作曲の方法は、作曲者によって千差万別です。
鼻歌から始める方もいれば、楽器を演奏しながら、もしくは譜面のみで、と様々です。
ロック・ギタリストの場合は、弾き語りよりも、適当にリズムを流しながら弾いていき、カッコいいと思えるリフを中心にした楽曲を作る、という方が多いと思います。
今回は、ギタリストならではの作曲方法、ギターでリフの作曲をするコツとは?というテーマの記事をお届けします。
ギターでリフの作曲をするコツとは?
・「リフ」とは
ところで、ギタリストのインタビューなどでよく出てくる言葉「リフ」とは、具体的に何を指すのでしょうか。
リフを全く知らない人に、具体的にどう説明したら良いでしょう。
一般的にリフとは、リフレイン(その楽曲のメイン・イメージとなり、繰り返されるモチーフ)の略から来ているようです(諸説あり。)。
もう少しロックの視点から説明すると、コード・トーンを分解して、リズミックにパターン化されたものと言えます。
ギター・リフ作りで有名なギタリストは、Deep PurpleやRainbowに在籍したRitchie Blackmore、そしてLed ZeppelinのJimmy Pageなどが挙げられます。
Ritchie Blackmoreは、「Smoke On The Water」、「Black Night」、「Man Of The Silver Montain」などが有名です。
Jimmy Pageは、「Hole Lotta Love」、「Black Dog」などでしょうか。
いずれも楽曲名は知らなくても、誰もが一度は聴いたことのあるリフです。
さらに遡れば、The Beatlesの「Day Tripper」やThe Kinksの「You Really Got Me」辺りで、これらの楽曲は、HR/HMの原型とも言われています。
・リフの構成
名曲と言われる楽曲には、とても印象的なリフがあることが多いです。
ギターが技術的に上手か下手かに関わらず、また作曲センスがあったとしても、カッコいいリフが作れるかどうかは、ギタリストとしてのセンスだと思います。
ギターが状況でも、トータルとして素晴らしい楽曲でも、リフがダサければ台無しです。
カッコいいリフは、実際に弾いてみると簡単で単純な構成だけど、耳に残る、リズムをとってしまう、自分も弾いてみたくなる...、そのようなものが多いことに気付くと思います。
いくつかの短いフレーズを用意して、あるポイントのリズムを強調してみたり、スライドやペンディングなどのアーティキュレーションを加えてみて、全体リズムと合わせてみます。
これを繰り返し弾いてみて、微調整して、リフの精度を高めていきます。
ボーカル・メロディにも似た作りにすれば、単なるパワー・コードよりもぐっとロックっぽい楽曲になり、ボーカルを際立たせることもできるでしょう。
リフとは、クラシック音楽で言われるところのオスティナートと言えます。
オスティナートは、繰り返されるコード進行、音型、旋律を示し、常にリズム・セクションの楽器によって演奏され、楽曲の基礎や伴奏として成立するものです。
ロックで言えば、「コード進行」「リズム・セクション」という言葉から、リズム・ギターやベースが担うことになります。
多くのリフは、次の要素で構成されています。
- パワー・コード
- 単音
- ペダル・ポイント
- リズム
パワー・コード
ロックのリフでは、パワー・コードと組み合わせて構成されるケースが非常に多いです。
パワー・コードとは、ロック独特の言い方で、低音弦を主体としたコードの省略系です。
5、6弦を主に用いた、ルート音と5thで構成された単純なコードです。特徴的なのが、メジャー/マイナーを決定する3rdが含まれていない点で、調性を問わず、あるいは調性を感じさせない無機質な響きを出すことが出来ます。
特にハードなディストーション系のサウンドを出す場合、コード弾きでは音が濁っていますので、調性を感じさせないパワー・コードが合うと思います。
・パワー・コードのリフ
初めは、短くて簡単な、音数の少ないリフを作ってみるのが良いです。
覚えやすくて、口ずさめるようなものを目指してみてください。
鼻歌等でメロディから考えても、ギターを弾きながらイメージしても、どちらでも構いません。アイディアはスマホなどですぐに録音しておきましょう。
リフを形作っていく場合は、リズムを最も意識してください。
そしてアクセントの位置や具体的な音名も確認しておけば、後でドラムを付けていく際や、コードを当てていく際、アンサンブル・アレンジへと発展させられます。
・リフのアイディア
自分で歌いながら、もしくはギターを弾きながら作る以外にも、他楽器から作っていく方法もあります。
ドラムのリズムのアクセントからポイントを探ったり、ベース・ラインに合わせたリフにしてみたり、キーボードのフレーズからコードを考えてみたり、アンサンブルの中から作ることも可能です。
自分の「手クセ」になっているようなアイディアではなく、他からのインスピレーションに頼るのは非常に有効だと思います。
自分以外の音との共演、そしてそれが自分の刺激になるというのは、バンド活動の一つの醍醐味でもありますので、常に視点を広く持つようにしましょう。
単音
Led Zeppelinの「Black Dog」は、このパターンで構成されたリフです。
単音をリズミックに繰り返すことで、リフが作られています。
また、パワー・コードの間に単音を挟むケースもあります。
例を挙げると、同じくLed Zeppelinの「Hole Lotta Love」がこのパターンになります。
ペダル・ポイント
レギュラー・チューニングのギターを使っている場合、開放弦をペダル・ポイントとして使うケースがよくあります。
ペダル・ポイントとは、リフの間に一定の間隔で開放弦(主にルート音)を入れたものです。
開放弦をペダル・ポイントとして、上部のコードを変化させていきます。
The Whoの「Substitute」がこのパターンの好例と言えます。
リズム
8ビートで刻まれたリフを、16で解釈して弾くケースです。
もちろんこの逆もありで、これだけでも楽曲全体の雰囲気が大きく変わります。
特に16ビートのリフは、ブラッシングを挟むカッティングのリフが合うでしょう。
ギタリストとしてのリズム・センスが問われるリフです。
リフから曲を作る
まずは楽曲全体の構成を考えておきましょう。
そのリフを延々と弾き続ける楽曲もありますが、変化をつけることでワン・ランク上の楽曲を目指すことも可能です。
リフも当然コードを当てられるので、リフからコードを割り出し、全体のキーを決めてコード進行を作っていくのが一般的だと思います。
リフでA、Bメロを引っ張っていき、サビで印象的なコードやメロディを持ってくる、という構成が多いようです。
Smoke On The Waterの場合では、サビのCのコードは、大きく全音で弾かれており、リフをメインとする典型的なロックと言えます。
一方で、Led Zeppelinの場合では、サビでは別のリフが用いられるケースが多いようです。
印象的なリフとサビを絡ませる手法は、楽曲を作る上では難易度が高いですが、非常に音楽的に仕上げることが出来ます。
Jimmy Pageは、Led Zeppelinの前身のNew Yardbirds時代から、培ってきた経験から、様々な音楽的実験を行っていました。
特に彼はリフ作りの名手として、スタンダードなパターンを崩した楽曲に意欲的に挑戦していたようです。
良いリフを作るには、Jimmy Pageのように様々なリフを弾いて実験を行い、楽曲にしてみることです。
そして、最も大事なことは、多くの楽曲を聴いて耳に馴染ませ、それを弾いてみて、コードやリズムなどを深く分析してみましょう。
そのリフの「カッコよさ」を引き出しているのは、一体どこなのか、詳細に確認してみることです。
ロックの楽曲と言えば、リフで作られていることが多いため、リフの完成度=楽曲の完成度にも繋がってきます。技術的に未熟な方であっても、センス次第ではカッコいいリフが生まれることも当然あります。
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