをメインに聴かせたいのか、ギターは完全にリズムに徹して、ピアノが音程感を出すのかなど、総合的に検討してみましょう。

どうしても自分の担当パートのみに気が行きがちですが、アンサンブル全体でアレンジを考えていくことが大事です。